2009年度上期の業種別部会長シンポジウムが2009年2月17日午後2時から6時まで空前の会場一杯の120人が参加、補助席を急ごしらえして対応、世界金融危機後の今後の経済の動向に注目が集まっていた。
司会は近藤正樹総務委員長が担当、来賓として大部一秋在サンパウロ日本国総領事、経済産業省から赤星康通商政策局米州課長、本間英一通商政策局中南米室長、森川純通商政策局米州課係長、宮本敏央通商政策局中南米室係長、室住由加通商政策局通商政策課企画調査室係長及び大熊靖夫特許庁国際課課長補佐が特別参加した。
初めに田中信会頭は開会挨拶で大部一秋総領事、経済産業省通商政策局の赤星康米州課長他多数の来賓参加に感謝の意を述べ、今回の部会長シンポジウムは前回のシンポジウムから一転して世界金融危機に見舞われて、100年に1度の経済危機に突入して先行きの見通しが極めて不透明であるが、部会長シンポジウムの発表資料や分析を活用して下さいと述べた。
初めにコンサルタント部会の都築慎一部会長はIMF及び政府、金融界、経済成長見通し、ブラジル政府経済政策、経済動向のポイント、結論などに分けて発表、金融部会の山崎展生部会長は昨年の経済指標、銀行業界、今年の経済指標見通し、邦銀4行の今年6月末の金利/為替レート予想ではSelic金利が11.50%から10.25%、為替レートはR$2.27から2.30、12月予想では10.75%から9.50%、為替予想はR$2.20から2.40、保険業界の展望として収入保険料・損害率、再保険自由化動向などを発表した。
貿易部会の伊藤友久部会長は輸出額、輸入額とも過去最高を更新したが貿易黒字は2年連続で減少、主要品目別輸出入、ブラジルの原油の埋蔵量は岩塩下原油を入れると世界5位に上昇する可能性、カリブ海沿岸イニシアチブを通した米国へのエタノール輸出 、対日輸出入、ブラジルの国内市場のポテンシャリティ、豊富な資源、健全な金融システム、安定した政治などで経済回復の早い国の一つとして期待していると括った。
建設不動産部会の大滝守部会長代理はブラジルの建設労働者の登録数の増減、建物の公示件数の統計、主な建設資材の価格上昇率、セメントの出荷量、月別の金融機関の住宅融資による住宅購入者数などについて発表、機械金属部会の西岡勝樹部会長は前回は矢印で増減を表現したが、今回は天気予報で好不調を表示、鉄鉱、電力・大型プロジェクト、プラント、建設機械、産業用圧縮機、潤滑油などは9月のリーマンブラザーズ破綻で晴れから曇り、雨、雷雨などの悪天候に急落したが、今年の展望として期待と願望を込めて雨のち薄日と予想した。
自動車部会の長谷部省三部会長は開口一番、声の大きい西岡部会長の後が一番やりにくいと笑いを誘い、昨年の四輪生産は321万台、販売実績は282万台で記録更新、リッターカーは2001年をピークに減少に転じて昨年は約50%、10月以降の生産台数は前年同期割れ、リース拡張が成長を牽引、今年の自動車販売は13.8%減の243万台予想、二輪車の生産は212万台、10月に生産・販売ともに急減速、ローン販売に左右される二輪、自動車販売の増加に伴ってパーツ売り上げ増加したと発表した。
コーヒーブレークを挟んで電気電子部会の三好康敦副部会長はブラジルの電気電子業界の規模の推移、BRICs諸国との投資安定性比較、マナウスフリーゾーンの生産動向、輸出入、雇用状況、TVの価格状況、地上デジタル放送の現状などについて発表した。
化学品部会の松尾新一郎部会長は14業種についてそれぞれ回顧と展望を発表したが、やはり世界金融危機を境に一転、今年の展望では農薬、肥料、ロジンが減少、筆記具,高級化粧品、種子,飼料添加物などは売上・利益とも増加を見込んでいる。
食品部会の尾崎英之部会長は昨年の回顧では為替安より輸出採算改善、原材料コストアップ、ICMSやIPIなどの増税、PISやCOFINSの減税、価格転嫁困難、低所得者向け商品好調、市場ニーズにあった新製品投入、今年の展望では不景気感アップ、輸入財アップによるコスト増、コスト削減で利益確保、高付加価値商品投入、国内競合企業との競争、価格コンシャスな製品提供などを発表した。
運輸サービス部会の和田亮部会長は昨年の航空業界では日本移民100周年記念行事参加で日本からの渡航者増加、9月以降は在日ブラジル人の帰国増加、燃料費は金融危機以降に急降下、今年は国内外船とも搭乗客減少、不定期船は金融危機後急減、フォワーダー業界は税関ストライキで混乱、昨年のホテル業界は海外旅行がレアル安で航空運賃高騰、国内旅行は大手パッケージ会社も苦戦、セルラー加入者数は1億5000万台で世界5位、PC販売は1200万台と好調であったと発表した。
最後に繊維部会の本間昭一郎部会長はNY綿花相場の推移、世界綿花需給予想、国内綿花は鈍化する生産と輸出,綿糸貿易、繊維製品の輸出入、衣料品の輸入推移、纏めとして為替の動向に注目、原綿動向に注目、コストアップ懸念、繊維製品の国内消費として給与や最低賃金のアップ、ボルサ・ファミリアの継続、ブラジル国民の楽観的性格で消費が減速しないことに期待したいと締めくくった。
講評では大部一秋総領事は部会長シンポジウムのデーターやプレゼンテーションが素晴しく、発表資料は今後大いに活用できるもので、世界金融危機による実体経済の今後の動向としてマクロ的、ミクロ的に見ていく必要があり、昨年は全体として快晴であったが、今年は雷雨、嵐と見ていたが、発表資料では思っていたよりも悪くなく、曇り、雨、薄日と感じている。
金融危機前の生産、売上が3割、4割を超えていたのが印象深く、ブラジルのインフレがラテンアメリカの中でも低く収まっており、マクロマネージメントが上手く行っており、今回の金融危機では実体経済がそれほど落込んでいなく、金融システムが健全なのも強気の材料、またペトロブラスの岩塩下埋蔵量100億バレルは衝撃的で今後も大型投資が継続、今後は大型インフラ設備投資や高速鉄道が期待でき、またブラジルの金融機関は不良債権を抱えていなく、200億ドルを超える外貨準備高など持てる国の潜在力の高さに再確認させられたと述べた。
赤星康通商政策局米州課長はコメントとして貴重な話が聞けて勉強になり、ブラジルはリーマンブラザーズ破綻までは行けいけドンドン、ブラジルの潜在力がはっきりしているので回復してゆくと確信でき、今日は今月19日から20日にブラジリアで開催される日伯貿易投資促進合同委員会の第1回会合の開催を案内、ブラジル側も熱心であり、大いにインプットして下さいと述べ、最後に近藤正樹 総務委員長は閉会の辞ではブラジルはどこか違う,何か違うと皆さん感じられたと思いますが、素晴しい業種別部会長シンポジウムであったと締めくくった。
120人が詰掛けた業種別部会長シンポジウムの会場
司会の近藤正樹総務委員長
講評する大部一秋総領事
コメントする経済産業省通商政策局の赤星康米州課長