JICA田中明彦理事長が来伯

1月5日、独立行政法人 国際協力機構(JICA)の田中理事長が来伯、日系諸団体と懇談、イブラピエラ公園内の開拓戦没者慰霊碑に献花、技術協力案件の一つであるサンパウロ州軍警察の交番制度や文協ビル内にあるブラジル日本移民史料館を視察の後、会議所役員と懇談会を行った。2007年4月、緒方貞子前理事長の訪伯から約6年が経過、就任9カ月間もない田中理事長の訪伯理由の一つに、現在同機構が進めているODAと民間企業との連携強化にあたって企業側からの忌憚の無い要望や意見聴取等もある。

戦後の移住事業の係りから現在に至るまでJICAがブラジルに対し支援協力した主な事業の中には70年代ブラジルのセラード地域開発をはじめ日伯パートナーシップ・プログラムによるアフリカ諸国への支援強化、今その延長線上にある日伯プロサバンナ・プロジェクト(日伯連携によるモザンビーク熱帯サバンナ農業開発事業)、治安向上の為の地域警察制度の拡充プロジェクト、日伯方式の地デジ導入にあたって専門家派遣や研修およびセミナー開催、その他環境対策プロジェクト等々、数え切れないほど沢山ある。

ドナーとして歴史の浅いブラジルがJICAからその援助機関としての経験と知識を謙虚に学びたいとする態度にJICAに対する評価が如実に証明されている(※1)。90年代の10年間、日本は世界最大のODA援助国であった。その後苦しい経済や財政事情から現在5位に転落しているが、その時代時代に即した最も適切かつ効果的な国際協力支援の枠組みやそのあり方を探索、経済規模に応じた援助を続け人類共通の課題に対し果敢にチャレンジしている。

ブラジル経済の動向、ブラジルコスト全般の他、日本企業によるM&A、社会インフラ投資、高速鉄道、都市交通、PPPの実態、産業廃棄物処理、人材育成、ODA対象地域、ブラジルの地域(州)格差、低所得層地域のビジネスチャンス、ブラジル開発商工省所轄の国家投資情報ネットワーク(RENAI)とJICAが共催した投資誘致ワークショップ(昨年全州の投資誘致関係者を集めミナス州で開催)の継続的な開催、州政府投資局から連邦政府へ制度改革に向けた働きかけ、日本の中堅・中小企業の投資誘致政策、投資誘致や技術移転に対する日系社会150万人の人材有効活用、南米諸国連合(UNASUL)による社会経済開発に向けた南米インフラ統合8軸計画(※2)、太平洋側へのアクセスと食糧・資源・エネルギーの安全保障、JICAのODA支援や援助のあり方、官民連携オールジャパンとしての取り組み、JICA/JBIC/JETROの機構組織等々について幅広く意見交換を行った。

(※1)http://www.jica.go.jp/story/interview/interview_93.html

(※2)http://www.fiesp.com.br/wp-content/uploads/2012/05/8-EIXOS-pt.pdf

参加者:JICA田中明彦理事長、高野 剛中南米部長、畝 伊智朗理事室長、室澤智史ブラジル事務所長、在サンパウロ総領事館の福嶌教輝総領事、同館の坪井俊宣経済担当領事、会議所から近藤正樹会頭(伯国三菱商事社長:商社全般)、伊吹洋二専任理事 特命担当委員長(丸紅ブラジル会社社長:インフラ関連)、村上廣高専任理事 日伯法律委員長(ブラジルパナソニック社長:電機関連)、西岡信之専任理事 企業経営委員長/機械金属部会長(ブラジル三菱重工社長:造船/人材育成)、平田藤義事務局長。

 

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