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司会:近藤正樹総務委員長
定刻となりましたので、2010年上期業種別部会長シンポジュームを始めさせていただきます。本日は108名の方にエントリーをいただいております。多数ご参集いただき誠にありがとうございます。今回も日本語・ポルトガル語の同時通訳のサービスがございますので是非ご利用ください。また携帯電話のご使用はご遠慮いただきたくよろしくお願いいたします。それでは各部会の発表に先立ちまして商工会議所中山会頭よりご挨拶をいただきたいと思います。中山会頭よろしくお願いいたします。
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ブラジル日本商工会議所会頭 中山立夫
本日はご多用のところ多数のご出席をいただき、誠にありがとうございます。また、大部サンパウロ総領事様、経済産業省通商政策局山下課長補佐様ほか、政府関係者の方々にもご臨席を賜り、この場を借りて御礼申し上げます。
各部会の発表終了後には大部総領事様からご講評を、山下様からは日伯貿易投資促進合同委員会についてのお話を、在ブラジル日本大使館の吉村様からは大使館からの連絡事項についてお話いただきたく、何とぞよろしくお願いいたします。
業種別部会長シンポジュームは当会議所のメインイベントの一つであり、各部会で分析、検討、整理された業績や業界動向が発表されますので、各社皆様におかれましては、自社の経営戦略の立案や策定に大いに有意義なものになると確信いたします。さて、本日のシンポジュームのテーマは、「2009年の回顧と2010年の展望」であり、副題は「ブラジルの景気回復は本物か?死角は?大統領選挙の影響は?」ということでありますが、議論の口火を切るという意味で、僭越ではありますが、簡単にブラジル経済とビジネスの動向、商工会議所方針について述べさせていただきたいと思います。
今年の1月の商工会新年会の席上でも申しあげましたが、ブラジルは、債務国から債権国に、カントリーリスク国から投資適格国に転じるなど、一言で申し上げますと2009年は「大転換の年」でありました。
今年は好調な国内経済に加え、プレソルト層油田の発見と開発の推進、2014年のワールドカップ、16年のリオデジャネイロ・オリンピックを前に、莫大な投資需要が見込まれ、景気拡大が続くものと予想されます。
これらを背景に、各国の企業進出は益々活発化していくと同時に、競争が激化していくことは間違いありません。特に、インフラ投資など、大型案件につきましては、いずれの国も政・官・民一体となり、むしろ政治主導で取組まれ始めております。
こうした認識の下、確かにブラジルにおけるビジネスチャンスは拡大しているわけですが、それをどうテークチャンスしていくかが、益々難しくなっております。そこで、商工会議所といたしましても、官民連携をより強化し、その支援に努め、以って日伯経済の関係強化の一助となるべく注力して参りたいと考えておりますので、引き続き、皆様のご指導とご協力をお願い申し上げる次第です。簡単ではございますが、私の挨拶に代えさせていただきます。ありがとうございました。
司会:中山会頭ありがとうございました。それでは部会の発表に移ります。合計で11の部会がございます。今回の共通テーマは「2009年の回顧と2010年の展望」ということですが、ブラジル全体としては景気回復基調が鮮明な中、これが本物かどうか、そして死角はないかという点、さらには今年は選挙の年でございます。
大統領と知事、そして国会議員の3分の2の改選が10月にございます。大きな政治的な動き、思惑が出てくるものと思います。工業製品税IPI、それがどうなるかということもあるでしょうし、また取引、案件によりましては急に進むものもあればストップするものも出てくるでしょう。
そして次期大統領の、候補ですね、候補の経済政策構想によっては為替・金融・市場が影響を受けることもあると思います。業界により濃淡はあると思いますけども、本日は是非このあたりも含めてですね、情報交換、状況把握をしていただければと思います。
各部会の発表時間は質疑応答も含め約15分を予定しております。パワーポイントの画面に残り時間を表示しておりますので、発表者の方はタイムコントロールをよろしくお願いいたします。
なお本日の概要ならびにプレゼン資料につきましては、明日の商工会議所のサイトに掲載いたしますので、詳細なデータに関しましては是非それをご参照いただきたいと思います。それではご案内のプログラムに従いまして進めさせていただきます。まずはコンサルタント部会、都築部会長よろしくお願いいたします。
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コンサルタント部会 部会長 都築慎一
皆様こんにちは。コンサルタント部会の都築と申します。高い所から失礼いたします。よろしくお願いいたします。コンサルタント部会では今年も慣例によりマクロ経済について昨年後半の回顧と、2010年の展望につき、これをまとめコメントさせていただきます。シンポジュームの前に部会を開催いたしまして、参加者のご意見を伺いました。いろいろなコメントをいただきましたが、時間も限られていますので、この発表は部会のコメントを集約し、私の方で肉付けしたものを発表させていただきます。
まず2009年なんですけども、ブラジル政府の発表によれば、7月-9月の実質国内総生産率、GDPは前期比1.3%の伸びとなり、対前年同期比ではマイナスであったものの、4月から6月期に引き続き2期連続でプラスとなりました。
10月から12月の期についてはまだ発表されていませんが、大方の予想では2009年の年間成長率はゼロに近い数字になるであろうと言われています。ここに書いてある表にありますのは中銀が発表している数値ですが、2009年は成長率が昨年比0.2%ということになっています。
全体としましては、政府予想を下回る数値であり、成長というよりも、2009年は経済の回復が確かな基調となった年といえるかもしれません。実際に工業生産率や失業率など主な数字は特に後半にかけて回復を示す数値が統計に表れています。
また中銀や政府の発表では、ここにもございますように、2010年は5%の成長は可能であるという予想を立てている。もしくは、うまく行けばさらに5%を超える成長は可能であろうかと、そういうふうに言われています。
では次に、具体的に2009年がどんな数字であったのか、主な数字について見ていきたいと思います。まず主要国際収支アイテムから見た貿易や投資の推移ということなんですが、表は2009年前期と2009年後期、つまり1年間の間でどんなような、特に皆様ご存知のように後半上向いているというのが数字に表れているのかどうなのか、そのへんを注視していきたいと思います。
報道されていますように、経常収支全体のトータルとしては非常に悪かったということが言われています。それで月ごとに見ていきますと、そこの右側の一番上ですけれども、サービス+所得収支が大幅に出超、マイナス169と。これは億ドル単位になっていますけども、非常にここが増えていると。このサービス+所得というのは、下の貿易は物の貿易でして、物以外にサービスの貿易というのもあるわけですね。
つまり輸入輸出、特にブラジルの場合を見てみますと12月に相当な金額が出ているんですけども、まあ予想できるのは配当であるとか、それから個人が海外旅行に行って使うお金であるとか、それからトランスポーテーション、国際的なものの支払いとか、こういうものが増えたのかということなんですけども、細かいことはよく分りません。
それから貿易収支の方は貿易部会の方から詳しいご説明があると思うんですが、そこの表にもございますように、前期と後期を比べてみますと、輸出・輸入ともそれぞれ増加しております。増加率では輸出よりもやはり輸入の方が増加していると。これは、輸出は相手の、輸出先の景気にもよること、やはりまだ中国を除いてはブラジルから輸出している先の景気は本物でないということであまり、特に昨年比もマイナスということで、それほど良くないと。
ただし一応、後期のベースでは黒字になっております。それから直接投資なんですけども、この対外直接投資といいますのはブラジルから外に出て行く場合なんですけども、ここに書いてある83というのは逆に入ってきているお金なんですね。国際収支はプラスマイナス、出る金と入るお金で示しますので。この場合は配当であるのか、もしくは投資が減資したりして戻ってきたのか良く分りませんが、まあ金額的にはわずかですけども、そういうことで対外直接投資というのは戻ってきていると。
で今度はブラジルに対する直接投資ということで、対内直接投資、前期と後期を見ますとそれほど伸びていないということで、2009年は、数字の上からはブラジルが注目を浴びてはいますものの、流れを見てますと急激に津波のように投資が押し寄せているという感じではまだないということが言えると思います。
一方証券投資については、ご存知のように、ドルキャリーとか円キャリーとか言われまして海外から安い利息で資金調達してブラジルで儲けて引き上げるという投機的なお金が相当入って、今も入り続けているということですね。それから外貨準備高については前期と後期で伸びているということでございます。
次に一番大事な工業生産指数なんですけども、このグラフを見ていただくと分りますように、昨年の12月にはどん底に陥りまして失業率も多かったんですけれども、それから右上がりの回復を示しておりまして、これは資本財だけでない全体の指数なんですけれども、12月はもちろん実働も日数も少ない、それから消費もクリスマス戦線はすでに終わっているということで少し下がっていますけども、基調としてはプラスになっていると。この基調は今年も続くのではないかということですね。それから、次のページお願いします。
失業率ですけれども、これも非常にいい指数で、毎月にようにIBGEから発表される数字では失業率が下がっているということでございます。それからもう一つ、次お願いします。
小売の推移を見てみますと、これも右肩曲線で、金融危機があってもですね、さほど影響を受けていないということで、これも非常に希望が見えるような数字だということでございます。それで、時間がないので急いで行きますけれども、まあ総じて言いますと2009年から2010年にかけて、たとえて言えば次のようなことではなかったのかと。
病人の例を挙げますと、世界的に金融危機という病気で急に入院、ブラジルも信用供与が無くなって金欠病になって病院に入院したと。ところが元々体力はあったので集中治療室から早く抜け出して、一般病室に入ることができたと。それで2010年はめでたく病室から出て自宅で療養という感じではないかと思います。
で、2009年の下期についてそこにまとめましたけれども、総じて2009年は中国やインドと同様、ブラジルは経済の回復が早い国の一つとして世界的にも評価されましたように、国際金融危機に対してすばやい対応を行った政府や中銀の経済政策が効果を発揮した年と言っても過言ではないと思われます。ブラジルはGDPの6割を個人消費が示すことから分るように、内需主導型の経済と言われています。
金融危機以前からルーラ政権は貧困層に対して最低賃金のインフレ以上の調整を行い、これらの人々や中間所得層の購買力が増えて消費が伸びていたことは皆様ご承知の通りです。金融危機後もブラジルは特に資本資材だとか製造業の生産縮小ということが起きましたけれども、また一般工業も設備投資の先送りなどからマイナス成長というふうになりました。
これが失業者の増大、消費の減退などを呼び、経済全体が負の方向へのスパイラルに陥るのではないかと危惧されました。しかし政府は金融危機後も融資の拡大や消費物資に対する減税などの財政政策をすばやく打ち出し、個人消費の大きな落ち込みには至らず、個人消費の拡大につながり、それが設備投資、また雇用を生み出すというプラスの方向への経済のスパイラルとなってきつつあります。というわけで2010年はブラジル経済の成長が期待される所以でもあります。次のページお願いします。
部会でも皆さんの意見は大方、2010年は引き続き好調に推移していくであろうと。先ほどの病院の例じゃないですけども、病気からは回復してこれから元気になるために、美味しいものを食べてですね、力をつけていくという段階に入るのかと。
ただこの好調さというのは、穏やかにいくのか、それとも力強くいくのか、この辺は見解が分かれるところだと思いますけども、全体としては引き続き好調というのが部会大多数の意見で、これは皆さんもそうではないかと想像しております。
また、選挙の景気への影響はないと言ってよいのではないかというのも、皆さんの、まあ誰が政権を取ってもですね、経済政策はあまり変わらないのではないかというのがほとんどの皆さんの意見でございました。次のページお願いします。
不安定要因ということについてちょっと述べさせていただきます。ブラジルはいつも、ブラジルハッピー、ブラジルは世界の将来の大国ということがあるんですけども、ここで一つだけ申し上げておきたいと思いますのは、今世の中はご存知のようにグローバル経済化しているということで、ブラジル一国だけが問題ないとか、すばらしいという風には行かないんだということで、そういう外的な不安定要因ということも、我々としては透視もできないけれども、あるんだということをやはり頭に置く必要があるだろうと。
具体的には2009年は流動的な投資マネーがブラジル証券市場に大量に流入して、為替はレアル高となり、米国や欧州の不況から輸出もあまり伸びず、エンブラエルら航空機産業や農業などの打撃となっています。さらにこれからも国内・国外からの過剰な流動資金が不動産やコモディティなどの投機的な動きをすることへの懸念もあります。
以上のように、経済はグローバル化しているので、ブラジルの経済は好転しているとはいえ、外的な不安定要因によりブラジル経済が影響を受けるのは避けられないのは言うまでもありません。そういうわけでちょっと不安定要因を挙げてみましたけれども、石油と関連製品の国際価格、これもご存知のようにイランとかの核問題、これらですぐにまた敏感に動きます。
それから鉱物資源と農産物の国際価格、鉱物資源も世界中で奪い合いになっていますから、中国も我々の会社にもよく来て、資源会社の買収をよくやっています。それから投資資金の流れ、これはご存知のように世界中流動資金が余っていますので、あちこちに探し回っているということですね。
それから中国不動産バブル、12月には預金準備率を0.1%上げたらしいですけど、市場はいつ中国がこの過剰流動性を引き締めるのかということで注視している。それから長期的な米国のゼロ金利政策、またつい先月出ました現政府からの金融機関の規制ですね、これらももうすでに株式市場から資金引き上げ、それから新興国の為替は軒並み現地通貨安ということで影響が出てきていると。
それから、これを書いた時点ではまだ出ていませんでしたけれども、ギリシャの国債の暴落、まあ今出てきていると。何か報道によりますとPIIGSと言うらしいんですけど、ポルトガル、ギリシャ、それからイタリア、スペインと、このへんの財政赤字から国債が暴落するんじゃないかということになっています。
それから国内要因としては、先ほど、選挙の影響は出ないという風に思いますけども、常識的に見ますと公共工事が増えるというのは明らかだと思いますので、それからSELIC、基本金利が8.75で推移していった場合にやはり市場の余った金がどこに行くのか、不動産にいくのかとか、ということで、景気の過熱というのは資金が余っているということと紙一重なので、やはり中央銀行は非常に警戒していますから大丈夫だと思いますけども、やはりインフレに対する警戒と。
で以上のことがどういうことに関係するのかということは、この後金融部会の方からもいろいろお話があると思いますけども、我々にとっては為替がどう動くのかと、それからインフレによって給与調整、いろいろな調整もどう変わっていくのか、それから輸入価格だとかそういう価格設定の問題が出てくるということです。
まあいずれにしても、それ以外にも財政赤字の問題もありますけども、財政赤字は世界各国共通の問題でブラジルの場合は経済の基盤を揺るがすほどの大きな問題にはならないだろうという観測が、報道関係の方を読みますとよく出ています。まあ不安定要因というのを挙げましたけれども、いつの年でも不安定要因というのはあるわけで、まあ2010年は先ほどの部会員の総意でもありますように、明るい年となりそうだというのがコンサルタント部会の皆さんの総意です。
それから最後ですけれども日本からの投資について、JETROさんの方からもいろいろデータをいただいておりますけれども、雪崩のように日本企業が進出しているということではないけれども、やはりアジア中心に動いていることは間違いありませんと。
ただし問い合わせからすると、中国に続いて二番目に多いのがブラジルだと。まあ問い合わせるというのは投資するというのとは別と思うんですけれども、いずれにしてもこれから先ますます経済の交流が活発化することを願っております。以上です。ありがとうございました。
司会:都築様、わかりやすくまとめていただきましてどうもありがとうございました。何かご質問ございますでしょうか。はい。
質問:GDPの成長率でブラジル中銀の予測で2010年から13年まで、5.0、4.5、4.2、4.0と落ちていますけれども、中期的に落ちるという背景は、
都築部会長:分りません。私も同じ疑問を持っているんですけども、はい。
質問:この間マンテガが講演した時には今後4,5年はmedia5%と言っているので、ちょっと違うのかなと。大体4,5年の平均が5%ぐらいという風にマンテガの表には出ていたので、それとちょっと違うのではと。
都築部会長:中銀は、これは中銀のサイトからデータを取っているんですけど、しょっちゅう変えるんですね。だからそれもあると思うんですけど、どなたかお答えできる人がおられたら教えてほしいですけど、下がる理由は良く分らないです。
発言(鈴木さん):補足いたします。今の右肩下がっている数字は中央銀行が作成した予測じゃないんですね。中央銀行がフォーカスという、80社くらいの、エコノミストで80人くらいですけども、から毎月、月に2回予測を取っているんですよ。
主にこれ全部金融機関です。それをまとめて発表しているのが一応は中銀予測、正確にはフォーカスというやつで、これはマーケットの連中がやっているものですから、先行きいろいろあって、ついこの間まではほとんど全部横に進んでたんですが、下がったのはユーロがおかしくなるんじゃないかという、国際マーケットで今非常に出ていまして、その影響だと思います。ですからあれは中央銀行が作成したんじゃなくて、中央銀行のアンケートで取った数字です。
都築部会長:分りました。ありがとうございました。
司会:ほかにございますでしょうか。それでは都築様どうもありがとうございました。また鈴木さんどうもありがとうございました。続きまして金融部会、宮原部会長よろしくお願いいたします。
