ブラジル日本商工会議所新年会に三輪昭大使や日系主要団体代表迎えて 記録更新の180人が参加して盛大に開催

ブラジル日本商工会議所(近藤正樹会頭)新年会が2012年1月17日正午から2時過ぎまでチボリホテルにて、三輪昭大使、日系主要団体代表や多くの企業からの複数参加などで記録更新の180人が参加して開催、司会は平田藤義事務局長が務めた。初めに三輪昭在ブラジル日本国特命全権大使 / ブラジル日本商工会議所名誉会頭、小林雅彦在サンパウロ日本国首席領事、木多喜八郎ブラジル日本文化福祉協会長、アンセルモ中谷アリアンサ日伯文化連盟会長、園田昭憲ブラジル日本都道府県連合会(県連)会長、菊地義治サンパウロ日伯援護協会会長を特別参加者として紹介した。

近藤正樹会頭は初めに挨拶で、記録を更新する参加者に対してお礼を述べ、昨年はアラブの春、東日本大震災、タイの洪水、ヨーロッパの債務危機など心が重くなる想定外ではなく起こりえる多くのことが連続して発生、震災復興はまだまだであるが、日本には互譲精神があるので必ず復興すると強調した。

また昨年は、色々なセミナーを開催、アンケート調査などを積極的に行い会議所活動が活性化、また会議所サイトの充実化、8月にはサルバドールでの第14回日伯経済合同委員会開催、第5回貿易投資委員会開催での3年間の商用マルチビザ発行への働きかけなど投資環境改善に結びついた活動を行ってきたことに触れた。

今年は地球サミット リオ+20(国連持続可能な開発会議)と呼ばれる会議で、百数十カ国の代表が参加してグリーン・エコノミーなど次世代の社会の枠組みが論議される予定、会議所も官民一体となってオールジャパンで取り組んでいく意を表明、支援を依頼した。

今年は選挙の年であり、フランス、ロシア、メキシコ、米国や韓国、来年1月にはドイツで選挙があり、大きなリーダーが変わる可能性があるが、現在は世界的なリーダーが不在であり、日本とブラジルは100年を超えるパートナーシップで補完関係にあり、今こそ両国が力を合わせより大きな力となるべき時であると説明。

昨年は日本から20社以上が新たにブラジルへ進出して日本のプレゼンスを高めることに結びついてきているが、今年は会議所の会員最高記録333社を突破して更に記録を更新して、400社、500社を今後目指す意を表明。ゲーテの言葉に「財を失うことは小さく失うことである、名誉を失うことは大きく失うことである、勇気を失うことはすべてを失うことである」とリーダーシップを発揮するものに必要なのは「勇気」であると述べた。

続いて三輪昭大使の挨拶では、昨年3月の東日本大震災や原発事故、想像を超す円高やヨーロッパの債務危機の悪化など世界情勢が予測できないほど変化しているが、震災に対する三百万レアルを超える支援、商用マルチビザの今年1月からの発行、3月からの日伯社会保障制度などビジネス環境整備で大きな進展となって、今年はよいスタートとなったと述べた。

世界ではヨーロッパを中心に景気不透明の中で、日本の関心は経済成長を続ける新興国に集まり、特にブラジルが大きく取り上げられており、日本への関心も的となって日本のプレゼンスが上昇してきており、2月の官民合同会議では社会基盤、防災、都市交通、ロジスティックなどについて協議、大使館も尽力を尽くして官民一体となって成果を上げていきたいと挨拶を結んだ。

平田事務局長は鏡開き用の酒樽を提供した東山農産加工の岡橋亮輔社長他同社からの参加者に丁寧にお礼を述べた後で、鏡開きは三輪大使、小林首席領事並びに近藤会頭が行い、小林首席領事が震災からの希望の年、辰年で飛躍の年、日伯交流強化の年となるように乾杯の音頭をとった。

連絡事項ではPwC社支援による会計用語集の発行について、初めに平田事務局長が経緯を説明。PWC社から日本移民100周年記念に向けて何か協力できないかとの相談があり、長年温めてきた改訂版で全面協力をいただいて発刊、今日は出版会を兼ねている旨を説明。 PwC社のフェルナンド・アルヴェス社長は、同社のブラジル進出は1915年、日系企業サポートとしてジャパンデスクを設けており、今年は日本でブラジルウイークを開催すると挨拶で述べた。PwCブラジル・ジャパンデスクのカロリーナ・坂間リーダーは三か国語(日本語・英語・ポルトガル語)での会計用語集発行のミッションや経緯、商工会議所の平田事務局長の尽力などについて下記の出版案内PDFで紹介、またPWC社をビデオで紹介した。またPWC社からエンリケ・ルース副社長、 エドアルド・ルッケ取締役、日系企業ビジネスサポート部の矢萩信行氏、片岡万枝氏 並びに アレシャンドレ・ヤマダ氏と7名が参加し、司会の平田事務局長が一人ひとり紹介を行った。

