中銀の通貨政策委員会(Copom)は今年並びに来年のインフレ圧力抑制のために、政策誘導金利(Selic)を満場一致で前回に引続いて0.5%引上げて11.25%に決定したが、金融スペシャリストの中には0.75%の引上げを予想していた。
今後の金融政策の見通しは不透明であるが、パラチ投資会社のマルコ・フランクリン氏はSelic金利が0.5%の引上げに収まったのは、格付会社 S&Pとフィッチがブラジルを投資適格級に格上げしたことと、連邦政府がプライマリー収支黒字をGDP比4.3%に引上げる可能性である。
次回のCopomの更なる金融政策引締めはインフレ指数と国内消費指数に左右され、現在の失業率は記録的に低く、設備稼働率83.2%並びにGDP比30%以上に達するクレジットがインフレリスク要因となっている。
MBアソシアード社のメンドンサ・デ・バーロス氏はSelic金利の引上げはインフレ圧力抑制のためには避けられない措置であり、今年のインフレを石油価 格や食料品価格の高騰で5.5%から6.0%、今後も金融引締め政策を続き年末には14.0%に達すると予想している。
サンパウロ州工業連盟(Fiesp)のパウロ・スカフィ会長はSelic金利引上げによる国内需要抑制よりも、公共投資拡大による公的負債拡大を抑制することが重要であるとコメントしている。
Selic金利が12.25%に引上げられた影響で個人向けクレジット金利は131.62%から132.65%、法人向け金利は62.52%から 63.27%にそれぞれ増加、ブラジルの実質金利は6.9%に上昇、オーストラリア5.5%、トルコ5.3%、コロンビアの3.7%を大きく引離して、世 界で最も実質金利が高い。(2008年6月5日付けエスタード紙)