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金融部会 部会長 宮原弘幸
金融部会長の宮原です。2009年の回顧の2010年の展望について発表させていただきます。
昨年の金融界は、2008年9月15日に起きたリーマンショックを受けたスタートとなりましたが、ブラジル金融界の1年の総括を一言で言えば“いち早く経済危機を乗り越えたブラジル金融界”と言えると思います。
他の新興諸国と比べて、早期に金融危機を乗り越えられる可能性は高いと予想した金融アナリストは少なくありませんでしたが、実際に金融危機の金融セクター全体への影響は限定的で、非常に早いタイミングで回復を実現させたという点で、ブラジル金融界にとって画期的な年でありました。過去の経済危機と異なりまして、危機を短期間で克服出来た背景、要因を金融面にだけ絞って申し上げると以下の4点が挙げられます。
一つは危機前に構築できていた潤沢な資金、2000億ドル超の外貨準備と金融システムの健全性。二つ目はブラジルの大手行はサブプライムの関連資産がほとんどなく、自己資本比率が国際的にもトップクラスの高い水準であったこと。三番目。これまでのインフレ抑制政策での成果をはじめとして、ブラジル中央銀行が国際金融界から高い信任を得ていること。最後に危機後もタイミングをみて市場への大量資金を投入する等、中銀の機動的な対応が奏功したということです。
次に、金融危機発生前から現在までの主要経済指標の推移を、グラフを使って具体的に見ていきたいと思います。なお手元の資料とこのスライドの資料が、事務局に私が提出した印刷設定の誤りでちょっと違っております。こちらのスライドをご参照ください。
このスライドは金融危機発生前から現在までの主要経済指標の推移をグラフ化したものです。まず為替レートですが、金融危機発生直前対ドル1.8台前半で推移していたレアル、金融危機以降、新興国通貨が軒並み減価していく中で急速にレアル安が進みまして、12月初めには2.5台に至りました。
その後3月までは2.3から2.5の範囲で推移しましたが、4月中旬以降は外資の流入が進みレアルが買われ、5月には1.9台に突入、9月以降は1.7台で推移しております。年明け以降は米国政府による金融機関への投資規制強化の動きなどを受け1.8台で推移しています。
次に株価ですが、株価の動きは、為替の動きに連動するように推移しております。BOVESPAは金融危機直前はすでにピークアウトの動きを示しており5万台前半でしたが、金融危機発生後急速に売られ、10月末に最安値2万9千台を付けました。
その後年明け以降は急速に回復し5月に危機前のレベル5万台を回復、その後もブラジル経済の回復を受け外資の流入は進み、2010年当初は7万台を付けております。その後は、為替と同様若干売られており6万台半ばで現在推移しております。
外貨準備にいきますと、ブラジル経済が危機以降いち早く立ち直った要因の一つが外貨準備ですが、この水準も金融危機以降は減少しましたが、国内経済の回復、海外のブラジル経済信任の高まりを受け増加傾向となり、現在は危機前を大きく上回る2400億ドルに至っております。
続いて、為替、株価、外貨準備以外の金融指標について簡単にご説明申し上げます。まず、政策金利は7月までに5%の引き下げがありまして、その後は据え置かれています。一方、インフレ率はマクロ経済が、利下げと内需を主因に反転、堅調に推移する中で4.3%に留まり、インフレターゲット内で収束しております。
また、カントリーリスクの代表指数であるEMBIは、金融危機以降大きく上昇しましたが、2009年末には192bpと、経済の回復を受けマーケットのブラジル信任度も戻ったことを示しております。ちなみに、ブラジルの1月末のEMBIは232、他の中南米諸国の数字は隣国アルゼンチンが739、ベネズエラは970となっています。
続きまして銀行業界についてお話いたします。金融危機以降一旦減少した法人向け融資は年後半より増加に転じ、年間では1.2%の伸びを記録しました。また一方クレジットの回復を如実に表したのが個人向け融資の増加です。旺盛な個人消費を背景に19%以上の増加を記録しています。法人向け融資の増加幅が個人向けに比べ少ないレベルに留まったのは、金融危機以降の設備投資抑制、在庫調整の流れが内需による国内経済回復後も暫く続いたためと考えられます。
それでは、2010年度のブラジル経済の展望についてお話いたします。消費者物価は2009年度比ではやや高まりますが、政府のターゲット内に収まる予測です。政策金利は年間で2.5%の引き上げを予測しています。また、為替は昨年末とほぼ同水準を予測する金融機関が多いようです。
続いて当商工会議所加盟各行・各社の金利、為替レートの予測です。今年の予想は、金利・為替とも上下少しバラけたものになっています。これは、国内経済の成長に大きな意見の相違がない中で、選挙戦が金融指標にどのような影響を与えるか、世界経済の回復がどれだけ進むか、海外投資家のリスク許容度合いに変化があるのか、というシナリオにより異なる予想になっているようです。
まず、金利ですが、足許比引き上げ方向に異論はないものの、タイミングと程度については6月末でみると9.25%から10.00%、12月末については、9.75%から11.75%の開きがあります。比較的上がらないと予想されているC行は、「世界経済回復の勢いが弱く、インフレリスクが限定的な中、選挙の影響もあり金利は予想ほど上がらない」とのシナリオに基づいていらっしゃいます。
為替についても、年末レートでみると対ドル1.70から2.00まで開きがあります。足許のレアル安、BOVESPA指数低下をもたらしている海外投資家のリスク回避の動きが今後どの方向に動くかにより予想レートが異なってきているものと思います。
次に過去2回の大統領選挙前後の主要経済指標の動きをごらんください。グラフの真ん中の縦線が選挙当月を指しており、その前後1年半の為替等の動向を示しています。
ルーラ大統領が始めて政権についた2002年の選挙前後は、初の労働党政権成立の可能性が高まるにつれて為替、株とも売られました。政権成立後は比較的穏健な政策を遂行することが浸透するに連れ、為替、株とも上昇に転じています。
一方、ルーラ大統領2選目の2006年の選挙前後は大きなトレンドの変化は生じていません。今回も現状の政策支持を指向するセーハ、ルーラ後継のジウマ何れが当選しても、それだけで金融指標に大きな影響は与えないというのが一般的な見方となっています。
最後に今年1年の見通しですが、総論ではブラジルのファンダメンタルズは相対的に堅調であり、先進国対比高い経済成長率を維持し、安定的な成長を持続できそうです。過去数年間に、ブラジルのファンダメンタルズは著しく改善し、潤沢な外貨準備高をはじめ、かつてない蓄えを有しており、過去の経済危機を教訓に危機に対する備え、インパクトを支えるだけのクッションをこれまで対比作り上げていることは、昨年1年の成果として実証済であります。
これに加えて、今年も中銀の政策、或いは金融システムの健全性といったブラジル金融界全体の大きな枠組みのところに大きな変化はありません。先程大統領選挙の影響については簡単に触れさせていただきましたが、大統領選挙を含め国内には金融の死角となるような要因は少なく、むしろアメリカをはじめとした先進国が懸念している景気の2番底も含め、もしあるとすれば予測しがたい国外要因の影響によるものではないでしょうか。
ブラジルは相対的な優位性から世界の短期投資資金が大量に集まっているわけで、それだけ国際金融での異変が起こった際の反動リスクは高いと言えます。また最近では、ブラジルの経常収支赤字の大型化の懸念が表面化しており、ブラジル経済の持続的な成長に向けて、そして来るワールドカップ・オリンピックを控えて、各種インフラプロジェクトが目白押しであり、こうした資金調達を含めて政府・中銀がいかに上手く収支を舵取りするかが、例年以上に注目されます。
そういう意味では、2010年は、金融の面でもブラジルの真の実力が問われる大切な1年になるのではないかと考えております。
次に保険業界の2009年の回顧と10年の展望を簡単にご説明します。ブラジルの元受保険市場の収入保険料は、医療保険、運用型年金保険を除いて約2兆4千億円となって、9.2%増と堅調でした。
種目別には、生命保険・傷害保険、火災保険・新種保険が2桁の増収。強制保険を含んだ自動車保険は4.8%増となっています。この自動車保険の伸び率が低いのは、強制保険の保険料計算基準が変更となった影響でありまして、自動車保険のみでは14%増収しております。
貨物保険は、経済危機による物流の落ち込みを反映して3.3%減収しました。また、収入保険料に占める支払保険金の割合である損害率については、全保険種目で53.3%と前年比1.1pt悪化しており、特に、自動車保険は69.8%と2.4pt悪化しています。これは、盗難、強奪件数の増加に加え、天候不順による衝突事故件数の増加等が主要要因として挙げられます。
2009年の業界の動きの特徴として、再編が活発に行われたことが挙げられます。イタウ-ウニバンコ銀行グループ゚とポルトセグーログループが自動車保険、住宅火災保険分野で提携、ブラジル銀行グループ゚とマフレグループの提携等により業界再編、寡占化が進みました。
スライドを見ていただけるとお分かりのように、大手3グループのマーケットシェアは合計で55%に達しています。次に、保険業界を巡るもう一つの大きな変化である、再保険市場の自由化について簡単にお話します。
自由化が実施されて2年が経過しますが、その間に海外の主要再保険会社が市場に参入し、自由化前に市場を独占していたIRB(ブラジル再保険院)はシェアを7割にまで落としました。再保険会社の登録は、保険法人形態のLocal6社、事務所形態のAdmitted21社、法人・事務所を設置しないOccasional49社の3形態がありますが、Local Reinsurerに認められている優先引受権が今年1月から60%から40%に引下げられることから、IRBのシェアは今年はさらに減少すると予想されます。
2010年の展望ですが、ブラジル経済の今年度予想を踏まえると、収入保険料は、引き続き拡大傾向が続く一方、損害率の上昇に加えて、昨年政策誘導金利の大幅引き下げで影響を受けた運用益の回復が大きく期待できないことから、損害率が他種目比高い自動車保険については、保険料を引上げる傾向が続くことが予想されます。
また、業界動向としては、ただいま申し上げたような経営環境の悪化、再保険の自由化、ソルベンシー基準、保険会社の支払い能力を表す基準の厳格化が今後も見込まれることから、業界再編、買収の動きは今年も継続することが考えられます。
以上、発表をこれで終わります。ご清聴ありがとうございました。司会:宮原様どうもありがとうございました。ご質問ございますでしょうか。よろしですか。それではどうもありがとうございました。続きまして貿易部会、伊藤部会長よろしくお願いいたします。
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貿易部会 部会長 伊藤友久
伊藤です。貿易部会からの発表をいたします。貿易部会よりは2009年度ブラジルの貿易動向を中心に説明させていただきます。始めに2009年度の輸出入額の総括をいたします。
開発商工省貿易局の統計データによりますと、ブラジルにおける2009年度の輸出総額は前年同期比22.7%減の1530億ドル、輸入総額は前年同期比26.25%減の1276億ドルとなりました。
こちらの前方のスライドを見ていただくと分る通り、最近の、右肩上がりといいますか、過去最高額更新の傾向から一転いたしまして、2009年度は金融危機等の影響により輸出入ともに前年を下回る結果となりました。また輸出総額の22.7%減という減少額は開発商工省貿易局が統計の公開を始めた1950年以降で最大の下落幅となっております。
次に輸出入額の差額である貿易収支についてお話します。こちらのスライドの黄色い折れ線が貿易収支となっております。2009年度は前年比ほぼ横ばいの254億ドルとなりました。昨年まで順調な伸びを示し、2009年に落ち込むという輸出入額とは異なり、貿易収支の方は2006年をピークに落ち込み傾向が続いているということになります。
2009年度の前半、特に第一四半期は内需の減退により輸入額が大幅に減少したため貿易黒字は増加いたしましたが、逆に後半はレアル高等の影響により輸入商品に競争力が出たため、輸入額の増加が輸出額の増加を上回り、貿易黒字は減少しました。
この点、次のスライドで触れさせていただきます。こちらのスライドは四半期ごとの貿易額を表したものであります。見てお分かりの通り、リーマン・ショック以降貿易額は一気に下がります。ただ、2009年の第二四半期は輸入の減少により貿易黒字が大幅に回復しております。しかしながらその後のレアル高の影響、堅調な内需により輸入総額が増加した結果、第二四半期をピークとして貿易黒字額が再び減少傾向に向かいます。
このグラフを見て一つ言えることは、輸出入額ともに2009年第一四半期、もしくは第二四半期をボトムに増加傾向が見られ、流れとしては経済の回復基調が見られるのではないかと思います。以上が大まかな、2009年のブラジルの貿易動向になります。
これから輸出入の取引形態ごとに説明させていただきます。まずは輸出に関してですが、2009年度の輸出総額は金融危機によるコモディティ価格の下落と主要輸出国における需要減退により前年同期比22.7%減の1530億ドルとなりました。
カテゴリー別でも表に記載の通り、すべてのカテゴリーで減少になっております。一次産品が15.1%減の620億ドル、半製品が24.3%減の205億ドル、工業製品が28.2%減の666億ドルで、特に工業製品は前年同期比の927億ドルから666億ドルへと261億ドルの大幅な減少となりました。ただ、引き続き2009年も工業製品の輸出額が第一次産品の輸出額を上回るという過去の傾向は変わっておりません。
簡単にカテゴリー別の詳細に触れますと、一次産品で最も減少したのが原油です。これは2009年前半の価格の下落が大きく影響を及ぼしていると思われます。一方で大豆は、前回の本会議でも説明しました通り、中国向けに大きく増加しておりまして、通年では微増となっております。
次に最も減少幅の大きい工業製品ですが、アルゼンチン向けの乗用車、米国向けの航空機等が落ち込み、大幅な減少となりました。次に輸出相手国について説明します。輸出相手国上位10カ国は表の通りです。
まず注目すべきは、2009年度初めて輸出相手国第一位になった中国です。中国は主要国の中で唯一輸出額が前年比増加となり、200億ドルを記録しました。中国向け商品で大幅に増加したのが、主に大豆、大豆かす、そして鉄鉱石等のコモディティとなります。
次に注目すべきは米国です。金融危機により原油、航空機等の主要品目が大幅に減少し、156億ドルとなりました。後ほど説明いたします輸入額も減少はしているのですが、輸出額の減少の幅が大きく、米国との貿易赤字は過去最大の44億ドルとなっております。
では相手国の中で大幅な減少となったアメリカ向けについて見てみます。米国向けの輸出について言えば、このグラフの通り輸出全体、輸出額自体は昨年までは若干ではありますが増加しております。しかしながら伸び率が低いため結果として全体に占めるシェアは2002年より毎年低下しています。
また2009年度で言えば、ご覧の通り輸出額も減少し、さらにアメリカ向けの減少率が大きくなったため、全体でのシェアはさらに低下しております。すなわちブラジルはアメリカへの依存度割合が年々低下しており、その他の国への輸出が増えているということが見られます。
ちなみに、08年のデータではありますけども、米国嫌いのベネズエラの場合、米国向けのシェアは輸出総額の29%に達しておりまして、ブラジルとの対比が見られます。次のスライドで、ブラジルの全世界の取引状況を見ます。この円グラフは輸出総額に占める地域別のシェアを示したものです。
中国が大幅に輸出シェアを伸ばした結果、アジア向けの金額が26%、EU諸国が22%、中南米・カリブが23%となり、この3地域で全体の7割強を占めることになります。そして次に来るのが米国であり、先ほど説明しました通り実はブラジルの米国への依存度というのは低いことが見て取れます。
ブラジルの輸出はアジア、欧州、中南米と相手先のバランスが取れた形となっております。輸出の説明の最後にトピックスとして、ブラジルの強みの一つになるであろうと言われているエタノールについて少し触れさせていただきます。
スライドは2008年度と2009年度の輸出額と量になります。ブラジルのエタノール事業は順調に拡大していると思われますが、2009年度は輸出に関しては見てお分かりになります通り、米国向けの減少幅が大きく影響して、結果として輸出額は大幅に減ることになりました。
しかしながら韓国や日本およびインド、こちらは順調に増加しておりまして、今後とも、米国の回復しだいというところもありますが、エタノールの輸出というのは増加傾向が続くということになると思います。
ここからは輸入について説明します。2009年度の輸入総額は、前年比26.2%減の1276億ドルでした。カテゴリー別では資本財が17.4%減の297億ドル、原料・中間財が28.1%減の597億ドル、消費財が4.5%減の215億ドル、燃料および潤滑油が46.8%減の167億ドルとなり、輸出同様にすべてのカテゴリーで減少を記録しました。
しかしながら、消費財について言えば、金利の引き下げや政府の補助金による中間層以下の購買力向上によって、微減にとどまったと言えます。また、消費ブームは続いており、ブラジルのショッピングセンター協会の発表によると、国内711のショッピングセンターのクリスマス期間の総売り上げ高は家電等の牽引により、前年比11.3%増の116億ドル。年間でも10%増の455億ドルとなっているそうです。
次に輸入相手国について見てみたいと思います。輸入相手国上位10カ国はこの表の通りでありまして、すべての相手国に対して減少という結果になっています。米国が21.9%減の200億ドル、中国が20.6%減の159億ドルです。また3位のアルゼンチンは14.9%減の113億ドルになりますが、自動車の輸入は増加しております。
自動車については後ほど他の点とあわせて簡単に触れさせていただきます。こちらは輸出同様に地域別シェアについて作ったものです。輸出同様に地域別のシェアの順位は変わっておりません。また輸入になると、米国の割合は輸出に比べて5%増加しますが、輸出同様にアジアが一番、EUが二番、あと中南米、米国と続き、全体的にバランスが取れているグラフとなっております。
2009年度のトピックスとして、自動車に関して少し補足させていただきます。自動車全体は長谷部さんから後ほどプレゼンがありますので、ここでは輸出入という観点で簡単に触れさせていただきます。ご存知のようにブラジルは世界的な不況の中、国内販売台数が過去最高を更新するという結果を残しております。自動車の貿易の結果を見てみると、国内販売は台数は確かに増加しましたが、輸出総額は大幅に減少しております。
