環境委員会は「環境で不況を吹き飛ばせるか~グリーン・ニューディールの挑戦」上映会開催

  環境委員会(杉山俊美委員長)は2009年6月9日午後4時から5時30分まで、最近、放送された NHK環境番組「環境で不況を吹き飛ばせるか~グリーン・ニューディールの挑戦」の上映会に23人が参加して開催、初めに杉山委員長は上映会のためにパナ ソニックからの42インチの薄型テレビの提供に御礼を述べ、また来週のカーボンクレジットセミナーを案内した。

  ブッシュ政権はカリフォ ルニアで電力高騰や停電による電力危機を放置、また京都議定書からも就任の最初の年に一方的に離脱して環境問題には手を付けなかったが、「change― 変革」を掲げて当選したオバマ大統領は太陽光や風力発電などで二酸化炭素を削減して、雇用創生で不況からの脱出を図るグリーン・ニューディール政策を掲げ て、米国の再生を力強く宣言した。

  ニューディール政策には今後10年間で1,500億ドルを投資して500万人の雇用を創出するが、今までは環境と経済との関係は対立するものであったが、同政策では環境改善による経済活性化を狙っている。

  今、米国では何が起こっているのか、晴れの多いロスアンゼルスでは太陽光パネル取付け工事でメーカーは注文に追われており、オレゴン州では太陽光パネルの部品工場を基幹産業として育成を狙っている。

  オバマ大統領はブッショ政権とは180度転換した環境部門への大型投資で米国経済の再生を狙っており、また世界中の投資家がニューディール政策に注目、特に若者向けの大幅な雇用増加が期待されている。

  カリフォルニア州のシュワイツネガー知事は排気ガス規制や地球温暖化対策などで独自に取組んでおり、石油と農業のテキサス州は風力発電で地域活性化を狙っ ており、農場主達が共同で風力発電所を建設して、電力会社にエネルギーを売って収入を安定させており、自然エネルギーの風が大金を生んでいるために、今ま での発想の転換が必要となってきている。

  今はまさに文明の大きな転換点に立っているのか、またグリーン・ニューディール政策はIT革命 を超えるのか、米国は石油の20%を政情不安の中近東に依存、ヴェネズエラから大量の石油を輸入しているが、チェベス大統領は外国資本の資産接収など不安 要素を抱えているが、自然エネルギー発電の米国内の電力比率は僅かに5.8%に留まっている。

  日本は省エネ部門では太陽光パネルや電 池、発光ダイオード、蓄熱壁、ハイブリッド車や電気自動車など最先端技術を擁して世界トップであり、リチウム電池の世界シェアは日本が63%、韓国が 23%で独占しているが、世界各国は環境技術で日本を追い上げるために必死になっている。

  米国ではリチウム・イオン電池の開発を急いでおり、2,000億円を投資する国家プロジェクトを立ち上げて3年以内に市場に投入して、日本が独占していた半導体と同様に日本を追越す計画を立てている。

  地球温暖化防止の切り札の太陽光などの自然エネルギーは天候の変化で発電量が突然、激減するなど供給不安定であり、大量に電力網に組み込むと電気の需給バ ランスが崩れて大停電が起こるリスクもあるために、送電網に通信・制御システムを組み込み、発電施設と家庭や工場やビルなどの施設を結び、発電量に加え、 使う側の電力量まで増減させることが可能なスマートグリッドの実験がコロラド州ですでに実験が始まっている。

  スマートメーターは自宅で消 費する電力量や太陽光パネルによって発電する電力量をリアルタイムにデータ化して無線もしくは有線通信で、外部のアプリケーションや電力事業者に提供する ことができ、電力が不足している時は電気自動車から電力を供給できるなど、これまでの常識を覆すシステムであり、GE社とグーグル社が参入する。

  日本はそれぞれの技術開発には優れた能力を発揮するが、米国は総合戦略を組合わせる能力に優れており、日本の風力発電用素材は素晴しいが、総合戦略を組合わせて社会を変える力は米国よりも劣っている。

  日本の太陽光発電は70年代のオイルショック後に着手してトップを走っていたが、2005年に補助金カットでドイツに追抜かれ、補助金支給を再開したが、回収に20年もかかるために一般家庭への普及が難しい。

  日本では縦割り行政で政策決定に時間を要するために、米国が羨望する環境関連技術を持っているが、米国も大幅な投資で開発を急いでいるために、日本の優位性保持は時間との競争になってきている。

  日本のニューディール政策は優れた省エネ技術を生かし、世界の潮流をよく観察して作戦を展開しなければならないが、今後6ヶ月から1年ぐらいの米国の動向 で将来像が見えてくるので注目する必要があるが、オバマ大統領の掲げたグリーン・ニューディール政策は今までの考え方を根底から覆す政策であり、米国再生 の可能性を大いに秘めて世界中から注目されている。

  内田肇副委員長はいろんな業界から参加されて、環境問題に注目が集まっており、環境 問題が発生した企業への融資などは出来なくなってきており、自動車メーカーも汚染排出の車を生産しないと売れなくなってきており、今後は更に環境ビジネス 拡大が予想されると述べ、講評では田中信会頭が素晴しい企画に対して御礼を述べ、環境問題は今後の人類の生存にかかっているとその重要性を述べた。

パナソニック提供の42インチ薄型テレビでNHK環境番組「環境で不況を吹き飛ばせるか~グリーン・ニューディールの挑戦」に熱心に見る23人の参加者

 

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