2011年上期の業種別部会長シンポジウムに150人が参加して盛大に開催

2011年上期の業種別部会長シンポジウムが2011年2月15日午後1時から6時までインターコンチネンタルホテルに会場一杯の150人が参加、「2010年の回顧と2011年の展望」をテーマに開催された。

前半の司会は近藤正樹総務委員長が務め、初めに中山立夫会頭が開催挨拶(下記のPDFファイル参考)を行い、元日銀総裁で大和総研の武藤敏郎理事長が「日本経済の現状と今後の展望」と題して基調講演を行った。

初めに金融部会の小西輝久部会長が昨年のマクロ経済や今年の経済動向を中心に,昨年の回顧では大きい政府による財政支出、先進諸国による金融緩和政策で新興国やコモディティ商品に流れる投機的資金、レアル高の為替、為替コントロール防止策、金融取引税(IOF)の引上げ、エジプト危機でボベスパが軟調でも強いレアル通貨、好景気による延滞率の低下、ブラジル保険業界の規模などを説明した。

貿易部会の伊藤友久部会長はコモディティ価格の上昇、ブラジルの輸出入相手国ランキング、対日輸出入、原材料/中間財の輸入増加、韓国からの輸入が日本を追越して5位に浮上、中国の対内直接投資はトップ10に入っていないが、間接投資で流入していると説明、コンサルタント部会の都築慎一部会長は今までのマクロ経済などの発表から一転して「ジウマ政府の目指す税制改革」と題して、選挙戦で公約してきたルーラ前政権ができなかった税制改革の取り組み、税制の簡素化、商品流通サービス税(ICMS)の制度修正の必要性、連邦社会負担金の一元化、税制改革のポイントなどについて説明した。

自動車部会の中西俊一部会長は工業製品税(IPI)の減税効果、内需拡大で自動車販売が好調、リッター車の販売推移、二輪車の販売、各社の今後の投資予定、昨年末のクレジットの引締め策の影響などについて説明、電気電子部会の松田雅信部会長はワールドカップの影響や白物家電へのIPI減税、販売好調な薄型テレビ、B2B、テレビの販売価格低下、価格競争激化、トピックスとしてマナウスを紹介、フリ-ゾーン設置の経緯や存在感、大きな税制恩典、電気・二輪車生産が牽引、日系企業数や規模などについて知らない一面を説明した。

コーヒーブレーク後は鷲巣寛企画戦略委員長が司会を担当、機械金属部会の西岡勝樹部会長は昨年の回顧としてほぼ全ての業種でリーマンショック以前の業績に戻ったためにキーワードは”回復”、しかしレアル高の為替による輸入増加、中国や韓国勢の台頭、大型プロジェクトの延期などもあった。今年の展望では昨年の好調を維持、自動車販売や産業系分野も好調の予想でキーワードはプラス10%、しかしレアルの高騰、公共支出増加による財政悪化、世界経済の先行き不透明感など不安要因も否定できないと説明した。

化学品部会の大澤巌部会長は初めに化学品部会の回顧と展望の総括では概ね好成績、素材産業、消費物資産業、15分野に分けて説明、ジェネリック製品との競合、中国製違法品との競合、人件費の増加、為替レート、コモディティ商品価格の高騰、物療の問題、工業製品税減税が影響したと説明、運輸サービス部会の岐部ルイス部会長は物流業界、航空業界、海運業界、ホテル業界、通信、IT業界の回顧と展望について説明、インフラ、鉄鉱石輸出、外国人観光客の増加、好調なIT業界、ストライキ、サンパウロの道路規制、港湾や空港インフラ不整備、企業内SNS,クラウドサービス、Ipadなどについて説明、繊維部会の河本暢夫部会長ははじめに全部会発表で唯一、暗い話をしますと前置きして、国際綿花の需給バランス、生産国である中国の不作やパキスタンの洪水、インドの輸出制限などで価格が高騰、紡績のスプレッド、必要な投機筋への規制、死活問題の原料価格の糸値転嫁、農業融資制度の見直し・融資枠の拡大などについて説明した。

建設不動産部会の大滝守部会長代理は昨年の建設業界は11%の伸び率を記録、大統領選挙による公共投資の増加、海外からの大型投資、労働コストの大幅アップ、建設労働者の推移、専門職不足、建設資材の価格の推移、セメント販売量の推移、サッカーやワールドカップの大型インフラ投資の継続などについて説明、食品部会の高藤悦弘部会長は為替の動向、コーヒーや砂糖の商品相場の推移、国内消費動向、不安定なコモディティ商品相場、北部や北東地域が消費を牽引、輸出の動向などを説明した。

講評では大部一秋総領事は毎回、プレゼンテーションが改善されてきており、武藤敏郎理事長の基調講演は非常に勉強になり、コンサルタント部会の税制トピックス、電気電子部会のマナウスのトピックスは良かった。全部会の発表はコンパクトで非常によかった。西岡部会長のプラス10%などのキーワードもよかった。また繊維の投機的な動きなどこれほど影響を受けているとは思わなかった。また人件費、インフレの影響、インフラの弱体が気になっていたが、ネックの投資が急がれる。11部会全体をまとめて発表してもいいのではないか。今後もトピック的、啓蒙的なものを加えて頂きたいと述べ、最後に鷲巣委員長は閉会の辞で総領事からも話があったが、素晴らしいシンポジウムをするために部会で工夫をしてやっているが、皆様の意見を取り入れたいと結んだ。

業種別部会長シンポジュームの中山立夫会頭開催挨拶

会場一杯の150人の参加者

部会長シンポジウムの発表者席

前列左から大部一秋総領事/大和総研の武藤敏郎理事長/中山立夫会頭

中央の大和総研の武藤敏郎理事長を囲んで記念撮影

 

 

 

 

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