一方でブラジルの国内販売の好調さを反映するがごとく、輸入総額は増加しています。また輸出はトップ10すべての国で金融危機の影響により需要減退が進み、減少という結果になっています。特にアルゼンチン、ドイツ、メキシコの上位3カ国で減少額の大半を占める結果となっています。一方輸入は、自動車だけにフォーカスを当てると、前年比2.3%の増加という結果になっています。流れとしては欧米からの輸入が減り、韓国、アルゼンチンからの輸入が増加するという傾向が見られます。
次に対日貿易という点について話をさせていただきたいと思います。2009年度の対日貿易は輸出が前年比30.2%減の43億ドル、輸入が22.1%減の54億ドルとなり、全体の傾向と同様に輸出入ともに減少となりました。その結果、2009年は前年の日伯間の往復貿易額である129億ドルから大幅に減少し、100億ドルをも下回る96億ドルという結果になっています。ブラジルの貿易額に占める日本のシェアは、輸出が2.8%、輸入が4.2%で、国別順位では輸出入ともに前年の6位、5位から変動はありませんでした。
また2008年に引き続き、日本の需要減少等により、対日貿易収支は赤字となっています。なお前年度のブラジルの貿易額に占める日本のシェアは、輸出で3.1%、輸入で3.9%でした。すなわちシェアとしては日本向けの輸出が減り、日本からの輸入が増えたということで、短絡的に考えると両国の金融危機からの立ち直りの度合いの差が出てくるような感じが見受けられます。
最後に2010年度の見通しについて少し触れたいと思います。1月15日付のブラデスコ銀行の予測では2010年通年の輸出額は1699億ドル、輸入額が1602億ドル、貿易収支は96億ドルで、輸出入額ともに増加しますが、貿易収支が今年度比50%落ち込むとの見込みです。
なお2010年1月の貿易収支は、マイナスの1億6600万ドルとブラジル政府が発表しております。この赤字額は2009年1月の赤字より少ない一方、2009年12月が21億7800万ドルの黒字であったことから、前月比ベースでは大幅な下落となっております。この点ブラジル政府も非常に気にしていると言われています。
また、今後の為替の動向にもよりますが、レアル高による輸出企業の競争力低下、またオリンピック、ワールドカップに向けての国内インフラの整備のため、さらなる輸入増も考えられます。貿易黒字の減少傾向というのは、今後も続いていくのではないかと考えられております。
ブラジル政府はエタノール燃料輸出促進のイベント開催等、輸出額回復のための策を検討しているとの事ですが、今年度は大統領選挙を控えていること等から即座に回復に結びつく可能性はあまり高くないと見ています。2009年度は2008年から始まった全世界での金融危機による不透明な世界動向の中で始まり、推測が非常に難しい状況でありましたが、流れとしてはブラジルの景気は世界に先駆けて回復傾向に入り、定石的な面から見ればやはりブラジルは世界の中でもさらに期待できる市場へと進化すると考えています。そんな流れを感じさせる2010年のスタートではないかと我々は思っています。
ブラジルの強みである4つのポイント、一つ、国内市場の大きさ、二つ、豊富な鉱物資源、農業資源、エネルギー資源、三つ、金融機関が依然として健全であること、四つ、民族、宗教の対立のない、テロのない安定した国であること。これらを考えれば長期的にブラジルの成長は止まらないと信じています。本年は選挙の年であり、当面は景気刺激策と人気取り政策が継続され、本年度中の経済の冷え込みは考えにくいと考えています。
一方で財政赤字の拡大、レアル高、インフレリスク、中国経済の影響度拡大といった懸念事項があり、これらの懸念の払拭が今後のブラジルの持続的成長のために必要な点と考えています。前回も申しましたが、日本とブラジルは補完関係にある国同士でありまして、ブラジルの日本におけるプレゼンスを高め、逆に日本のブラジルにおけるプレゼンスを高め、さらなる関係の強化、そしてその結果の実現を切に望みつつ、貿易部会のプレゼンを終わらさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
司会:伊藤部会長どうもありがとうございました。ご質問ございますでしょうか。じゃあどうもありがとうございました。続きまして機械金属部会、西岡部会長よろしくお願いいたします。
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機械金属部会 部会長 西岡勝樹
ただいまご紹介にあずかりました日立製作所の西岡でございます。それでは機械金属部会2009年の回顧と2010年の展望についてご説明させていただきます。聞こえますでしょうか。
ご存知のように機械金属部会は多種多様な業種分野に分かれております。今回はこの1から10の業種分野についてご説明させていただきます。
それではまず鉄鋼鋼板分野。前々回、昨年なんですが、この業種説明会ではお天気予想で説明させていただきました。好評につき今回もお天気で。鉄鋼分野、2009年の回顧は、曇りでございました。その概況は。国内。まず上期、マイナスの42%、ただし7月以降は順調に回復しております。
下期は上期比でいきますとプラスの36%。ただし通年でいきますとマイナスの26%にとどまっております。輸出。国内需要減カバーのため輸出ドライブをかけた結果、プラスの41%と大幅増になりました。輸入。ミルの国内供給力アップもあり、前年比マイナス24%。例年に比べては高水準でありました。それでは2010年の展望、薄日と予想されております。これの概況ですが、国内は昨年下期より順調な販売レベル維持を期待しております。通年で15%のプラスを予想しております。
輸出は、国内需要堅調に推移するだろうと。タイトな状況が続くと予想されております。輸入分野では昨年末のCSNのトラブルがあり、緊急輸入もあって前年比大幅増の予想をされております。
ということで2010年の展望を、今回ちょっと色をつけまして、降水確率で表現させていただきたいと思います。では降水確率、2010年の天気は何%でしょうか。10%です。これは、傘はいりません。
次は電力および大型プロジェクトについて。2009年の回顧、まあ天気ですけども、これは曇り時々雨。という状況でした。その概況を申しますと、まあペトロブラスの大型投資が継続されて、これが経済の牽引役で原動力、波及効果が大きかったと。
ただし全般的には金融危機の影響があり、新規投資の見合わせなどが出ております。ただし大型プロジェクトとして続々出ておりますので、例えばモノレールのプロジェクトとか、ご存知のように新幹線のプロジェクトが起こっております。で2010年のお天気は、薄日でございます。
この状況を言いますと、ペトロブラスの旺盛な投資にやはり期待が高まっております。モノレールの案件、入札も発表がありました。また新幹線のプロジェクト、これは進捗状況にもよりますけども、それとは違ってエネルギー関連の設備、環境関連の整備に期待が高まっております。
まあ具体的な例として船舶機械、VALE社から造船の発注あり賑わいを見せているという報告も受けております。それでは2010年の降水確率、10%です。これも傘はいりません。
次にプラント。紙パルプ、石油化学、エタノール等の分野です。2009年の回顧、お天気はどうだったんでしょうか。くもり時々雨でした。その概況を申し上げますと、紙パルプ、この分野は金融危機で需要が相当落ち込みました。輸出価格の下落、でいましばらくは回復は見込めずという状況でございます。
石油化学分野ではやはり先ほどいいましたペトロブラスのみが好調な業績で、投資意欲に支えられておると。鉄鋼・非鉄分野では、後半景気回復いたしまして、投資計画などが発表。明るさが少し見えてきたと。エタノールでは需要の落ち込み、業界の再編などがあり、まあ具体的には設備投資は進まなかったという状況でございます。
それでは2010年のお天気、展望は、薄日ですね。この状況を見ますと、紙パルプ、これはまだ世界経済の安定次第で再開は2011年ごろではなかろうかとということです。石油化学、これは依然ペトロブラスが旺盛な投資がありますので、ただしその他の石油化学分野、会社ですね、どこまで投資を具体化できるかが鍵となっております。
鉄鋼・非鉄分野では、需要回復基調でございます。商談増に期待がかかっております。エタノール分野も、先ほども申しましたが業界再編が進展中でございますと。まあ現在はまだちょっと不明な状態ですということで、天気、降水確率は10%。これも傘は今のところいりませんという状況でございます。
次に建設機械。これは2009年の回顧としましては薄日だそうでございます。概況といたしまして、総需要台数、2009年の3クォーターが底で、4クォーター、後半からが低利子、FINAMEという低利子の金利融資がございますが、これが寄与しまして上昇傾向にありますと。生産台数の推移も2009年2クォーターは在庫調整をしておりましたが、3クォーターから通常稼動に戻っております。
で2010年の展望は、曇りでございます。概況といたしまして、総需要台数、2010年の上半期は上昇傾向が続くと予想されております。が、下半期、大統領選挙の前後の需要縮小リスクというものも懸念されております。生産台数でいきますと2010年は生産量は2008年と同レベルと予想されており、降水確率はちょっと20%くらいで、傘は微妙な状況だということでございます。
5番、産業用の圧縮機。2009年の回顧でございますが、雨時々嵐でございました。その概況は、食品業界では2009年、前年比がなんとマイナスの30%ですと。全体として9月まで新規の投資がございません。ただし10月以降受注、見積もり案件が増加傾向に転じたと。
ただし大手食品業界の統合再編などがあって、少し苦労しているという状況だそうです。あとペトケミ関係で申しますと、2009年の前半は前年比マイナス50%と、まあ陸上プラントの延期・中止とまた受注減が重なったということでございます。
それでは2010年の展望として、これも薄日でございます。その状況は、食品業界、2010年、一応プラスの30%を予想しております。冷凍冷却設備、低金利融資の影響で回復基調を予想しておりますと。
しかしまだまだ大きな設備投資は控え気味であるということです。で、最新の技術を使い新市場開拓への展開。またはワールドカップ、オリンピックへの設備投資を期待しております。ペトケミ関係ではまあプレサル向けのプラットフォーム、新規投資計画への動きがございます。ということで、ほぼ降水確率は20%で、傘は微妙ということでございます。
6、電動工具。2009年の回顧、曇りでございますと。その状況は、2009年上期金融危機の影響でやはり低迷がございましたと。しかし後半にかけて徐々に回復、2008年並みの売り上げを達成できたと。地域的にはサンパウロの落ち込みは激しいが、投資が著しい北部、北東部諸州がカバーしている内容だということでございます。
2010年、えー、薄日でございます。その状況は、2010年は大統領選挙もあり、建築、インフラが活況の見込みでございます。GDP並みの売り上げを期待していると、GDPの成長率ですよね。農業関係向けのエンジン製品ということで、修理店網を充実させ、伸びており大きな柱になりつつあるという状況だそうでございます。それで、降水確率は10%、これは傘はやはりいりません。
7、農業機械。2009年の回顧、これは雨時々晴れ。薄日です。状況は、エンジンビジネスでいいますと、2008年末、急激に需要が冷え込みましたと。ただし2009年の2月まで低調が続き、3月から回復の兆しと。2クォーターでは対前年比一応95%まで回復したということでございます。
トラクタービジネスでいいますと、小規模農家の支援策、例えば75馬力以下のトラクターが低金利融資政策により活況を呈していると。2008年以上だということですね。まあただし採算面では厳しいという報告を受けております。
2010年の展望、これは晴れだそうでございます。概況は、エンジンビジネス。1月現在、好調だった2008年の水準まで回復しておりますと。2010年の販売は前年比117%を見込んでおります。トラクタービジネスでは低金利政策により小型トラクターが引き続き好調を維持すると予測しております。で、降水確率10%、傘はもちろんいりません。
8、各種工具、精密機械。切削、耐磨工具なんですが、2009年の回顧、雨時々曇り。その概況は、切削工具、2009年2月やはり底でした。ただしゆっくり回復して、10月以降は回復の手ごたえがございましたと。これはまあ自動車生産の回復、部品メーカーが軌道に乗っていると、ただし一部には以前のレベルにはまだ戻っていない会社もございますと。
耐磨耗工具、下期は増産基調でございますと。鉱山工具も下期に回復基調だということでございます。
2010年の展望、薄日でございます。状況は、切削工具、2009年度下期実績の15%以上の伸びを期待しております。耐磨耗工具は鉄鋼業界の投資の動きがあり、引き合いも順調で期待ができる。鉱山工具、ワールドカップ、オリンピックに向けた土木工事に期待をしております。精密機械工具につきましてはまだまだ厳しい状況でありますが、まあ回復基調であり、10%アップを期待しております。で、降水確率でいきますと、10%、またまた傘はいりませんと。
軸受業界、これはどうでしょうか。2009年の回顧、曇り、晴れ、雨。曇り時々晴れ、そして雨だそうです。その概況は、自動車向け軸受は対前年度比103%でした。一般産業向けも農機、家電、モーター等政府支援の産業は回復基調にございます。鉄鋼、鉱業、エタノール、工作機械はやはり需要減で、投資の延期などで低迷を迎えておりますと。まあただし現在は緩やかに回復傾向にございます。ただしレアル高の影響で、中国製品の流入で一部苦戦をしております。
2010年の展望といたしましては、薄日でございます。その状況は、自動車、二輪、客先生産の予定の動きがあり、自動車は対前年度比で103%、二輪では対前年比116%。期待が大きい、でございます。一般産業向けでは2010年回復傾向が続くと予想されております。2008年のレベルまで回復。対前年度比では116%を期待しております。ただし、これは前期と同じなんですけども、レアル高の継続、輸出型のお客様は回復はまだじゃないかということだそうです。それで降水確率は10%、これもまあ傘はいらないでしょう。
最後なんですが、潤滑油の市場は、2009年の回顧、雨時々曇り。その概況は、2009年、金融危機の影響をやはり大きく受けました。対前年度比ではマイナスの20から30%の販売の落ち込みでした。ただし後半、90%までは回復してきております。世界経済の冷え込み、航空機械関係の冷え込みが心配しておりますと。安価な中国機械が流入して潤滑油の需要も間接的に減少していっているという報告を受けております。
2010年の展望としましては、曇りです。その概況は、2010年、まあ回復傾向が見込まれ、2009年を上回り2008年度の数量に近づくんではないだろうか、まあ2009年の10%増の期待はしておりますと。ただしレアルの高い水準が続くと輸出関連企業の回復は鈍いんじゃないかということで、まあ降水確率は10%、これも傘はいりませんということでございます。
それで機械金属部会全体の2009年の回顧はどういう状況ですかと、お天気でいいますと雨時々曇りでございました。その概況は、2009年は世界金融危機、経済危機の影響を受けてスタートした年でありました。前半は厳しい見通しではありましたが、政府の自動車、家電へのすばやい減免措置で危機の影響は大きくは広がらなかったんじゃないかと思っております。
で、2010年の展望でございますが、薄日が差すだろうと。その状況は、まあ確かに2010年は、今年の一番の焦点というのは何と言っても大統領選挙でございます。政治、経済政策の行方がどう変わっていくのか、注目したいと思います。ただし、経済の回復、発展の基調は変わらず、成長は継続していくことでしょう。で、降水確率は10%。傘は、いりません。どうもありがとうございました。
司会:えー、内容に関係なく元気のある発表ありがとうございました。何かご質問ございますでしょうか。はい。
質問:大統領選挙があると需要が増えるのか減るのかということなんですが、4番目の建設機械では大統領選挙前後の需要縮小リスクありとあって、6番目の電動工具では大統領選挙もあり建築・インフラが活況の見込みとあるんですが、これはどういうふうに理解したら。
西岡部会長:すいません、あとで聞いて発表させていただいてもいいでしょうか。業界が違うもので、申し訳ございません。
司会:では後ほどご回答をいただくということにしたいと思います。他にございますでしょうか。それでは次に参ります。自動車部会、長谷部部会長よろしくお願いいたします。
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自動車部会 部会長 長谷部省三
自動車部会の長谷部でございます。タイトルは皆さんと同様で2009年のレビューと2010年の展望ということで、ここの目次に基づいて発表させていただきます。
毎年言っているんですけども、西岡さんの後、淀川長治ばりの発表の後非常にやりにくいんですけど、大人しく、しっかりと内容を説明していきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。次スライドお願いします。まずは四輪の動向についてでございます。お願いします。
昨 年の年初にですね、日系メーカー2社の予想ということで、243万台の予想ということでお話を申し上げまして、その後自動車工業会のANFAVEAが 271万台、7月には300万台という予想をしたわけなんですけど、結果的に314万台ということで史上最高のマーケットになりました。この内容という か、バックアップした要素につきましてはIPIの減税と国内経済の回復ということが主要因だったということでございます。次お願いします。
次に月別の状況を見てみますと、3月、6月、9月、12月にピークが来ております。これは皆さんご存知の通り、それぞれの月にIPIがいったん切れるということでございましたので、その駆け込みがございまして、かなり前年を上回った実績になっております。
こ の駆け込みが故に、年間の台数も一昨年度を上回ったのではないかと思います。もう一つ特に注目すべきはですね、オレンジのラインで示しておりますが、これ はトラック・バスの前年比の状況でございます。年後半にかけてかなり伸びてきております。これはまあ、自動車業界だけじゃなくて、やはり経済を反映してい るのではないかというように考えております。次お願いします。
IPIでございますが、乗用車につきましてはここの表にございます通り、 Flex車は今年の3月まで今のIPIの減税が継続いたします。商用車・ピックアップ関係およびバス・トラックに関しましては6月まで現状のIPIが続く ということで、この期間については業界としては安心かなという状況でございます。次お願いします。
