第二弾安全ワークショップ「その時、どうする」が5月29日に70人が参加して開催

コンサルタント部会(渡邉裕司部会長)及び総務委員会(松田雅信委員長)共催の第二弾安全ワークショップ「その時、どうする?」に、保険業界の内情を知り尽くした唐木田光男氏を招いて、5月29日午後4時から6時まで記録を更新する70人が参加して開催された。

唐木田氏は冒頭で皆さんは自動車保険に加入していると思いますが、契約書の内容を知らない人が多い、また保障範囲など内容が解りにくいうえに、小さな文字で記載されている特約の欄は契約時に見過ごす可能性が大きく、事故発生時に問題になったりするので、特約の内容の再チェックを促した。

続いて車両保険は衝突事故、盗難、火災が対象になり、自損事故、加害事故、被害事故も対象になり、集中豪雨などの水害にも適用され、レッカー車、車の故障やガス欠でも24時間サービスが受けられるが、破損事故の保険額はブラジルの市場価格をベースに支払われ、免責金額にも注意しておく必要がある。またカーステレオ盗難が多いブラジルでは、カーステレオに対して特約できるが、車と関係のない車内のパソコンやゴルフクラブは対象外であると説明した。

また対物賠償責任保険では、契約者に責任がある場合のみに適用されるが、休業損害、代車は対象外であり、対人賠償責任保険は相手の治療費や入院費が支払われるが、死亡事故の場合に対人賠償保障額にリミットがあり、一般的には30万レアルから70万レアルの補償額であるので、契約書の再チェックを促した。

強制賠償責任保険(DPVAT)の死亡時の保障額は1万3,500レアル、治療は2,700レアルとリミットがあるので、任意保険に入っておく必要があり、また特約には搭乗者損害保険、臨時費用金、代車費用、免責金額減額、ガラス損害などの特約なども説明した。

唐木田氏は自動車保険金額の相場の要因として、年齢、性別、住居地域、ガレージ所有や既婚など色々な要素が絡んでおり、また盗難対象になる車種は非常に高額となり、ゴール車やパラチ車がよく盗難に遭うが、シビックやカローラなどは路上駐車や危険な地域に立入らないために、意外と盗難に遭わない。

一般にブラジルの自動車保険の加入率は20%から25%と低く、相手の過失で事故を起こしたときにも、相手が保険に加入してない場合が多く、また示談というメンタリティーがないために、口論しても支払われるケースが少ないので、諦めも必要であると強調した。

ブラジルでは保障金額の25%から30%が詐欺であり、高い自動車事故率や盗難率などが保険金額を押上げており、飲酒運転、無免許・免停も支払いの対象外で、路上駐車も支払われないケースがある契約書をチェックしておく。一般的にブラジルでは道路に溢れる古い車、道路の不整備、スピード違反、追越し運転、車両変更など交通マナーが悪いうえに、「過失相殺」の概念がないので、被害者から加害者にさせられる可能性もあり、自己主張しなければならない。

車の盗難件数はサンパウロ州で年間15万台から20万台で、1日あたり500台が盗難に遭っており、盗難比率ではリオ、サンパウロ、ペルナンブーコ州がワースト3であり、サンパウロ市内では東部地区が全体の46%、南部地区20.8%で、ウイークデイの午後8時以降の盗難が多いと説明した。

ブラジル自動車事故による死亡数は年間3万人から5万人で、飲酒運転が死亡事故の44%を占め、全体の82%が運転ミスであり、若年層の占める割合が大きい。また罰金では50%以上のスピード走行は、飲酒運転同様に減点7点で一発免停になり、累積20点で免停になる。

最後に自動車事故に遭遇したと仮定して「現場に備えて」では,言葉がわからなくとも、落着いて対応することが肝心であり、まずは保険ブローカーに連絡をとって指示を仰ぐことで安心でき、常時、保険カ入社カードの提携しておくと、加害者になった場合でもカードを相手に見せると安心させることができ、また24時間サービスカード、保険ブローカーや同僚の電話番号を提携しておき、事故調書は当日でなくとも、1週間以内に最寄の警察で行なうこともできる

一般にブラジルでは自分の非を簡単に認めないので、責任の所在で議論しないことが重要であり、バイクとの接触事故ではモーターボーイ達に取り囲まれるので、特に注意を要する。また相手の名前、ナンバープレートや加入保険会社や連絡先を聞き出す必要があるが、相手に自宅の住所や電話番号などは、悪用される可能性があるので教えない方が良い。

車の修理は保険ブローカーの指示にしたがって行ない、保険金請求手続きでは、保険金額でカバーしきれない問題がたくさんあることも認識しておき、また心の準備として事故時に備えたシツエーションの想定、ブラジルだから何とかなるという考え方は間違いであるが、兎に角、保険ブローカーを最大限に活用して自動車保険を大いに利用して欲しいと締めくくり、質疑応答ではポルトガル語ができない場合の対処、当て逃げ後の対処、人身事故対処など質問が相次いだが、定刻ちょうどに終了して、唐木田講師に大きな拍手が送られた。

進行役は赤嶺尚由コンサルタント副部会長が担当、渡邉裕司コンサルタント部会長、松田雅信総務委員長、河合哲也安全対策チームリーダーも参加した。

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渡邉コンサルタント部会長が挨拶

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左から唐木田講師/河合安全対策チームリーダー/松田総務委員長/渡邉コンサルタント部会長/赤嶺コンサルタント副部会長

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会場一杯の70人の参加者が興味尽きない講演に熱心に聞入っていた

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