3分間スピーチでは「日本移民・日系社会史年表」増補版の販売について、サンパウロ人文科学研究所の鈴木正威所長が紹介を行った。人文研は創立以来50年以上が経過した民間調査団体で、日本移民や日系社会の研究をしてきた団体であり、1802年にロシアの軍艦で日本人がフロリアノポリスに上陸して以来の移民史を記した年表であることを説明。1996年に初刊行、昨年は1996年から2010年の15年間分の続編を発行し、日本移民の歴史や推移など年代順に記録したものであり、日本移民や子孫がブラジルにおいて波乱に満ちた生きざまが理解できる貴重な史料であり、折に触れて読んでもらえれば、と同年表を推薦した。日系企業4社からの支援で研究員を育てており、日本との学術的な交流ができれば、と紹介挨拶を結んだ。今回の新年会での増補版販売における天野一郎日系社会委員長の多大な尽力に対して、司会の平田事務局長が感謝の意を述べた。

続いての3分間スピーチでは、ミナス・日本経済フォーラムについてウジミナス社のユカリ・ハマダ氏が説明。ミナス州での第1回日本祭り(2月3日から5日まで。ベロ・オリゾンテ市のエクスポミナス会場で開催)とその中で行われるミナス・日本-2012年経済フォーラム、ブラジル並びにミナス州への投資チャンスパネル、日本・ミナスパートナの成功例パネル、国際料理セミナー、日本料理や日本音楽、折り紙、武術、押し花や漫画など日本文化の紹介などがあることを説明、また会員企業へ同イベントへの参加を促した。

最後の3分間スピーチでは、東日本大震災復興支援チャリティ・コンサート結果報告としてSão Paulo For Japan 代表の末長恵里沙氏が コンサート前売り券の販売の他、上記団体スタッフによる手作りアクセサリー販売等を含めた収益から諸費用を差し引いた収支差額 5,176.46 レアイスはすべて義援金として、在サンパウロ日本国総領事館を通じて日本赤十字社に送られたと説明。柴田大介氏は同 チャリティ・コンサートはUNICAMP に通う日本人留学生を中心に、2011年3月11日に発生した東日本大震災をきっかけに発足された団体 São Paulo For Japan の企画であり、当日は米国で大学卒業後、指揮者・ピアニストとしても活動を行っている柴田氏のもとでヴィラ・ロボス、モーツァルトの他、日本の曲「からたちの花」等が演奏され成功裡に終了したと報告。 また柴田氏は「からたちの花」を編曲したロベルト氏を紹介した。

続いての帰国挨拶では、在サンパウロ日本国総領事館の加藤秀雄領事が挨拶を行い、日本では麻薬専門取締官であり、2008年7月の突然の経済班への着任に大変驚いたこと、また商工会議所の部会やシンポなどに積極的に参加して大いに勉強になり、また色々な人との人脈ができたことに感謝、帰国後も人脈の繋がりを継続したいと述べ、また後任の坪井領事は前厚労省国際年金課係長であり、3月の日伯社会保障制度の実施が開始されるので、タイムリーな勤務となると挨拶を結んだ。

着任挨拶ではブラジルKPMG社日系企業担当の藤井敏晴パートナーが1年前からあずさ監査法人から赴任している公認会計士の赤澤賢史シニアマネージャーを新任として紹介、赤澤シニアマネージャーは2004年から2007年まで中国に駐在した経験があり、新興国における日系企業支援サービスには、新興国での経験を買われた経緯を説明した。

代表者交替でオーミ繊維工業の本間昭一郎社長が帰任挨拶を行い、ブラジル勤務は通算25年と非常に長く、多くの思い出を抱えて4月に帰国しますと挨拶、後任の横山眞一新社長は営業として1991年までブラジルで勤務、今回は22年ぶりのブラジル勤務になると挨拶。前川製作所の大井直樹社長は2006年からブラジル勤務で2009年に代表に就任、会議所活動では機械金属副部会長並びに相互啓発副委員長を担当して、これまでの多くの人との関わりを大切にしたいと述べた。後任の片岡浩一新社長はサンパウロ州モジ市で生まれ11歳までブラジルで生活、チリに3年、スペインで4年勤務、1月から赴任している。