今までが販売の話でございましたが、生 産でございます。生産台数も318万台ということで一昨年から若干台数としては落ちてきております。まあここは、貿易部会から発表がございました通り、輸 入車が増えてきております。逆に輸出が減ってということが、市場が伸びているにもかかわらず生産台数が伸びなかったということになるかと思います。次お願 いします。
販売の中身を見てみますと、1リッター未満と1リッター以上というふうに分けてみますと、2008年までは1リッター未満の車 がだんだん減ってきていたという状況でございますが、まあIPIで買いやすくなった限界層のお客さんが市場に入ってきたということで、若干でございますが 1リッター未満の車が増えたというのが昨年度でございます。次お願いします。
支払い条件別に見てみますと、キャッシュのお客さんが増えま した。かなり金利が下がって、予想としてはクレジットおよびリースが増えたんじゃないかというようなことでございましたけども、結局金利が下がったとして も与信の条件の厳格化ということがございまして、実は買っていただいた支払いというのは現金が増えているという結果でございます。次お願いします。
先ほど申し上げました通り、販売台数の中の国産車と輸入車の台数というのはこういう実績でございます。それとマーケットの在庫でございますが、2008年末に比べまして昨年末の在庫日数はそれぞれメーカー・販売店ともかなり減ってきております。次お願いします。
これも貿易部会の方からございましたですが、韓国車の輸入が増えたということでございますが、ここにメーカー別に見てみますと、昨年までトップ3に入っていなかったHYUNDAIが昨年度の輸入車の中ではナンバー1ということになってきております。残念ながらKIAの数字が取れませんでした。次お願いします。
2010年、本年度のマーケットの予想でございますが、これは自動車工業会ANFAVEAの数字を使わせていただいてますが、本年度のマーケットは340万台、前年比で言いますと8%増ということになると予測しております。生産台数も同様に約、国内マーケットと同様の約340万台前後の生産台数になるとの予想でございます。次お願いします。
各メーカーの投資の計画でございます。これは新聞に載ったのをそのままリストアップしているだけでございまして、実際に実施するかどうかというのと投資金額については定かではございませんですが、2009年と2013年の差を足しますと100万台以上の差がございまして、このまま実現すれば各メーカーとも積極的に投資をして、この伸びるブラジル市場に備えようという意図がしっかりと見て取れると思います。次お願いします。
引き続きまして、二輪市場についてご説明申し上げます。二輪市場は四輪とはまったく色が異なっておりまして、ここにあります通り158万台、前年比84%。生産につきましては146万台、前年比68%ということとなりまして、まだ在庫調整の局面というふうな状況でございます。輸出についてもですね、下の折れ線グラフで示しています通り、6万1千台ということでかなり減ってきております。輸出先の市場低迷が影響したのではないかということでございます。次お願いします。
月別に見てみますと、棒グラフの推移と折れ線グラフの推移が大きく違っておりますが、一昨年度の2008年の10月以降の台数が非常に少なかったものですから、前年比としては10月以降の数字が100%を超えるということになっておりますが、実際数としましてはまだまだ本格的な回復には至っていないというふうな現状でございます。次お願いします。
二輪のほうの支払い形態別の推移でございます。ここは四輪と同様にですね、リース・クレジットが減って、ここはコンソルシオが増えたというふうなことでございます。やはり与信基準ということが影響してリース・ファイナンスが減ったというふうな分析結果でございます。次お願いします。
部品業界でございます。残念ながら直近のデータが取れませんので、2008年の予測ということで、まあここのグラフを見ていただきますと2008年までは順調に国内市場が伸びてきております。こういう状況でありまして、多分2009年の部品の売上高の推移としても四輪の生産台数あるいは販売台数同様の伸びを示しているんじゃないかというふうに想像されます。次お願いします。
課題でございましたブラジル経済の動向ということでございますが、メンバーの意見を総合いたしますとブラジル市場は、自動車産業は手堅い国内需要に支えられて今後も順調に推移するだろうということでございます。ただし、マクロで見ますと、これも他の部会でも報告がございましたですけども、やはり世界経済の動向に左右される部分があるだろうと。
まあこれはアメリカ経済の回復度合いであり、かつ中国のバブル経済の破綻があれば、ブラジル経済も影響を受けるであろうということです。2番目にやはり為替の問題で、これは輸出入だけに関わらず、経済自身に与える影響が出てくるだろうと。
3番目に、ここではドバイの経済危機、直近ではギリシャの経済問題ということでございますけども、こういうまだ表面に出ていない部分があるんではなかろうかと。そういうことが出てきた場合については、それはやはりブラジルといえども影響を受ける可能性が高いんではなかろうかと。
それと、自動車業界が抱えるリスクといたしましては、昨年度2009年の市場が396とIPIのおかげでというふうなことでも過言ではないような市場の動きをしたと。じゃあIPIなかりせばということは、これが一番の大きなリスクではなかろうかというふうに思います。
特に選挙については、そのマーケットに与える影響というのは軽微であろうというのがコンセンサスでございます。後ほど移転価格税制の件についても話があると聞いておりますが、生産産業にとっては今回の新しいIPIの制度というのは、たいへん大きなインパクトとを与えて、悪いインパクトになります。
多分これが施行された場合については、生産事業の投資意欲というのは大きく殺がれてですね、たいへんなことになるんじゃなかろうかというのが、私どもの会社もそうですし、まあもう1社さんにも聞きましたところ同様の答えでございましたし。ということでですね、一回多分会員の皆さんで100%このインパクトについて分かって、というか、ご理解いただいていない方がいらっしゃると思いますので、ぜひセミナーとかですね、そういうことを開いていただいて、特に生産関係の会社におかれましては、しっかり理解した上で対応というか、対応どうしようもないんですけど、考えられたらいかがかなと。
ちなみにANFAVEAおよびSindipecasはすでにこの移転価格税制について反対の意向を示しておりまして、もうロビーをはじめております。ということだけをご報告させていただきます。以上でございます。
司会:長谷部部会長ありがとうございました。先ほどの移転価格税制につきまして追って日伯法律委員会から説明がございますけども、それとは別にですね、一度整理をしてセミナーを持ちたいと思います。それでは前半最後になりますが、電気電子部会、三好部会長様よろしくお願いいたします。
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電気電子部会 副部会長 三好康敦
皆様こんにちは。電気電子部会の三好です。一応コーヒーブレイク前の最終のプレゼンテーションを務めさせていただきます。よろしくお願いします。
まず電気電子部会の構成なんですが、一応今回アンケートを回答いただいた12社のうち、3社が民生機器、家電ですね、皆さんが一般家庭で使われている機器を扱っているメーカー様。あと2社が精密事務機。あと電子部品関係も2社。そして通信、電力、楽器、時計、あと音響でそれぞれ1社ずつでした。
そういう意味では多岐にわたって使われている電子機器の、1社のみのところもございますが、その辺の意見で全体の流れがつかめるかと思います。それでは2009年の回顧、2010年の展望についてお話させていただきます。
まず電気電子業界の全体の規模についてです。一応電気製品の需要は経済の回復とともに2009年の後半から回復して、オーディオビジュアル、白物家電は前年比のほぼ100%を達成したというような状況でございます。また減税措置を受けた白物家電、あとパソコン、IT関連、あとFA、産業機器は前年より微増と。で、業界全体では前年比の98%、まあほぼ横ばいというような結果でした。次お願いします。
こちらはマナウスフリーゾーンの生産動向です。まずテレビにつきましては、薄型化が進んでいますが、台数的にはまだブラウン管が多いような状況です。2010年度はたぶん薄型がCRTを追い越すということになるかと思います。あとデジカメも引き続き成長してますが、多少成長は減速化しています。
自動車の販売は、先ほどの長谷部部会長の説明の通り好調でしたが、一方でカーオーディオは失速状態であるというようなことです。たぶん車を皆さん購入されてカーオーディオまで購入するまでお金が回らないのか、ということかと思います。あと電子レンジの生産台数も伸びてきていますが、これは低価格、ローエンドモデルが輸入に切り替わっていたものが若干マナウスの現地生産に戻っているということからです。次お願いします。
マナウスフリーゾーンにおいての輸出入、雇用状況についてですが、一応前年比で全体の大体7割ぐらいと。このマナウスフリーゾーンはもちろん電子産業が所在しているんですが、あと二輪産業もマナウスの方ですので、まあ電子産業の若干の縮小よりかは逆に二輪の産業の落ち込みがこの数字に表れているかと思います。参考までに雇用の数についても、1万5千人減少して2006年以前のレベルまで後退しているというような状況です。次お願いします。
テレビの価格状況です。クリスマス商戦では一応多くの販売店で前年比二桁増の実需が確認されていますが、一方でやはり小売店での競争が激化、メーカーの在庫完売対策も加わって、いったん値上げした市場価格が大きく乱れる結果となっております。
参考までに例えば、32インチのLCDテレビですが、2009年1999レアルとありますが、年末店頭では1699まで下がっているというようなことがあります。薄型テレビは金融危機で各社生産を落として、2009年度の前半供給を絞り込んでいましたが、一応7月以降経済の回復に伴い需要が増加して、生産が追いつかないというような状況がずっと続いていましたが、年末に一応供給が追いついてその関係で価格下落になってしまったと。
あと流通の大型再編でポン・デ・アスーカルグループがポント・フリオとカーザス・バイーアを買収しました。まだこれは独禁関係でCadeの承認待ちではありますが、今後の動向は要注意の案件だと思います。次お願いします。
部会参加企業の2009年の回顧としまして、白物家電、あと車の減税でこれは直接需要の回帰になりました。あと、経済回復で薄型テレビも、先ほど申し上げた通り7月以降需要が逼迫して年末には供給がやっと追いついたというような状況でございます。
あとB2Bの業務用機器・機材の販売も下期には強い回復を示したと。あと電力通信のインフラ投資も順調に進んだと。ただし一部為替とかあと競争の中で案件の取り合いで収益面が厳しかったというふうに伺っております。
売上実績については、アンケートでは一応「成長・維持・縮小」という形で回答をいただいたんですが、まだら模様で、4社ずつと分かれた結果となりました。で、総合の評価については一応計画通りという回答が3分の2、悪かったというのが3分の1と、良かったという回答は一つもなかったというような状況です。
やはり輸入財が多いこの電気電子分野では、大半の企業の方達はやはり為替変動に非常に悩まされたと。年初のレアル安、でレアル高、これが原価ドルベースで末端の市場もドルの連動で値下げを要求してくる一方、固定費の吸収等といろいろ厳しいというような話が部会の中で出ました。
あと最終消費者向けの販売をしている所では、やはりそのSubstituicaoTributaria等の対応で、一部では業務の支障が生じたり、あとはこのSubstituicaoTributariaにともなう値上げ交渉で販売に悪影響を及ぼしたというようなコメントも受けました。次お願いします。
2010年の展望についてですが、まずはこのサッカーワールドカップなどはテレビの需要引き続き、テレビの販売は好調であろうと。あと大統領・州知事選挙の経済波及効果に、まあプラスの方向に働いて行くべく期待をしていると。しかしながら金利政策、あと為替動向、あと今後の投資動向、でさらには韓国、中国勢の競合、この辺を非常に部会のメンバーは懸念されております。
あと先ほどお話のあった移転価格税制、あと電気電子の分野で言いますと、プラグ法の変更ですね。これは今年からコンセントに差し込むプラグを全部替えなきゃいけないと。まあこの辺も懸念事項として挙がっていました。しかしながら一応予想については、大多数、11分の12が成長を見込んでおります。
まあ縮小を予想されているメンバー様は、事業再編の中で売上が減ると。ただし全体ではプラスの方向に向かっているということでした。で、今後の課題としましては、やはりこの拡大戦略達成のための営業の強化とかが挙げられていました。一方で経費削減、収益も半数が挙げています。いずれ、まあ全体の流れから言いますと、今年は攻めの年になるというようなことです。
最後になりますが、地デジの進展状況について手短かに報告したいと思います。一応2007年の11月に放送が開始以来、主要都市にて順調に放送が拡大しておりまして、現在28都市、総人口で40%にて地デジの視聴が可能となっております。
この2年間で達成したカバー率は世界で最も早い投入とまで言われており、放送事業者の地デジに対する意気込みがうかがえるかと思います。一応7つの州都でまだ放送が始まっていないわけですが、これも2010年に早期に行われて、ワールドカップは皆HDで、ハイ・デフィニションで観戦したいというようなことがこの業界でよく聞く話でございます。
基本的に日本方式を採用している中で、日本と同じくハイ・デフィニションの固定受信、それとワンセグのポータブルの受信が可能となっております。主要コンテンツで、HDコンテンツでいいますと、サッカーとか、ノベーラとか、映画がございます。
まあこの業界に対しては一応32インチ以上のテレビは今年から地デジチューナー内蔵が義務化されておりまして、来年から26インチ以上、その次2012年からすべてのテレビに地デジチューナーが内蔵されるということになっております。また今年はデータサービスが立ち上がるというようなことが大きな話題となっております。次お願いします。
あと、南米でも日本方式が普及しているというのが、いろいろと情報が流れているかと思いますが、一応2006年の6月にブラジルが採用以来、ブラジルと日本の両国政府レベルで南米の働きかけを進めてきて、この辺の結果が実ったのが去年からで、去年の4月にペルー、8月にアルゼンチン、9月にチリ、そして10月にベネズエラがそれぞれ日本方式を採用しております。
南米他国でも評価がされており、日本方式の採用の可能性が高まって、非常に高いというような状況です。また、欧州方式を採用した国では試験放送すら始まってなく、日本方式への逆転の可能性もあるというような状況です。以上で電気電子部会の発表を終らせていただきます。
司会:三好様どうもありがとうございました。えーと、少し時間の余裕がございますので、前半の内容に関しましてもしご質問ございましたら一つか二つお受けいたしますけども、もし休憩時間に私の方にお持ちいただいても結構ですのでよろしくお願いしたいと思います。それではコーヒーブレイクに入ります。約20分ということで、4時10分開始ということにしたいと思います。よろしくお願いいたします。
司会:それでは後半の部を開始させていただきます。それに先立ちまして前半にご質問いただきました大統領選挙の影響ですね、機会金属部会、西岡部会長の方から回答を申し上げます。
西岡部会長:先ほどは失礼いたしました。回答できませんでしたので、確認して参りました。建設業界の、コマツさんからのレポートだったんですが、大統領選挙前後でどうして需要のリスクがあるのかということなんですけども、コマツさんの場合、政府関連の入札案件が結構多ございまして、それで今ですね、与党、一生懸命やっておっても、もし与野党が逆転した場合、その決まっておった入札が政党が替わる事によってまた見直しがかかると。もしくはゼロになる可能性もあると、そういったリスクということで表現させていただいたという回答でございます。
通常は大統領選挙、公共事業とか伸びる形で、前者の方は、工具ですね、電動工具とかそういう需要がございますので、実際には大きく期待しているという状況でありますが、一部あのコマツさんの方ではそういう懸念もあるというような回答でございます。
司会:ありがとうございます。それでは繊維部会、金原部会長よろしくお願いいたします。
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繊維部会 部会長 金原 彰
こんにちは。繊維部会の金原です。よろしくお願いします。では早速始めたいと思います。繊維部会部会員の2009年の回顧と2010年の展望ということでまずまとめました。
まず2009年の回顧ですが、1番。上期は暴風雨、下期は晴れ、通期ではくもりということで、業績で申しますと、前年比では減収減益でしたけれども、各社とも利益を確保したと。
2番目、2010年の展望ですが、先ほどから話題になってましたけど、今年はワールドカップ、大統領選挙の年でもあることから、内需の拡大を背景に好調に推移すると予想しております。では今このように判断しました理由について、原綿から説明させていただきます。
まず国際原綿。世界綿花需給実績と予想。これは2010年1月10日米農務省発表の数字です。2008年/9年度は、綿花の年度というのはここに書いてありますけど、8月から翌年の7月なんですよね、ちょっとずれるんですけど、収穫の絡みで。生産と消費ともに減少し、在庫率が54.8%。ここの部分ですね。量的に問題ありませんでした。
2009/10年度の生産は3年連続減少予想でタイト感。ここ段々下がっているわけですね。で、需要もちょっと増えることから在庫は2003/4年以来の低水準で、在庫率は45.2%、こういうふうにぐっと下がるということになります。ちなみに生産ですが、中国が約3割生産しまして、使う方も4割ということで、中国の動きで大きく変ります。
国際原綿の綿花相場。ニューヨーク定期の月末の終値を3年間表にしてあります。2009年はこの赤ですね。2009年は年初ポンド40セント台。この辺りでしたが、供給不足予想等の要因により、徐々に値を上げ、段々上がりまして70セント台になったと。2010年はポンド60セントから80セント後半の値動きかと。
この値段というのは今後の世界経済の動向、ファンド筋の投機動向、紡績段階以降の採算性、まあ高くても買えるかどうかということになるわけですが、それとか天候に影響されます。で現在、今2月の頭ですが、この辺りでして、ちょうどこの2月が上がっていますけども、これにこう行くのかなという感じです、先は分かりませんが。
