コンサルタント部会が5月16日に若手有望クリエイターの緒方信行氏を招いて、デザインーセミナー開催、渡邉ジェトロサンパウロ所長の多岐にわたる顔の広さで別世界の舞台裏を垣間見ることができた。
コンサルタント部会(渡邉裕司部会長)は今までにない一風替わったセミナーとして、リオ市で起業家として成功している若手有望クリエイターの緒方信行氏を招いて、「デザインと新たな広告領域」と題して、5月16日午後4時から6時過ぎまで、商工会議所会議室に多くの女性を含む51人が参加、クリエイティブを追及する緒方氏の異次元の物の見方や考え方に圧倒されて、素晴しいセミナーとなった。
緒方氏は冒頭から「デザインとは何ですか」と参加者に問い、パワーポイント、CM,車のデザインなどが頭に浮かんでいると思いますが、私は形を構築することであり、パソコン、ライターや車などの最適な形を考えることがデザインであり、例えば良い形の車のデザインをするには、車を知らなければならないアーキタイプ、また今の主流である企業理念にあったデザインがステレオタイプであるが、やはりデザインする物の本質を知らなければならない。
クライアントからデザインを頼まれるときは、往々にしてクライアントは何をして欲しいのかも解らない場合があり、要求しているものが理解できるまで徹底的にミーティングを重ね、お互いが理解しだしたら波長も合うようになり、人とのつながりを大切にてその人の人柄がでるので、自分自身を知る旅でもあり、どんな自分でありたいか考えている。
クリエイティブハウス「OESTUDIO」をブラジル人と立ち上げて6年目になるが、製品コンセプト、企業ロゴ、ファションショーの企画、テレビなどの映像媒体宣伝などを行なっているが、単なるデザインスタジオと異なる点は洋服のデザインをしており、ブラジル、日本やヨーロッパで「OESTUDIO」のブランド名で販売しているが、本当に自分のクリエイティブを掻き毟るため、アートや発奮の場であって、利益を出して金に縛られる守銭奴には毛頭なりたくないと強調した。
またある企業からロゴ製作の依頼があっても、単にロゴを製作するのではなく、映像、CDのジャケット,ユニホーム、キャンペーン用ウエブなどメディアも活用してビジュアルからコニュ二ケーションのスタジオを目指している。
ショッピングモールで履物、衣料やバッグなどの販売のブランド店「Cantao」はマーケティングを疎かにしていた為に、客離れが激しくて客足が遠のいていた為に広告の依頼が舞い込んだが、初めにロゴの更新から着手して、今後のブランドのポイントとなる赤いポイントマークを包装紙、ショピングバッグ、店内の装飾などあらゆるところに入れて強調、新ブランド化のフィロゾフィーの植えつけて成功し、今ではブラジルに60数店舗を構えている。
また緒方氏は招待されてリオファッションウイークにも参加、その斬新なデザインコンセプトとマルチメディアを使ったファッションショーがうけ、あらゆる雑誌などに取り上げられ、新しいデザインの仕事、広告、ロゴ作成、ウェブデザインなどの注文が団体を組んできたために、裁ききれない嬉しい悲鳴をあげている。
パンアメリカン競技大会のブラジル代表チームのユニフォームのデザインも手がけていているが、スポーツユニフォームは規制が多い為、余り斬新なクリエイティヴなデザインを捻り出すのは難しいが、競技用ショーツに人間の血管にも見える木の枝のデザインを工夫、実用性、ブランド価値、モラル価値の三点を考慮してこのプロジェクトを進めた。
新しいクライエントとはどのような方向に、これから社のブランドを運んでいくかを考え、緒方氏率いるスタッフ陣はブレインストーミングを行い、あらゆる可能性を考案した後で、これだといったものに絞り、クライアントにプレゼンテーションするが、現在は商品さえよければいいという時代は終わり、感性などソフトな面も重要化したブランド(業者)のみが生存権を獲得できる厳しい世界に身をおいているが、人の心を暖かくできるような夢のある仕事ができればよいのですがと謙虚に語った。
緒方氏は早稲田大学在学中にコマーシャル製作会社で、アシスタントを務めながら取り溜めた映像作品が、世界でも著名な写真家のオリビエロ・トスカーニ氏に認められ、イタリアのベネトンリサーチセンター「FABRICA」に史上最年少で採用され、トスカーニ氏のアシスタントとして扱かれ、「クリエイティブとは何か」を徹底的に考えさせられる日々を過ごした。その後ニューヨーク滞在した後、リオで「OESTUDIO」を設立、FIAT,SONYやHPなど幅広いクライアントを持って,異色の日本青年実業家として活躍している。