続いての青年会議所会頭新任挨拶では、ダニエル・カワチ新会頭が青年会議所は1982年に設立されて30年の歴史があり、商工会議所から大いにサポートしてもらっており、リーダー育成や社会責任プログラムなどを積極的に進めていきたいと強調した。

2011/12年度常任理事紹介では近藤会頭がそれぞれの常任理事を紹介。初めに総務委員長の伊藤友久副会頭は昨年に引き続き総務委員長を務め、行事や催しの取りまとめを行い、各委員会でできない点を補足、年間2回の業種別部会長シンポが2月14日に実施されるので積極的な参加を呼びかけた。

渉外広報委員長の中西俊一副会頭は同委員会がより開かれた会議所を目指して親しみのある組織であるように心がけると抱負を述べた。日伯経済交流促進委員長の藤井晋介副会頭は委員会では日伯経済強化、官民双方の交流促進を図り、昨年サルバドールで開催された日伯経済合同委員会は更なる両国関係強化していくために、2年おきから年1回の開催に変更して今年は東京での開催、またビジネス環境整備・課題などのアンケート調査を実施して多くの企業から回答があり、現在は纏め中であるが、進出企業の苦労が読み取れ、まとまり次第、報告する旨を述べた。

企業経営委員長の上野秀雄専任理事が、労務問題を焦点にあてて毎月第3木曜日午後4時から6時までポルトガル語で月例会を開催、今年は年2回は日本語による労務訴訟未然防止などをテーマに同様の勉強会を開催したいと抱負を述べた。相互啓発委員長の江上知剛専任理事は昨年半ばに委員長に就任、カマラゴルフを年間4回開催、しかし海外視察旅行は実現できなかったので、今年はマナウスの企業視察を計画、会員へ参加を促し、またイベントに対する提案を呼びかけた。

日系社会委員長の天野一郎専任理事は、会議所の財産は日本移民の努力による「信用」であり、目に見えない「信用」で会員企業は恩恵を受けていることを感じてほしいと述べ、またサンパウロ人文科学研究所の「日本移民・日系社会史年表」増補版の購買への協力を要請した。

特命担当委員長の伊吹洋二専任理事は委員会では昨年、JICAと共にトカンチンス州知事やウルグアイ大使を招待してセミナーを開催、今年も色々なゲストを呼んで会議所との橋渡しができれば喜ばしいと述べた。監事会の中村敏幸監事会議長は監事を14年間務めており、昨年からは監事会議長に就任し監事2人にサポートされ、今年はより一層の努力をする意を述べた。藤井敏晴監事は監事就任6年目で4半期ごとに監事会で会計監査を実施、堀内監事の就任で違う角度から会計監査ができるようになったと述べ、堀内勝監事は職業柄日系企業の進出支援を行っており、最近も日本でセミナーを開催、アドミニストレーションという立場から、縁の下の力持ちで協力したいと抱負を述べた。最後に近藤正樹会頭は、本年は同メンバーで全力投球する旨を述べ、新年会挨拶を締めくくった。

Pdf近藤正樹会頭の御挨拶文

Pdf三輪昭在ブラジル日本国特命全権大使の御挨拶文

PdfPwCブラジル・ジャパンデスクのカロリーナ・坂間リーダーの出版案内挨拶

Pdfミナス州第1回日本祭り案内(ポルトガル語)

開催挨拶を行う近藤正樹会頭(Foto: Rubens Ito / CCIJB)

挨拶を行う三輪昭大使

左から鏡開きを行う小林雅彦在サンパウロ日本国首席領事/三輪昭在ブラジル日本国特命全権大使 / ブラジル日本商工会議所名誉会頭/近藤正樹会頭

乾杯の音頭をとる小林雅彦在サンパウロ日本国首席領事

乾杯する三輪大使や近藤会頭と副会頭や専任理事

おせち料理や日本酒を前にテーブルを囲む参加者

2011/2012年度常任理事紹介で今年の抱負を述べる常任理事

三か国語(日本語・英語・ポルトガル語)での会計用語集の出版案内を行うPwCブラジル・ジャパンデスクのカロリーナ・坂間リーダー/後ろはPwC社のフェルナンド・アルヴェス社長

「日本移民・日系社会史年表」増補版の販売についてスピーチするサンパウロ人文科学研究所の鈴木正威所長

左から下譲二日本文化福祉協会副会長/木多喜八郎ブラジル日本文化福祉協会長/菊地義治サンパウロ日伯援護協会会長/園田昭憲ブラジル日本都道府県連合会(県連)会長

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