次に国内原綿。国内綿花需給実績と予想。2010年1月のCONABの発表です。2009年は前年比、作付面積が21.8%減りまして、生産量が25.5%減、121万トン。ということで大幅な季節在庫が減です。65.5から48.6になりました。2010年は昨年並みの作付け面積で、生産量も120万トン、横ばいですね。加えて消費増加が見込まれ、タイト感がある。そういうことで季節在庫はさらに減少し、39.2%になる見込みです。
国内原綿の綿花相場。ESALQ月末の価格、これも3年とってあります。で同じように2009年は赤ですね。2009年、相場は年初来ポンド1.2レアルぐらいです。このぐらいだったわけですが、9月ごろから国内消費の回復、良質綿花不足、来年の綿花のタイト感予想によって上昇に転じ、年末には1.36レアルまで暴騰した。
2010年の予想ですが、相場は上昇を続け、現在1.44、この辺りにいます。で、次。紡績は現在フル生産でありますし、綿花高がこの後続くのかなと予想されます。まあこういうふうにすぐ下がらないでもう少し上にあるんではないかということですね。
次に綿糸。国内の綿糸ですが、綿糸の価格、コーマ30をグラフにしてあります。2009年上期は消費低迷により紡績は在庫増。生産調整も実施しました。相場はここ数年で最も下落、これでさっきの暴風雨ということになったわけですが、下期に入って国内消費が急回復、在庫も減りまして相場も上昇しました。2007年、08年よりも良い値段になりました。
2010年の予想ですが、衣料品需要が伸び、輸入綿糸拡大の懸念は小さく、これについてはこの後説明します、綿花高でもあるし、綿糸相場は上昇が予想されます。糸の値段というのは、まあ原綿の価格が原料になるわけですが、我々のお客さんは綿が高くなればある程度は値上は認めてくれるんですね。
工場コストである労務費とか、電気代のほうはあまり認めてくれないんですが、綿の高い部分はある程度認めてもらえますので、相場は上昇が予想されるということです。
次これは、さっきはコーマでしたが、カード30、カード30というのはコーマに比べて毛羽がちょっと多い糸でして、大体これもブラジルですとキロ1レアルぐらい安い値段なんですが、全く同じような動きをしております。
綿糸の貿易。綿糸の輸出入実績の数量をグラフにしてあります。2009年、対前年同期比、輸出輸入とも大幅に減少しています。輸出は62.4%減、輸入は45.6%減。輸出はアルゼンチンの輸入規制のため、輸入は国内消費の低迷とレアル安のために減っています。
2010年の予想ですが、輸出は安価なインド綿糸に近隣諸国市場を抑えられ、当面復活する見込みはない。輸入は2010年1月以降の関税の引き上げ、14%から18%になったということ。それから世界需給回復による需給タイト化、まあブラジルまで糸が回ってこないというそういうことですね。それからそのための為替も1.7ぐらいであれば、2009年並みに留まるであろうということです。
次に綿糸の輸出入実績の金額でまとめました。作っているものが一緒で、出しているもの、輸出しているもの輸入しているものが同じようなものですから、まったく同じ傾向を取っています。2008年と比べれば輸出入とも大幅に減少、2010年について言えば輸出はさらに減少か、輸入は2009年並みか微増であるだろうと。今まで2008年までは輸出が減って輸入がどんどん増えてきたのが、今度の危機で変わったということですね。
次に織物。薄地織物です。国内生産と販売、2009年末からの在庫増加、上半期の内需減退により織物の国内生産販売も減少しました。2010年は内需拡大が予想される中、国内生産は増えるだろうと思われます。ユニフォーム用途は回復し、しかし一般衣料は生地・製品ベースでの輸入品との競争が激化するだろうと。
その次、輸出入の実績の数量をグラフにしてあります。2009年、まあ糸と大体同じような感じで輸出入とも減少しています。10年は内需拡大が予想される中、輸出は減るけれども輸入は少し増えるんじゃないかという見方です。薄地織物の輸出入実績の金額。先ほどの数量とほぼ同じように2009年も推移しています。10年も同じように輸出は減って輸入は少し増えるのではないかという見方です。
次は織物の紳士婦人服地。織物縫製品の輸入実績を表にしました。数量ですが、織物全体、織物は2008年と09年と比較しますと、織物と縫製品は減っていますが、既製服は増えているということですね。金額でみますと、織物全体は減っていますけど、縫製品全体と既製服は増えていると。まあ高付加価値化してかということだと思います。
紳士婦人服地の2009年の回顧。1。上期に売上を落とし、下期で取り戻す。金融危機の影響による市場の冷え込み、寒さの遅れでの冬物商戦の惨敗、これは上期です。下期の消費は順調で、クリスマス商戦も活況であったと。2番目に、紳士物は悪く婦人物は比較的好調であった。どこの国も紳士物は悪く、婦人は良いということはありますね。3番目。生地の輸入量は上半期20%ダウンしたが、下半期は増加し年間では4%ダウンということです。
次に2010年の展望ですが、1番。ブラジルは金融危機を克服し、市場も落着きを取り戻した。2番。今年はワールドカップの開催年でもあり、大統領選もあることから、消費は10%アップと見込むと。繊維業界もその成長に乗っていくように期待していますと。
最後にファスナーですが、まずブラジルの衣料輸入の実績をグラフに表してあります。2005年からだんだんトータルでは増えてきているわけですが、2009年は上期、3月にがばっと増えまして32ポイント上昇。下期は前年を下回ったわけですが、通年では11ポイント増加していますというグラフです。
ということから、2009年の回顧ですが、まず1番。ブーツ、衣料分野は堅調であった。2番目に、主力のジーンズ分野は前半は顧客の生産調整の影響を大きく受けた。後半は少し回復基調が見られたが、期待していたほどの数値までにはならなかったと。
2010年の展望ですが、1番。衣料縫製は在庫調整の効果、2009年末の小売の好調、経済の回復を背景に回復に向かうと思われます。2番。市場在庫レベルが低下したブーツ分野の販売は引き続き好調に推移の見込みであります。
以上ですが、今こういうふうになっているんですけども、コピーした資料では13ページから15ページまで2009年の上期だとか、変な文字が入っていますが、それは削除をお願いしたいと思います。終ります。以上です。
司会:ご質問ございますでしょうか。じゃあ金原さんどうもありがとうございました。続きまして化学品部会、大澤部会長よろしくお願いいたします。
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化学品部会 部会長 大澤 巌
今年と来年化学品部会長を務めさせていただきます大澤といいます。それでは早速始めさせてください。
化学品も非常に多岐にわたっておりまして、分野が非常に異なります。一つにまとめるのが難しいもので、各分野ごとにご説明したいと思います。今回15会員からアンケートをいただきましたが、住友化学さんからは3分野につき回答をいただきましたので、計17回答を得ております。これを分野別にまとめてあります。
2009年の回顧全般としましては、売上につきましては17の回答のうち増収が6会員、横ばい3会員、利益につきましては増益が5会員、横ばいが2会員ということで、まあ総括としては2009年、前年のリーマン・ショック、金融危機以降の世界同時不況の影響がですね、昨年上半期も尾を引きまして、また前半のレアル安の影響がより化学品部会員には多く出まして、後半に回復を見せた業界もあったのですが、全般的には業績不振を余儀なくされた年と言えるかと思います。
2010年の展望ですが、売上17回答中、増収予測が14会員、横ばいが1会員、利益に関しましては、増収予測が13会員、横ばいが2会員ということで、総括としましてはブラジルの景気回復による内需拡大、それと、ここに来て為替がレアル安に動いていますが、全体としては為替も安定するだろうという期待感、それと昨年の各社の努力によるリストラクチャリングですとか、新製品・市場開発等の努力によりまして増収、増益を見込む会員が大多数という結果です。それでは各分野ごとに駆け足でご説明して参ります。
まず最初にですね、今回14分野ありますが、写真・デジタルカメラ分野。1社、1会員からの報告です。2009年は残念ながら減収、減益ということで、マイナス要因としましては前半の需要の停滞、それと為替ですね。為替の調整分を価格に転嫁できなかったという、こういった要因でマイナスの結果となっております。
2010年は増収、増益を期待しております。商品ラインアップの強化、それから国内景気回復による需要の堅調。マイナス要因としては価格競争が引き続き存在するということです。次お願いします。
次は筆記具。これは2社です。2会員からの回答ですが、2009年、これは2社分かれましたが、売上が横ばいと減少ということ、1社ずつ分かれました。マイナス要因は上期の景気悪化、それと代替税の影響ですね。それと上期のレアル安、これが利益を圧迫した。
2010年の展望。2社とも増収増益を見込んでおります。まあ農業等の第一次産品が好調であることから、景気回復を後押しするだろうという期待、それと全般な景気回復が期待できると。それと為替もですね、レアルが安定するだろうということ、これらの要因から増収増益をこの分野では見込んでおります。次お願いします。
3番目は高級化粧品。これは資生堂さんです。輸入販売なんですが、2009年、増収、利益もやや減少ということですが、まあ予測どおりという結果。この分野は、高級化粧品ということで、富裕層を対象とした価格設定をされておりまして、売上への経済危機の影響はほとんどなかったと。マイナス要因としては競合他社の安値戦略ですね、これに大分苦しめられたという点はあります。それと上期のやはりレアル安がですね、輸入製品ですので影響がありました。
2010年は増収増益を見込んでおります。プラス要因としては既存品の育成が順調に行っていること、それと主要店での資生堂のシェアがアップしていること。マイナス要因としましては、まあ不安材料と言い換えられるかもしれませんが、通関ストライキの可能性ですね。これにともなう商品の入荷遅れ、また製品の発売の遅れ、こういった不安要素があるということです。次お願いします。
一般薬品、1社ですが、これは久光さんのサロンパスですね。2009年増収増益、この背景は市場が拡大したということ、それと商品、サロンパスが非常に浸透していったということ。経済悪化の影響はなく、増収増益を記録できました。
で、2010年も増収増益の見込みです。2009年の好調さを維持できるだろうということ。マイナス要因、まあ直接的な売上には影響ないということなんですが、いろんな作業が増えてくるということで、この厚生省による法規制の強化ということですね。これが一つマイナスというか、頭の痛い問題として指摘されております。次お願いいたします。
家庭防疫薬、住友化学さんからの回答ですが、昨年は減収減益ということ。この原因はですね、蚊への防除なんですが、中南部ですね、この6州で売上の70%を占めるんですが、ここが大雨に見舞われまして蚊の発生が非常に少なかったということですね。それが売上に影響しました。また前年からの在庫、これもマイナスの影響が出ました。それと、喜ばしいことであるんですが、商売ということからいきますとこのデング熱の流行が少なかったということで、減収につながったということです。
2010年の展望。これは増収増益を見込んでおります。プラス要因は新規顧客の本格参入、これは昨年行ったプラス要因として挙げております新規顧客の開拓、これが順調にいっておりまして、今年はこの顧客が本格的にマーケットに入ってくるということですね。それと中国製やアルゼンチン製からブラジルの国産に移行するということで、この原料を供給しています住化さんとすればこれは期待できる要素であると。
それとプラスマイナス、デング熱は、まあ先ほど申した通りで、出ないことに越したことはないんですが、これのプラスマイナスがこの分野での利益には影響してまいります。それとマイナス要因としては移転価格税制、これちょっと数字が抜けましたけども、20%から35%にアップされたということで、これは非常に大きな影響と見ております。次お願いいたします。
次は農薬ですが、農薬は今年から二つの分野に分けました。一つは原体販売、原体といいまして、高純度の有効成分、これを輸入しましてですね、国内の製造メーカーに販売して、製造メーカーが農家が使える剤形に変えて売るというそういう流れになるんですが、これはその原体だけ、有効成分だけを販売している3社の回答をまとめたものです。
2009年は3社でちょうど分かれました。不変、横ばいという会社とですね、減少、増加。利益も横ばい、減少、増加。3社で分かれました。この背景もですね、1社の回答は経営資源が集中したことでプラス、良い結果が生れたと。マイナス要因では、対象作物ですね、農薬は何に使うかで全く分野が異なりますが、1会員の商品は対象作物が作付面積が減ったということで、マイナスの影響を受けました。
また中国製の違法製品ですね、正式に登録を取っていない違法製品の密輸、これがマーケットに流れて、当然安く売られていますのでここでの影響が響いたという回答です。それとまあ全般には経済危機の影響ですね。
それと2010年の展望としましては、3社やはり分かれまして、減少、増加、利益も減少、増加と二つの回答に分かれました。プラス要因は、対象作物が逆に回復するという予想、それと1会員さんは社員を増加するということで、まあマンパワーがアップするということでもプラス要因ですね。それと経済危機が回復するであろうということ。
マイナス要因としましては昨年と同様の中国製違法製品の競合ですね。それとジェネリック製品、まあ登録は取れていますけども、高額製品ということで、非常に安くマーケットに出て参りますので、こういった製品との競合ですね。
それと遺伝子組み替え作物の導入による散布対象面積の減少、これは一番有名なのは大豆ですけども、モンサントが開発したグリーボセットという除草剤、これは全ての植物を枯らすんですが、ある大豆にそのグリーボセットに抵抗性を持った遺伝子を植え込むことで、その大豆を植えますとグリーボセット一台を撒くことで大豆は枯れずに雑草は全て枯らせると、非常に効率よく安く上げられるというそういった技術なんですが、こういったものが入ってくることで既存の製品が、農薬製品ですね、選択性をもった剤が影響を受けるということになります。それと移転価格税制の問題。これがこの分野でもマイナス要因として挙げられています。次お願いいたします。
もう一つ農薬分野、これは先ほど申し上げた原体をですね、農家が使える製剤というものに製造いたしまして、そして販売する分野で好けども、これはイハラブラスさんですけども、増収増益、2009年達成できました。プラス要因としては品揃えの拡充、作物価格が高く推移したということで、こういった資材、農薬が使われる環境にあったと。それと、これは自社努力の為替オペレーションがうまくいったということですね。
マイナス要因としては不安定な為替、主力作物の作付面積が減ったこと。それと参考までに業界平均はマイナス5%から10%の売上ダウンだったと見られております。2010年の展望はですね、売上増加、利益は減少という見方です。
プラス要因は、引き続き作物が高価格で推移するだろうということ、それと為替も比較的安定でいくと見られることですね。マイナス要因は、逆に今レアル安傾向が少し出てきたことと、まあここで安定とありますけども、変動による、逆に昨年為替オペレーションで益が取れたんですが、為替差益が出たのが今年は期待できないということから、減収を見込んでおります。では次お願いいたします。
肥料、三井肥料さんからの回答です。昨年は減収減益、マイナス要因としましては国内需要の冷え込み、業界全般の過剰在庫、それと国際的な市況があったということですね。2010年も売上は減少ですが、利益は増加、増益とみております。
プラス要因はコストの削減効果が現れるということ、それと需要が今年は安定してくるだろうということです。マイナス要因としては生産品目それから規模が縮小、まあせざるを得ないということが要因として挙げられています。次お願いします。
次は、種ですね。これはタキイさんですが、昨年は増収増益となりました。プラス要因は新規商材の市場投入、それと東北伯向けメロンの種ですね、これの売上が伸びたこと、またレアル高による在庫コストを下げれたことですね。マイナス要因としましては、主力商品が品薄であったこと、世界の気候変動による生産減、これがマイナス要因として挙げられています。
そして2010年は増収、利益は横ばいという見方です。プラス要因は新規商材の売上増、既存商品の安定販売、それと販路の再編効果が現れるということ。マイナス要因としましては、コストアップの一つとしまして、まあ自社でもった試験農場、この費用が上がるであろうということ、それと先ほどプラスであった東北伯向けメロン、これは欧州市場に依存しているということで、欧州マーケット次第でこれが影響を受けるということをマイナス要因として挙げておられます。次お願いします。
飼料添加物、鶏用ですね。これも住友化学さんからの回答です。昨年は減収減益。マイナス要因としましては供給量が少なかったこと、畜産品の値下がりとレアル高、それと穀物飼料の値上がりで使われる添加量が減少したということ、を挙げられておられます。
2010年は増収増益を見込んでおります。プラス要因は供給量の回復、それと鶏卵需要のアップ、これはお菓子向けとかワクチン向けで輸出が増えるという見込みと理解しております。あとマイナス要因は移転価格税制ですね。これをやはりマイナス材料として挙げておられます。次お願いします。
次は接着剤分野、これはスリーボンドさんからの回答ですが、昨年は減収減益。マイナス要因はリーマン・ショックによる景気後退、それと原材料の生産中止による代替品の検索ということで、これがマイナス要因として挙げられております。
2010年は売り上げ・利益横ばい。プラス要因は為替の安定ということですね。マイナス要因としては安いものがこのマーケットに入ってきているということを挙げておられます。次お願いします。
次は、私どもの販売しております樹脂の着色剤分野ですけども、減収減益の結果でした。去年は減収減益。プラス要因としては下期にレアルが高くなったこと、それから下期の需要回復というのがあったんですが、マイナス要因、上期のレアル安による輸入原材料のコストアップ、それと上期の顧客の在庫圧縮、競争激化による同業他社の安値販売ですね、それと顧客からの値下げ圧力が非常に強かったということ。これがマイナス要因でした。
