ジェトロは地球温暖化や石油価格高騰を受けて、バイオエタノールへの関心が世界的に高まっている中で、世界最大のバイオエタノール生産国のひとつであるブラジルへ30人近い視察ミッションを8月27日から31日まで派遣、サンパウロ州やリオ州のバイオ エタノールの生産施設、製造技術・プラントメーカー、バイオエタノールとガソリンの直接混合施設、フレックス車製造工場、湾岸施設、サトウキビ畑等の視察、バイオエタノール研究・投資関係機関、ペトロブラス社、産業界および公的機関への訪問および意見交換など行なうが、27日午前11時からシザービジネ スホテルに日本政府や関連業界団体とエタノールビジネスに深く関わった元大臣等を招いて結団式が行なわれ、商工会議所からは田中信会頭、平田藤義事務局長 が参加した。
初めにジェトロの山本俊一理事が今回のミッションの目的、現場を知る重要性や訪問先などについて説明、続いてフルラン元商 工開発大臣が今回のミッションの重要性やブラジルのエタノールの潜在的ポテンシャルについて、またロドリ-ゲス元農林大臣はエタノールがエネルギー分野を 中心に一つの歴史的な新しい文明の役割を演ずるとした上、アマゾンの木、一本たりとも伐採することなく、生産性を倍増する一方、現在の350万ヘクタール のサトウキビ耕作面積は、その可能面積として約2,200万ヘクタールに及ぶ事を力説、ブラジルが世界の一大供給地である事には変わりないが、エタノール 相場の安定化に努める観点から、また他の亜熱帯諸国圏に属するタイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン等やアフリカ諸国へもエタノール生産技術開発支 援を強調、また米国と共同で木材をはじめとする植物繊維からエタノールを抽出する新技術の開発を示唆した。最後に、西林万寿人総領事は、日本から相次ぐ大 臣や知事、また議員団に砂糖キビの栽培地やエタノール工場の視察をはじめフレックス車の組立て現場を案内した実績と体験をもとにブラジルのエタノール産業 の現状について述べた。
日本が本格的なエタノール導入に、手間取っている間に、ブラジルの対日供給に困難をきたす恐れから政府や関連業界 は早急に意思決定の時期にきている事、またエタノール導入に関して3つの誤解が生じている事も指摘、世界のオレンジジュースの高騰はブラジルがオレンジ畑 を砂糖キビ畑に転作しているためとの誤解が一つ、(事実は米国フロリダ州を襲ったハリケーン・カトリーナの影響)アマゾンの熱帯雨林が砂糖キビ栽培のために伐採されていると言う二つ目の誤解、アマゾン地域は雨季が多く高温多湿のため元々サトウキビ栽培に適しておらず熱帯雨林伐採は行なわれていない事実、ま た過去ブラジルが2度遭遇した石油危機を教訓に、代替エネルギーであるアルコールを現在に至るまでガソリンに20~25%混入、技術的には完全にクリアー された錆びの問題であるが、エタノールのガソリンへの混入はサビの原因になると歪曲された報道で誤解を与えており、日本のマスメジアに対して正しい報道への注文を付けていた。