2010年は増収増益で見ております。これは内需は拡大するであろうということ、それと車両輸送機器市場が拡大、伸びるだろうという期待、それと社内的なリストラクションによる効率化、コストダウン、これがプラスで出てくるであろうという期待ですね。まあこれも社内改革のひとつとして赤字商いの見直しということ。
マイナス要因としましては、ここに来てのレアル安への不安が少し心配されます。それと引き続き顧客からの売価引き下げの圧力ですね、それと同業他社の低価格戦略、こういったものがマイナス要因として引き続き存在します。次お願いします。
ハリマ化成さんですね、松脂、ロジンですけども、この分野昨年は売り上げが微増、利益は増加しました。プラス要因は原材料の安定化、これによって粗利益が工場しています。マイナス要因は競合他社が増えたこと、それによる競争の激化ですね。
2010年は増収増益を期待しています。プラス要因は新製品の上市、原料の代替によるコストダウンが図れる見込み、マイナス要因は為替の影響による輸出の不振、それと競合他社の台頭です。次お願いします。
最後は商社さんから一社だけ、化学品分野、三菱商事さんから回答いただきました。売り上げ利益は横ばいということですが、マイナス要因はレアル高ですね、それから需要減、在庫調整。で、今年は増収増益。プラス要因としましては、全般的な需要の回復と、あと価格上昇。ちょっと詳細はうかがってませんが価格の上昇が期待できると、こういう回答をいただいております。次お願いします。
これが17回答のまとめですけども、冒頭申し上げた通り2009年はですね、売り上げ増加した会社が6社、不変が3社、利益も5社、不変2社ということで、全般的に非常に苦しい、業績不振の年であったと言えます。2010年は増収14社が期待、不変1社、増益が13社、不変2社ということで、全般的な景気回復を期待して今年は良い結果を出せるというふうに見ている会社が多いといえます。次お願いします。
あとブラジルの景気回復は本物かということですけども、これはコメントをいくつかまとめて挙げております。総括的には景気回復は、課題・疑問というのもいくつかあるんですが、本物であろうという見方が化学品部会の中では主流を占めております。次お願いします。
死角。死角もですね、先程来他の部会からも挙げておられるような点があります。あとブラジルの根本的なインフラの問題ですとか、こういったもの、あと為替がやはりどう動くかですね、これによる影響が大きいであろう。
それと、輸出ですね。内需は良いんですけども、輸出競争力をどこまで維持できるのか。為替の問題、税制の問題、それからレアル高の影響ですね。それと中国品との価格競争。こういったものが死角として挙げられております。次お願いします。
大統領・知事選の影響。これもですね、まあいくつかの点で不安材料はあるんですが、まとめますと基本的にはドル高とか債務救済の影響、各種選挙対策の悪影響、それによる増税、こういったものを危惧する声もあるんですが、全般としましては、過半数の会社は特に大きな影響はないだろうと、このように見ております。以上です。
司会:大澤さんどうもありがとうございました。それじゃあ続きまして食品部会、齋藤部会長よろしくお願いいたします。
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食品部会 部会長 齋藤孝之
食品部会の発表をさせていただきます、齋藤でございます。よろしくお願いいたします。
1月22日に食品部会懇談会を実施いたしまして、09年度のレビューと10年度の展望について情報交換をいたしました。食品部会のメンバーでございますけれども、小売、業務用、外食、そういったチャネル別ですね、それから輸出、それから国内向けといった向け先別、それから調味料だとか食品添加物、飼料添加物、酒類、お酒ですね、コーヒー、飲料、麺、素材、健康食品というカテゴリ別ということで、非常に広い分野にまたがっておりまして、全てを包括してご報告するのは非常に難しいんですけれども、あえてある程度特徴が出るような形で3つの軸に分けて傾向を分析させていただきました。小売、それから外食・業務用、輸出というこの3分野で09年10年の回顧と展望を分析しました。
まず、スーパーマーケット向けに代表されます小売チャネルでございますけれども、09年3月頃までリーマン・ショック等の影響で落ち込みが見られておったわけですが、その後回復傾向が顕著となりまして、堅調な成長を持続しております。
従いまして09年、次お願いします、くもりのち晴れという動向でございまして、2010年度はこのまま好景気が続くだろうということで、晴天の予想をしております。
続きまして外食・業務用に関ましてですが、09年度前半、外食産業向けなどのチャネルが、一つは経済危機それから新型インフルエンザというのが、今ではかなり話が下火になってしまいましたけども、こういったものの影響。サンパウロを中心に始まったLei Secaですね、それから禁煙条例等々の影響を受けて低迷したわけでございますけども、年度後半に入って回復が顕著となっております。
また業務用につきましても、食肉需要の減少とか、経済危機による低コスト化などの取り組みによって、年度前半には低迷しましたが、年度の後半になってこちらの方も回復傾向ということで、くもりのち晴れと。そして2010年度はワールドカップの年にちょうど当るというようなことと、それからブラジルへのオリンピック誘致が決まったことで、それに向けた経済好転、引っ張っていってもらえるだろうという食品業界のですね、そういう中で晴れ予想ということにいたしました。
一方輸出でございますけども、2009年度前半、特に日本、欧米向け輸出がたいへん停滞いたしまして、顧客側の資金繰りの影響、それから信用不安、それから在庫調整といったものがありまして、コーヒー、食品添加物等輸出関係は大きく影響を受けました。また、輸出採算性でございますけども、ご承知の通りのレアル高ということがございまして、採算性も2009年度は悪かったということで、輸出は2009年度総括としては雨天と、雨ということになりました。
2010年度でございますけども、経済回復を期待して、日本向け、欧米向け、それからブラジル国内ですね、一部の農産物の豊作予想、これは大豆のことを得に言っておりますけれども、明るい要因もございます。また一方でですね、依然としてレアル高という傾向が輸出産業にはマイナスということになっておりまして、まあ10年度予想としては、ちょっと希望的観測かなというのはありますけども、くもりというような予想にさせていただきました。
従いまして09年度から10年度にかけて、全カテゴリにおいて好転の方向であるということは総括して間違いないというふうに言えるかと思います。次お願いします。
続きまして2009年度と10年度に特筆できるトピックスをまとめという形でこちらの方に提示させていただいております。上から1点目と2点目の景況感につきましては今、前のスライドでご説明申し上げましたので、3点目以降を簡単にご説明申し上げます。
まず、原材料関係の動向でございますけれども、09年というのは08年と比較しますと、非常に原材料関係の市況が安定した1年であったと。ご記憶かと思いますが、09年非常に景気が良い中、リーマン・ショックまで農業関係の穀物、それから包装材料、それから燃料関係ですね、石油関係が高騰いたしまして苦しんだわけですが、一転して09年は安定して原材料価格が推移したということで、これはプラス要因であったかなというふうに思います。
一方で、09年後半になって、粗糖などの一部の原材料でひっ迫感が出ていまして、相場が高騰しているようなこと。それから乳製品、小麦粉など近隣諸国の政治的影響や天候の影響、主にこれブラジルの場合は私どもアルゼンチンに依存しているところが多いわけでございますけども、こういったところの影響で懸念要因が出ているということでございます。
それから小売部門でございますけども、店頭における競合ですね、それから加工部門では、まあバルクと呼ばれている部分ですが、中国・韓国をはじめとする競合が非常に強くなっている、激化しておりまして、価格転嫁をしにくい環境であるといったところが共通点かなということで、2009年度そういう状況を反映して各社とも自社のコストダウン、それから為替見込みを正確にやっていくことだとか、こういったところに注力をして、できる限り価格転嫁率を高くせずに競争力を維持していくという方針であるかなというのがあります。
次に上げられておりますのが法制面の問題です。まず、税制面の課題で2つここに挙がっておりますけども、一つ目は輸出時に還付されるべき流通税の還付問題ということで、この制度の未完備ということでこれが企業の資金繰り圧迫要因になっているということです。
前回のシンポジウムの時にこれは説明しましたので、あまり詳しくは申し上げません。二点目のSTというやすですね。Substituicao Tributariaの導入問題でございますけれども、サンパウロを皮切りに、ミナス・ジェライス、パラナと各州導入が進んでおりまして、動きが各州によってまちまちですけども、その分掛け目ですね、MVAといっている、掛け目の率が各州でばらばらでございまして、価格のコントロールそれから事業採算面での複雑な対応が極めて今懸念されているというような状況でございます。
また、2009年において特異的な要件として新型インフルエンザというのがございましたが、各社では社内での発生を抑えるべく、出張者の往来制限ですとか、生産・事務現場での健康モニター、それから消毒の徹底というようなことで上期努力をしてきたわけでございますが、後半沈静化をしたということで、総括してみると業績に与える影響というのは限定的であったのかなというのが最終的なインフルエンザに関する総括かなと思います。
あとですね、新規取り組みにおける方向性でございますけれども、二点挙げたいと思います。一点目はボルサ・ファミリアに代表されます、低所得層のおかげもありまして、中間所得層向け以下の販売が堅調に推移していること、それから高付加価値商品、それから天然志向といった大都市圏を中心とした市場が成長しているというようなことがあって、購買層、それから地域軸を勘案した製品投入の取り組みがいっそう重要になっているということです。
二点目でございますが、ブラジルにおける事業が、各社、まあ食品私どもは11社あるんですけれども、こちらでの取り組みが奏功しているということがあって、事業拡大、新事業それから新地域への取り組みが活発化しているというようなことであります。次のスライドをお願いします。
本日の副題としていただいております、景気回復は本物か、死角は、大統領選挙の影響は、ということで、各社へヒアリングをいたしました。私ども今申し上げたように11社ございまして、そのうち楽観・やや楽観というプラスの見込みをしているのは6社、それから不安だとか不明だとか若干プラスマイナスの中間で揺れてらっしゃる方が4社ということで、悲観してらっしゃる方も完全に悲観しているというよりはやや悲観ということで、全体から言うと食品業界、楽観的な見込みをしているということでまとめられるかなと思います。次お願いします。
これはむしろ大統領選の影響とあと死角の部分にあたるのかなと思いますけれども、いろいろな要因、各社から出たわけですけども、主なポイントとして二点にあえて集約させていただきました。一点目は為替、そして二点目は政権交代によります社会保障制度、保障制度の変化でございます。
為替につきましては事業により、輸出型か輸入型かというのによってプラスマイナス当然あるんですけども、急激な為替変動については各社とも懸念を示しておりまして、特に2002年のルーラショックを経験されてる企業は、そうはいっても何かあるんじゃないかということを心の中で思っているというような状況であります。
それから政権交代のシナリオ、それからルーラのばらまき政策によって財政が悪化しているというようなことで、例えば政権交代をするとか、社会保障制度が見直されるというようなことの中で、私どもの業界は食品でございますので、中間所得層以下、特に低所得の方々への影響が出るんじゃないかというふうに懸念をしておりまして、あえてですね、いろいろなお話は出ましたけどもこちらの2点にまとめさせていただきました。その後、6から15まで飛ばしてください。
最後のページでございますが、商工会議所へのリクエストということで、前回も出たんですけども、食品業界11社の所帯でございますが、大きな会社は駐在員が30名もいるような会社もあれば、一人駐在の会社もございましてですね、少人数に限られている企業同士でいろいろな面で情報交換をする場を作っていただければ大変ありがたいというご意見がございました。以上食品部会のご説明をさせていただきます。ありがとうございます。
司会:ご質問ございますでしょうか。齋藤様、コンパクトでエッセンスをまとめていただきましてありがとうございました。続きまして運輸サービス部会、畠山部会長よろしくお願いいたします。
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運輸サービス部会 部会長 畠山研治
運輸サービス部会の畠山です。私どもの部会も航空・海運からITまでですね、いろいろな業界が入っておりますが、2009年の回顧と2010年の展望を業界ごとに説明させていただきたいと思います。
まず航空業界。2009年の回顧ということで、まず国内線。昨年の総需要5830万人。ブラジルの国内の景気が良かったこととか、3連休が多かったこと、あるいは新型インフルエンザによりまして海外から国内旅行に変えた方が多かったということで、前年比13.2%の増となっております。
そのうち航空会社別の構成比、シェアを見ますと、まあ近年オーシャン・エアーとか、ウェブジェットですか、新しい航空会社がシェアを伸ばしておりましたが、昨年につきましては大手、TAMとかGOLとかですね、乗客の伸びに応じてチャーター便とか臨時便を飛ばしたということで、彼らのシェアのダウンを食い止めております。
それから国際線につきましては、941万人ということで、まあ世界的な景気後退の中ではございますが、ブラジルに関しては前年比1.4%にとどまったということです。ここに書いてありますのはブラジルの航空会社だけのシェアで、外国の航空会社は入っておりませんが、ブラジルの航空会社だけのシェアを見ますとほぼ例年並みということでございます。
それからポイントとしまして、燃油費ですね、これは私ども海運も同じなんですが、金融危機以降値下がりしたものの、昨年6月以降高止まりになっているということです。
それからブラジル・日本間の乗客の動向のトピックスということで、08年10月以降日本を出国してブラジルに来られる方がブラジルから日本へ入国される方を大幅に上回る状況が続いているということで、具体的には日本の出入国管理統計によりますと、08年の10月から09年の10月で6万8千人という推定値が出ておりまして、まあほぼこれがいわゆるデカセギに行かれた方々の帰還状況だろうということでございます。
それから2010年の展望ということで、2点挙げております。第一点はメジャー航空会社のサバイバルということで、先ほど申しましたような世界的な景気後退で需要減、それから燃料費の高騰ということで経営環境が厳しくなっていると。まあこれはJALさんだけでなくて他の航空会社も同じだと思います。
そういった中でですね、航空機の代替とか、機材を小さいサイズにするとかですね、人員の効率的運用とか、あるいは不採算航路の縮小とか、そういった対策をとられて、今後ともメジャーの航空会社間でのサバイバル、生き残り競争が厳しくなっていくだろうということでございます。
それからもう一点、日本・北米間のオープンスカイ開始ということですが、今年の10月ごろオープンスカイ協定米国との間で締結されるだろうということなんですけども、これによりまして路線を自由に設定したりですね、運賃を自由に設定したり、もちろん空港の発着枠の制限はあるんですけども、そういったこととか、あるいは独禁法適用除外になって外国の航空会社との提携が自由にできるようになるとか、まあこういったことが起こるだろうと。まあブラジルに関しましても、米国で経由される場合利便性が高まるであろうということでございます。
それからもう一点付け加えますと、JALさんのサンパウロ便ですが、2月3月、3便から2便に減便されておりますけども、正式な発表としましては、2010年度の上期、すなわち9月末までこの2便体制を継続されるという発表をされております。
続きまして海運の方まいります。コンテナの方とそれから鉄鉱石に分けていきたいと思うんですけど、まずコンテナの荷動きにつきましては、一番下のここですね、全航路ということでこれがブラジルから全世界に行きます輸入輸出の2009年度の数値でございます。
私どもはTEUという単位を使うんですが、これはご承知のようにコンテナには20フーターと40フーターと大きさが2種類あるんですが、この大きい方、40フーターを20フーター2個に換算して計算した数値だと、荷動き量だということなんですけども、輸入につきましては165万TEUからおよそ132万TEU、約20%の減。
輸出につきましては211万TEUから190万TEU、10%の減になっております。主要航路で見ますと、まあ先ほど貿易部会の方でもお話ございましたけども、もともとブラジルのメインな輸出先は米国それから欧州なんですけども、欧米の景気後退を受けていずれも、米国は23%減、欧州向けは15%減になっております。
それからアジアにつきましては、米国欧州がどちらかというと輸出が多くて輸入が少ないという貿易の構造なんですけども、アジアにつきましては輸入が輸出よりも圧倒的に多いということなんですけども、輸入につきましては65万TEUから53万TEUに20%減、かたや輸出の方は約30万TEUから34万TEU、15%伸びております。
まあこれは昨年の前半、レアル安だったということと、それから欧米で落ちている分を他のマーケットでカバーする、中国あるいはアジアの市場向けに多角化しているということで、ここだけ伸びております。
それからあと鉄鉱石の方でございますけども、鉄鉱石を運びますケープサイズと、いわゆる標準的な15万トンくらい運べる船なんですけども、これも08年の秋ごろまでものすごい暴騰しておったんですが、金融危機発生後暴落。09年は底値からスタート。それから6月には逆に最高値をつけ、あと軟化し回復し軟化し回復しというちょっと乱高下の激しい傭船料の動きになっております。
それから海運業界の10年の展望につきましては、まあ各国政府景気刺激策を取っているけれども、欧米につきましてはまだまだ荷動き回復につながっていないと。中国を中心としますアジアからの輸入につきましては、20%減という説明しましたけども、これは特に昨年の前半35%ぐらい落ちておりまして、その後後半回復したけどもまあ20%減になったということで、今年2010年につきましては昨年後半からの回復基調を維持していくだろうと。
予想としましては、約20%増えて、2008年並みの荷動きになるんではないかと思っております。ただし懸念材料としましては、主として中国から来ます価格の安い消費財が主流でございますので、為替変動を大きく敏感に受けると。何かの都合でレアル安に振れますと敏感に荷動きに影響してくるということがございますのでそれが懸念材料でございます。
それから鉄鉱石の方につきましては、中国ますます鉄鉱石買っておりますし、日本、欧米、韓国、粗鋼生産も回復しておりますので、基本的には需給はタイトであろうと。ただし短期的には価格とか、それから中国の購買動向等々により、2009年と同様乱高下はするだろうと。しかし基本的には堅調な推移を続けるだろうと思っております。
それからフォワーダー業界。2009年の回顧。まずは日本発輸出航空貨物の実績でございますが、ここに書いてある数字は全世界向け、米州向けと出ておりますけども、米州向けのうち、その他米州に分類されているここのほとんどがブラジル向けだというふうに考えておりますけども、昨年は約1万2千トン。前年比35.6%減になっております。
まあ日本発ブラジル向け航空貨物につきましては、業種により好不調が分かれていると。しかし全体として貨物増にはつながらなかったということです。一方減便あるいは機材のダウングレード等々によりスペース確保は困難であったということですね。
それからもう一つの業界としましては製鉄構内物流というのがあるんですけども、鉄鋼業の減産により大きな影響を受けた。7月以降回復してきたけども、上期の落ち込みをカバーするまでに至らなかったと。2010年の展望につきましては、航空貨物、それから海上貨物、電気、自動車の増産による物流増を期待、それからブラジルへの進出企業の増加によります貨物増も期待ということでございます。
それから一点懸念材料としましては、本年は大統領選挙の年ということで、大統領選挙の年には連邦公務員のストが激しくなる傾向があるということで、まあ具体的に物流関係でいいますと、港の検疫、連邦警察あるいは税関、ここらへんのストが長引きますと物流にも影響が出てくるんではないかというふうな懸念をもっております。
それから製鉄構内物流、生産の回復に伴い構内作業も増加してきたと。それから金融危機により凍結されていました投資案件も再開しておりますけども、競争環境は厳しいということでございます。
それからもう一点、クーリエ。これは昨年末からですね、クーリエ貨物の電子通関システム、HARPIAというシステムが稼動しておるんですが、いろいろ混乱が続いておって要注意ということです。具体的に申しますとこれは海上貨物の通関システムも同じなんですが、元々不正防止という目的で作られておりますのでいろいろフレキシビリティがないと。
データの入力ミス等ありますと、貨物を押さえられたりですね、それから例えば5箱送ったのに4箱しか着かなかったという場合にはもう一回送り返して、4箱として手続きしたほうが早いというようなことが起こっておるそうでございます。
それからホテル・観光業界。2009年の回顧。観光収支と数字がでておりますけども、ブラジル人の海外旅行支出、53億ドル。前年比8%減。それから外国人のブラジルでの旅行支出、109億ドル。前年比0.6%ということでこちらの方はあまり減っておりません。
それから航空業界のところでも申し上げましたように、国内の旅行が増えておりますので、金融危機の影響なく国内旅行の方は増えていると。ホテルの方もですね、ホテルの稼働率ですか、前年60%だったのが2009年65%に増えているということもございます。
2010年の展望につきましては、3月のインディーをはじめ多くのイベントがあり、2010年も好調を期待。また2014年のワールドカップ、2016年のオリンピックに向けたホテル投資も増加していると。まあこの情報はブルーツリーさんからいただいているんですけども、ホテル10軒、10棟ですか、投資されることも進められているというお話でございました。
それから最後に、通信・IT業界。2009年の回顧。携帯電話加入者数、1億7400万台、世界で5位ということで、これは前年比15%の伸びでございます。この調子で行きますと、ブラジルの人口を1億9000万人としまして、今年中には、まあ数字だけの話でございますけども、一人一台を超えるということでございます。
それから、携帯電話のうち約4%、700万台が3G携帯だと。それから、一昨年ですか、ナンバーポータビリティーもはじまっておりますけども、受付件数440万台に対して実際に移行したのが340万台。まだ100万台残っていると。それから固定電話加入数、これは4160万台、横ばいでございます。
それからインターネットユーザー、ブロードバンドユーザー、これも13%ぐらい伸びております。まあこのブロードバンドにつきましては、ブラジル全土にアクセスできるようにするというようなことで、ブラジルの国家戦略として検討されているそうでございます。
それからITにつきましては、IT産業全体の成長率は9.3%ながら、収益は苦しいということでございます。それから展望につきましては今年のトレンドをいくつか述べておりますけども、第一点としましてはサービス提供会社のもつソフトを使用して、経営判断に使えるようなツールであるビジネス分析とか顧客管理、CRMのシステムの利用が増えるであろうと。
それから企業内で社会的ネットワークですか、SNSツール、まあいろんなコミュニティを作ってそこでいろいろ情報交換をするというようなツールの活用が見込まれると。
それから仮想サーバー、クラウドコンピューティング、それからもう一点ですね、最後にデータセンターの活用ということで、日本でございましたら特に地震対策ということでデータサーバーを活用するケースが多いんですけど、まあこの間ありましたような大停電対策ということで、まあブラジルは地震はないと思いますけども、大停電対策ということでデータセンターの活用が増えていくのではないかというふうに見られております。以上でございます。ありがとうございました。
司会:畠山様、多岐に渡りありがとうございました。それでは最後になりますが、建設不動産部会、大滝部会長代理お願いいたします。
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建設不動産部会 部会長代理 大滝守
それでは建設不動産部会の方から報告させていただきます。2009年の日系建設業界につきましては、前半は2008年の世界的不況の影響がそのまま継続されまして、工場建設などが減少して不調でありました。
後半は日本企業の工場建設が成約できたこと、非日系の顧客の工場建設、あるいは宗教施設、学校、商業施設などの受注が増加しまして、計画値については達成はできなかったようですが、それぞれ2009年の方はがんばったと。
で、ブラジル全体の建設の回顧についてでございますけども、ブラジル政府は2010年の大統領選挙を目指しまして「私の家、私の暮し(Minha casa Minha vida)」のスローガンで低所得者層向けの住宅供給政策、道路、学校、公共工事を増やしました。民間でも不動産物件の取引が活発化しまして、海外ファンドによる不動産投資やアパート開発が進みまして、景気を上昇させました。
建設労働者の増減数ですが、表の1番で示しますように、2009年の前半につきまして、毎月2万人以下でありまして少なかったんですが、後半からは3万人台の増加を毎月見まして、増加率が高まっております。で、建設の労働者は、各月ごとに増えている現状でございます。2009年の最終の雇用者も2008年を上回ると、このように推定されております。
建設労働者の給料ですけれども、建設の価格というのは多くがこの建設労働者の給料が大変影響を受けるわけでございます。昨年の12月にはブラジルの2010年度の最低給料が510レアルと発表されました。インフレの指数をはるかに上回る9.7%の増加でありまして、今年の建設業界の労使の交渉はたいへん厳しいものになることが予想されております。
具体的には5月の建設労働者組合との給与改定交渉に昨年の実績である6.74%を上回る要望が出されることが予想されます。今年の工事価格を上昇させる大きな要因として懸念をされております。
建設の資材価格についてですが、表の2で示しますように、2008年の高止まりのものが多くて、過去12カ月の統計では5から10%程度の上昇がありました。セメントなんかは若干下がっておりますけども、全体が次のように上っております。
今後は建設工事の増大が予想されておりまして、エンジニアや作業員の不足とか人件費の上昇、また建設資材の品不足、また価格の上昇が懸念されております。この点については政府主導によりまして安い輸入材の導入や税金の軽減、また給料を含めました労働者規制の緩和が求められていると、まあこのようなことが部会で話されました。
次に表の3ですが、建設の工事量を示しますセメントの販売量の動きです。2009年は2008年とほぼ同量であり、大きな落込みはありませんでした。東北部ではバイア州、中西部ではマットグロッソ州の工事量が増加しているのが良くわかります。
東北部と中西部では増加しておりまして、全国統計でも合計でも2008年が2007年の比率で14%の増加しており、ずっと増加していることが分り、販売量は年間5000万トンのレベルを維持しております。
サッシ業界ですが、まあ私どもはYKKさんですが、アパートの建設が増加しておりますので、業績は順調でありました。ただ今年、2010年は昨年の高級アパートが非常に順調だったので、今年はまあ建設が少なくなるということで、業績は若干落ち込むんじゃないかと。
また、政府の進める大衆住宅に対しましては、価格の上では大変厳しい要求がありまして、また品質もそこそこでいいということで、なかなか日本企業のレベルでは取組みは難しいというお話でありました。
事務用家具業界でありますけども、2008年は事務所の新設は少なくてですね、家具の受注は冷え込んでおります。全般的に家具メーカーは生産を控えておりまして、新しい注文を受けても納期が遅れるという状況をしめしております。
次に不動産、住宅建設の動向でございますけども、表の4で示しますように、2009年の1月から8月のデータによりますと低調な販売でありまして、まあこれは中高級のアパート、住宅、で大衆住宅の方は引き続き堅調でございましたけども、中高級の方は低調で、新規のものが抑えられて、全体としては発売総数が減少しております。2008年比で減少しなかったのはミナス州のベロオリゾンテとアラゴアス州のマセイオの2の都市であったというデータがございます。
表の5ですが、住宅融資を利用します住宅購入件数の推移でありますけども、これは中低所得者の方の住宅購入は増えているという現象でございます。2008年と2009年の比較で言いますと、約1・8倍増加をしておりまして、この融資を利用した方はこれからも増加は続くのではないかと、このように考えております。
で、不動産・土地の価格について、表の6でございますけども、なかなか不動産のかかくについては正式なといいますか、価格の発表されたものはありませんので、HOSS建設、私どもで土地なんかの値段を調べておりまして、まあ2006年に比べまして相当この3年間値段が上っております。
ただ、この示しておりますのは、特に条件の良い、高い土地の値段なので、場所によってはそれほど値上がりはしていないと。倍という値上がりをしていない土地もありますけども、土地はいったん上りますと下がるということは一切ありませんので、その上る率はそれぞれ条件によって違いますが、やはり地主の方は強気で価格を上げているという状況でございます。
土地の選定から売買契約までは、土地の様々な調査、役所との条件交渉、あるいは所有者の土地の法的な調査などで、通常でも6カ月程度時間がかかっている現状でございますので、まあ土地を探される場合はそれだけの余裕を見て考えていただきたいなと思います。すいません、この表の6の価格という字が間違っておりまして、失礼しました。
2010年の建設業界および大統領選挙の影響予測についてでございますが、2014年のサッカーワールドカップ、それから16年のリオのオリンピックの開催準備に対しまして、ブラジルの政府系大手ゼネコンはたいへん好況となると思います。
一般にはまだ具体的な設計図は見えていない状況ですが、インフラ設備、道路、通信、宿泊等の整備工事が増加していく傾向は間違いないと思います。選挙前は公共工事が増加いたしますので、その分建設コストをアップするのは致し方ないと。中でもこの雨季にですね、大変雨が多く洪水の事故が発生しておりまして、この洪水対策あるいは予防工事が緊急に増えてくるのではないかと思います。
で、2010年にはブラジルへの投資、工場建設、生産投資は緩やかに進むと考えておりますので、日系の建設関係の会社はですね、経営上の計画目標は達成できると期待しております。またブラジルにおきましては環境関連の規制強化など大変建設条件が一段と厳しくなっておりますので、この点についても他の会社に負けないように競争力を強化していくということでございます。
で、大統領選挙につきましては、選挙前は、先ほど申し上げたようにいろんな工事が増加いたしますが、新政権、まあ新大統領になりましても、特にその政策の影響が建設業界出るかというと、これは少ないと、このように考えております。どうもご清聴ありがとうございました。
司会:大滝様ありがとうございました。これにて業種別部会の発表をすべて終了させていただきます。ここで講評をお願いしたいと思います。在サンパウロ日本国総領事館大部総領事よろしくお願いいたします。
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講評 在サンパウロ日本国総領事館 大部一秋総領事
大部でございます。たくさんの企業の方、エコノミストの方がおられる前で講評というのもおこがましい限りですが、ご指名ですのでいくつか感じたことなりを述べさせていただきます。
非常に、いつもながら最初に思うんですが、この業種別の部会長シンポジュームは非常に有益で、役に立つというんでしょうか、商工会議所でこういう試みをされているということは、まあ今日本から経産省の方が来られておりましたけども、先ほどもコーヒーブレイクの時に非常に良いですねというふうにおっしゃっておりまして、かなり有益だということは、明日またウェブサイトの方に掲載されるということですが、ブラジルの枠を超えて広がる有益性をもっているのではないかなというふうに思います。
4点ぐらいコメントを申し述べさせていただきます。大体2009年の回顧と2010年の展望については、大方の見方は一致していると思います。2009年は0パーセントまで落ちましたけどもV字型の回復を果たしているということ、それから2010年については好調な経済が続いていくであろうというので明るい見通しということで、先ほどの西岡さんの天気のあれで言うと、雨とかくもりとかいった天気から薄日と、ないしは晴れというようなところになっていくということは大方の方の見方として一致していたと思います。
この点は異論はないんだろうというふうに思います。若干印象的な感じでは、もう少し晴れ渡る青空というか、結構ギラギラと太陽が輝いて、2010年はかなりの店舗で景気回復していくんじゃないかなというトーンほどではなかったなという感じがして、まあ若干やはり慎重な見方、リザーブのかかった見方がまだ依然としてあるなという感じが少ししました。
まあいずれにしてもV字型の回復を経て好調は続いていくであろうと、その速さがどの程度なのかと、4なのか5なのか6なのか、3なのかという、5%前後の成長率の上下ということで、それぞれのニュアンスなりが出てくるんだろうというふうに感じました。
2点目で、2009年がどういう年であったかという評価については、いろいろ今後のブラジル経済がどういう立ち直り方をしていくかによって評価が変わってくるんだろうと思います。
ただ短期的には底をついて、V字型の回復に向かった年ということで位置付けられるんでしょうが、もう少し中長期的に見た場合に、この2009年というのは、例えば中国が輸出の第一位になった、まあ2010年については中国が日本を抜いてGNPが第二位になるというようなことも予想されていると。
まあいろいろな世界経済の構造変化の中で、ブラジルが今までの中南米型のブラジル経済からもう少しグローバルな、国際的な影響をもろに受ける、あるいは影響を与えていくというような、もうちょっとグローバルな存在としてのブラジル経済の大きな転換点になる、なった、もしくはなっていく年ではないかなという、そういう評価も出てくるのではないかなというふうに感じました。
3点目として、2010年の展望を先ほど申し上げましたけども、右肩上がりの非常に好調な経済が続いていくということで、昨年も感じましたけどもそれぞれの好調の、強気の材料として、依然として変わらず4点、資源・エネルギー・食料のポテンシャリティーの大きさと、国内需要の大きさと、それからペトロブラスの強気の姿勢・投資、それから中国の動向と。
まあこの4つがあると思うんですが、依然としてこの4つの観点からの強気の材料は有効であるし、今年もそういった方向での材料がまた強く伸びていくのかなという感じがします。
4点目として、課題として若干あるかなと思うのは、景気が過熱していきますので、まあ若干個人的に心配なのはインフラ等供給面が追いつかなくて、若干その辺がネックになっていろんな面でマイナスの影響が出てくることもあるのかなという感じで、若干その辺のインフラ整備なり公共投資なりの進捗状況をもっと早く進める必要があるのではないかなという感じがしています。
まあいずれにしてもこういう、非常に世界からますます注目されるブラジルの経済ということになっていることはまず間違いなく、ブラジルだけでやっていける状況から、もうかなりな国際的な、経済の影響も受けるし、影響を及ぼしていくというような経済に転換していく、そういう途上にある状況だろうという風に思います。
したがってブラジルも今までと違った観点からの改革なり、やり方なり、もっと緻密なマクロ経済といったような意味でのやり方なりの転換を迫られていくのかなという感じがします。以上簡単ではございますが私の感じたことを若干申し述べさせていただきました。本日はこのような非常に有益なすばらしい部会長シンポジュームに参加させていただきまして、ありがとうございました。
司会:大部総領事ありがとうございました。続きまして、日伯貿易投資促進合同委員会に関し、経済産業省中南米室の山下課長補佐よりお話をいただきたいと思います。山下様よろしくお願いいたします。
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経済産業省通商政策局中南米室 山下浩司 課長補佐
経済産業省より参りました山下と申します。本日はこのような機会を与えていただきまして誠にありがとうございます。商工会の方々にこの場をお借りして御礼を申し上げたいと思います。
経済産業省では平成20年7月、一昨年に甘利・前経済産業大臣がブラジルを訪問しました際に、ルーラ大統領との面談をいたしました。その時に日伯貿易投資委員会というのを設置いたしております。本日はこの日伯貿易投資委員会について現状を紹介するとともに、今後の取り組みについて我々の考え方を説明をさせていただいて、また皆様からぜひ、この場でも結構ですし、また様々な機会を通じて、この会議の今後の方向性等々についてご意見をいただければと思っております。
今日はこの会議一体何なんだという方もいらっしゃると思いますので、委員会の設置から昨年9月の第二回の委員会、そして第3回に向けての取り組みについて、一連の流れ説明させていただこうと思います。
平成20年の7月に設置を決めまして、第一回の会議が昨年の2月に開催されております。ここでは皆様からブラジルでのビジネス上の問題の改善要望事項、あるいはこの国で今後ポテンシャルのあるような二国間の協力、貿易投資の促進のための協力事項について、ある意味網羅的に一回目は議論を行いました。これはブラジリアでの開催でした。
日本側から要求事項の一つの、中古資本財の輸入手続の簡素化に関しては、去年の2月の3月に、業界団体の承認の非義務化といった改善策というものを発表しまして、定の成果というのを挙げつつあります。
第一回が終ってからも商工会議所の皆様方、あるいはJETROサンパウロセンターのご協力などを得ながら移転価格税制の問題だとか、まあ様々な投資環境上の問題について重点的に取り上げましょうということで、皆様にアンケート等お願いをさせていただいているところであります。次のページお願いします。
第二回はですね、去年の9月に行われたんですけども、網羅的に扱った第一回から改善を要望する事項をかなり絞り込んで議論を行いました。絞り込んだ議論の例がここにありますけども、例えば移転価格税制、租税条約、あるいは技術移転の際に必要なINPIの審査の問題などについてブラジル側にインプットを行いました。
それから二つ目として、ポテンシャルのある協力分野、高速鉄道だとか、二国間投資協定、FTAの可能性等についても議論が行われました。それから三つ目としまして現在既に協力が進展している分野、例えば知的財産権の取り組み、模倣品対策、あるいはNEXI、JBIC日本側の資金協力機関のブラジルのプロジェクトに対する協力といった、こういった協力案件について状況の確認あるいは今後のあり方について意見交換が行なわれました。次のページお願いします。
これは去年の9月に行なわれました第2回のプログラムですけども、二日間にわたってかなり具体的な議論を行なってきております。次のページお願いします。
出席者は、これは官民の会議ですので、日本側としましては経産省を中心に、外務省、それから日本側の民間企業側としましては経団連を中心にご出席をいただいております。それからブラジル側は日本の経済産業省のカウンターパートであります開発商工省を中心に、関係省庁にご出席をいただきました。またブラジルの民間側の代表としてはブラジル全国工業連盟からマスカレーニャス副会長にもご出席をいただきました。次のページお願いします。
これは第2回の合同委員会の模様です。次のページお願いします。
第2回ではですね、先ほども申し上げたように、移転価格税制といった問題、あるいは技術移転のINPIの審査の問題などを重点的に取り上げまして、日本の民間サイドから問題を提起いたしました。こういった問題に対してですね、そのまま放置するということではなくて、ブラジル側としましても開発商工省として対応可能なもの、例えばこのINPの技術移転契約の取り扱いであるとか、中古資本財の輸入手続の簡素化に関して言えば次回会合までに解決をしてもらうべく検討を進めてもらうこととしております。
あるいは税制の問題、これに関しては開発商工省の案件ではないものの、開発商工省はビジネスの円滑化という観点で責任をもっておりますので、ブラジル連邦収税局の方はきちっと問題を指摘して改善をしてもらうということで、働きかけをしていくことで一致をしております。さらにこの合同委員会そのものを開催するだけではなくて、もう少し技術的な議論も必要だろうということで、実務者による小規模会合、これはいわゆる専門家会合と我々呼んでいるんですけども、専門家会合を開催して議論をより詰めていきましょうという合意もされました。その他、協力関係についても進展がありました。この第2回の会議に並行し、JETROとブラジル開発商工省が共催でブラジル投資セミナーが開催されまして、これは盛況に終了したというふうに報告を受けております。次のページお願いします。
第3回に向けて、この第1回、第2回を踏まえて、やはり成果をきちっと出していかないといけないということで、現在三つの専門家会合を在ブラジル日本大使館の多大なるご協力の下、専門家会合を開催してきております。
三つの専門家会合は、技術移転契約の専門家会合、それから移転価格税制PIS/COFINS含む税制問題の会合、それから中古資本財の輸入規制に関する専門家会合ということで、それぞれ開発商工省の人間を中心に、税制に関しては連邦収税局も巻き込みながら専門家会合を開催してきており、かなり技術的なところも含め、問題の改善の可能性について議論を行なっております。
こうした専門家会合を使いながら引き続きブラジル政府との協議を継続していくとともに、この専門家会合で得た情報をですね、日本側関係者とも共有をしながら、今後日伯の貿易投資委員会、第3回目に向けてどういった取組みが必要なのかという議論を始めてゆきたいというふうに考えております。
それから、こういったブラジルの問題を指摘していくだけではなくて、当然日本企業にとってブラジルというのは非常にポテンシャルがあり、関心の高いビジネスのフィールドだと思いますので、そういったフィールドで日本企業がビジネスをできるだけチャンスを逃さずにやっていただけるような、そういった取り組みについて、日本企業の関心もこれは踏まえながらになりますけども、官民の枠組みでの議論が適切なものについては委員会で取り上げるということも検討していきたいと考えております皆様からのぜひ、テーマのご意見等いただければありがたいと考えております。次のページお願いします。
最後になりますけれども、実は私は、明日からブラジリアの方にまいりまして開発商工省と次回会合の可能性についていろいろ議論検討して参りたいと思っております。まだ先方との議論があるのでどうなるか分からないいいですけれども、時期的にはこの春から夏にかけてですね、できれば非常にいいんじゃないかなと個人的には考えております。従いまして、ぜひ皆様からですね、こういうアジェンダを取扱ってほしいとかですね、あるいはこういう投資環境上の問題があるのでぜひブラジル側にこの枠組みの中で伝えてほしいというご意見等がございましたら、非常にウェルカムですので、ぜひいただければ考えております。ご清聴ありがとうございました。
司会:山下様ありがとうございました。官民連携、官民一体となってですね、ぜひ取り組んでいきたいと思います。続きまして、在ブラジル日本国大使館からの連絡事項がございます。吉村一等書記官よろしくお願いいたします。
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在ブラジル日本国大使館 吉村一元一等書記官
ご紹介いただきましたブラジル大使館の吉村と申します。今日はこのように発言の機会を頂戴してどうもありがとうございました。折角の機会ですので、ブラジリアの方でどういう取り組みをしているかということを皆様方に、若干宣伝も兼ねてお話をさせていただければというふうに思っております。
ブラジリアでは日伯貿投委に関連して、その枠組みの中でテーマ毎に専門家会合を開催し、法規制の条文に即した極めて技術的な議論を展開しております。
先ほど話が上がりましたけども、移転価格税制の議論ですね、加えて技術移転の円滑化を図るための議論、さらに言えば大きな話としては中古品の輸入手続きと。いずれも開発商工省あるいは連邦収税局と議論しています。面白い展開としては、昨年の9月に2回目の日伯貿投委を開催した、後開発商工省から、連邦収税局に強力に働きかけを行っている点です。税制については投資を促進するためぜひとも整備をすべきであると。技術移転についてもしかりだと。
顕著な例として、私が連邦収税局の法人所得税課長、あるいは国際課長と話をするときは、開発商工省の人が私の横に座って一緒に肩組んで要求しているというようなことを繰り返しております。こういう形で皆様から頂戴したお話、あるいはビジネス上の課題というのを少しでも解決しようというふうにブラジリアで取り組んでいます。今後ともぜひ応援をいただければと思います。
最後に感想じみたことになってしまう、これらの話は、です。ブラジル側の制度の根本に関わる話その分難しく、皆様から情報を頂戴して条文を解釈しながらブラジル政府、あるいはリオ特許庁と議論するというのを繰り返しているが、政府との議論に集中しすぎており、現場の声があまり聞けていなかったことを反省することも必要かなというふうに思っています。今日は皆様の産業界の生の声を聞けて、正直申し上げて元気が出たというのが私の率直な感想であります。
2010年は薄日ということで、西岡社長からの発言もあったのですが、この点大部総領事も触れられていましたけれども、私にもこのフレーズは非常に印象的でした。国内マーケットが非常に魅力的なブラジルですので、皆様正直問題を抱えながらも何とかビジネスをやりくりしていると、何とかここに商機を見出そうとしているという状況なのではないかと思います。
大使館の方でも何とか、おこがましいんですけども、皆様のサポートをするべく、今後とも全力で取り組んでいきたいと思います。大使館の経済班の紹介もさせていただきますと、ご存知の通り私は経産省からの出向です。その他デジタルテレビ担当の総務省からの出向者。移転価格税制、資本利子課税等の税制を担当する財務省からの出向者、高速鉄道を応援する旧運輸省からの出向者、都市交通を支援する旧建設省からの出向者。食料・農業分野を担当する農水省からの出向者もおります。我々からの支援できる分野としては広いんだと思います。あとは、我々がそれぞれの分野でどこまでできるのかということを試されているんじゃないかというふうに感じております。
官民一体として強力に戦っていこうというのが本日のテーマというか、今後のビジネスの一つの解決策というふうに感じております。中国勢、韓国勢非常に強力でありますけれども、ぜひ一丸となって取り組んでいきたいと思います。我々も前線で、伯政府との関係をがんばりますので、引き続き皆様からの応援をよろしくお願いいたしたいと思います。どうも今日はありがとうございました。
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日伯法律委員会 副委員長 篠原一宇
皆さんこんにちは。篠原です。移転価格税制に関してですね、三つの部門の部会長様から移転価格の懸念事項という指摘があったというように思うんですが。この資料ですが、大使館の御協力を得て作成したチャートでございます。
私は2006年にですね、この商工会議所で同じく移転価格に関する対策委員会というものがございまして、その当時もそのメンバーとして参加させていただいていおりました関係上、今回のこの課題について若干触れさせていただきたいというふうに思います。
とにかくですね、昨年の12月29日に何ら予告もなくですね、長年懸念事項でありました移転価格税制の改正が発表されたわけなんですね。暫定処置令ですので、国会で60日プラス60日の期間以内に立法化される必要があるわけですけれども、まずその変更の内容について若干触れさせていただきたいというふうに思います。
ブラジルの移転価格税制は、供給先の原価をベースとした原価基準法、これをCPLというんですけども、それが一つですね。それから第三者への販売価格をベースとした独立価格比準法、これをPICと申します。
それから3つ目に、販売価格のマージンをベースとした再販価格比準法、PRL、がですね、計算の方式としてあったわけですね。で今回の改正でその再販価格比準法、PRLが廃止されて、販売価格比準法、PVLに変更されたわけです。
これが一番初めの要素ですね。それから、これは数字の方に入っていくわけですが、販売価格のマージンはですね、輸入部品を用いて製品製造を行なう場合、これは60%であったわけですね。非常に高い60%であったものが一応35%に下がりましたということですね。それはいいんですけれども、逆に計算方式の選択が狭まれております。後ほどそれに関しては触れたいと思います。
それから、完成品輸入の販売のマージン率が、20%であったわけですけれども、輸入品の場合はその率が逆に20から35%に大きく上がったということですね。ですから一部の輸入品のビジネスは成立しなくなる可能性を含めているという率の設定が行なわれたわけです。要するに60と20%であったものが、一律35%に設定されたというのが変更内容ですね。
続きまして、この税制に関して各業界から要請事項でありました業種別のマージン設定、その必要性についてはですね、大蔵大臣が自ら業種別のマージン設定をできるようになったという改善要素が入っております。まあそれが機能するかしないかは別としてですね、そういう変更要素が入りました。
次にですね、移転価格税の計算方式は確定申告、DIPJ、要するにDeclaracao de informacao economica fiscal da pessoa juridicaの提出時に選択した方法の報告義務が課されましたので、その申告時に計算が終了している必要があるということですね。
次に独立価格比準法に関する新しい要素として、第三者の取引が調整を受ける取引の少なくとも10%をですね、占める必要があると。これは大変な作業を強いられることを意味するわけですね。
荒っぽく申しますと、大きな変更要素というのはここに書かれている要素なんですが、ここにあります法律9430号による計算根拠が無くなったという意味ですけれども、各社さんでですね、まあ移転価格というのはあくまでも関連会社間の取引の適性な利益配合といったものを規制するといいますか、そういう制度でございますので、とにかくいろんな計算方式、要するに親子間の取引等を含めてですね、いろいろな計算方式が今まであったわけですけれども、今回の制度が立法化されますとですね、そういった選択ができなくなると。
法律9430号で申告をされておられました会社の場合ですと、特にですね、この制度変更によってですね、負担がすごく増えちゃうということになるわけですね。そういった大変インパクトの多い税制変更が昨年の末に発表されてですね、今後どう対応していくかということが現実としてあるということなんですね。
それでですね、昨日商工会議所の事務所で移転価格グループのメンバーが集まりまして、経産省の山下さん、それから大使館の吉村さん、それからサンパウロ総領事館からもご参席いただいてですね、情報のシェアをさせていただいたんですが、特に今回の改正について各企業様でどのように受け止められておられるか、その影響はどうなのか、それから本件に関する商工会議所のイニシアチブに対するご要望事項ですね、そういったものをアンケートを回しますので、ぜひいろんなご意見をですね、ご協力をお願いしたいなということでございます。
法令が出て間もないわけですけども、暫定処置令ですね、とにかく今各メーカーさん、企業さんで、このインパクトが実際計算をしてみるとどの程度資金負担になるかというようなことを試算されてですね。要するに利益は計上されていても資金は減るというようなこともあり得るわけですね。
といいますのはこれはあくまでも年度、一年間の取引の決算を締めてですね、税務申告をするときにその追加の税金の支払いが発生するという性質のものですので、ぜひそういう現状の、この暫定処置令のインパクトを調べられた方がいいんじゃないかなというふうに思います。
昨日の時点では私まだ情報を入手してなかったんですけども、今日FIESPの方で、要するにこの暫定処置令に対するアプローチと申しますか、要するに改正法案の内容というものがだいたいクリアになりまして、それがすでに国会議員を通じて提出されたものか、どういったレベルかということは把握していませんけれども。その内容を若干ご案内しますとですね、先ほど申し上げました60%から35%、製造業の場合この率を、要するに生産部材のマージンに関しては30%に、また完成品のマージンを20%に戻すという内容の法案、ドラフトになっていますね。
それから、このPICの書類による立証の手間というのはですね、書類でなく監査法人のレポートでOKとすべきだというのも一つの事項ですね。それからもう一つはですね、業種別のマージンを市場価格または類似品の、まあ第三者とのオペレーションを立証できればそれが認められるというような内容。
それから為替の変動があった場合は、為替の変動というのは5%以上の為替の変動があれば、大蔵大臣が毎年1月に調整マージンの率を発表するというもの。それから、第三者から購入して海外でカーゴを集結して部材を購入する場合はですね、そういった第三者の生産物に関しては移転価格税制の対象外とするいう様相。それからですね、計算方式の報告義務を、先ほど申し上げましたそこに書いてある様相ですね、報告義務をフレキシブルにするといった内容の提案といいますか、法案が出ているようです。以上ですが、よろしいですか。
司会:はい、ありがとうございました。何かご質問ございますでしょうか。まあたくさんあると思いますけども、いずれにしてもちょっと具体的にですね、各社の方でこのインパクトを調べていただいて、まあアンケートをやりますので、その結果を踏まえてまたセミナーを開きたいと思います。
そうですね、これにて終了ですけども、本日各部会の皆様労作どうもありがとうございました。ぎりぎりまで資料、データをアップデートしていただき、深謝申し上げます。本日はマクロからミクロまで、ほとんど全ての業種・分野に網羅されていまして、非常に頭の整理になったんではないかということで、多くのヒントがあったというふうに思います。
先ほど、サイトに掲載するというお話をいたしましたけども、実はこのパワーポイントのプレゼン資料ですね、これにつきましては明日掲載いたします。ただ一方で各スピーカーの方の発言内容そのものですね、これにつきましては録音をしたものを起していきますので、ちょっと時間をいただきたいと思います。10日ぐらいですね。ですから2月20日くらいには全文掲載をするということでご了承いただきたいと思います。
次回は半年後、8月となります。今回の展望の検証とともにですね、さらに明るい話題がたくさん出ますように期待しております。それから1点連絡事項です。この後カクテルパーティーを用意しております。すぐ隣の部屋でございます。
現在52名の方にご参加いただく予定になっておりますけれども、ほとんどの発表者の方もですね、ジョインされますのでぜひ懇親を深めていただきたいと思います。予約されていない方も大歓迎です。費用は50レアルということであります。本日は長時間にわたりどうもありがとうございました。これにて閉会いたします。ありがとうございました。
開催日:2010年02月09日(火)
会場:ホテル インターコンチネンタル サンパウロ
時間:午後2時から6時