FIESP(サンパウロ州工業連盟)とブラジル日本商工会議所の会員企業の代表者との意見交換会並びに懇親昼食会に会議所から85人が参加して、2013年1月30日午前11時から午後2時まで開催された。
初めにFIESP連盟のパウロ・スカフェ会長は開会の挨拶で、商工会議所の名誉顧問のサンパウロ総領事館の福嶌教輝総領事が当会議所とFIESP間の更なる重層的な関係強化を図る目的からFIESP連盟を訪問して、スカフェ会長に日伯の関係強化を要請、スカフェ会長から快諾を受けて、今回の意見交換会並びに懇親昼食会が実現した経緯を説明した。
また非常に親日家のスカフェ会長は、1970年代の日本からのブラジル進出ブームから日伯関係は失われた20年と関係が冷めていたが、ブラジルはハイパーインフレや高金利などに悩まされていたにも関わらず、1994年のレアルプランをきっかけにブラジル経済が持続可能な経済成長を達成してきて世界がブラジルに注目してきており、また日系人の農業部門での貢献やブラジル社会への素晴らしい影響、ブラジル社会に融和した日本移民の活躍など尊敬される日系コロニアには、大いに敬意を表しますと述べた。
今は日伯関係の新しい潮流や世界に注目されているブラジルへの日本からの投資が増加してきており、投資環境やビジネス環境の改善に商工会議所とFIESPが協力して連邦政府に改善を要請して、雇用並びに投資の増加を推進したいと述べ、また日本進出企業がビジネス環境で足枷になっている問題などを声高に発信して、連邦政府にビジネス環境の改善を要請していきましょうと強調した。
FIESP連盟はビジネス環境改善のための最前線であり、ビジネスに障害となっている税制改革、ブラジルコストの削減などに取り組んでおり、投資促進だけでなく教育、都市交通、農村問題などについても多いに議論して、連邦政府に提言する必要があると強調した。
近藤正樹会頭は、FIESP連盟のパウロ・スカフェ会長並びに国際関係・貿易担当ディレクター、ロベルト・ジアネッテ・フォンセッカ取締役に、今回の意見交換会並びに懇親昼食会の開催に対して丁寧にお礼を述べ、またこのきっかけを作った名誉顧問のサンパウロ総領事館の福嶌教輝総領事に対して丁寧にお礼を述べ、既に1月末となっているが、今年は皆さんにとって素晴らしい年になるようにと新年の挨拶をした。
また近藤会頭は、今回の商工会議所とFIESP連盟のビジネス環境改善のための意見交換会は、日伯関係の更なる緊密化につながり、40年に及ぶ経団連とCNI(全国工業連盟)の日本ブラジル合同経済委員会、 ブラジル開発商工省(MDIC)と日本経済産業省(METI)共催の日伯貿易投資促進合同委員会(日伯貿投委)が活発化してきており、日伯社会保障協定の締結、3年間のマルチヴィザ発給などに結びついたと説明。
ブラジルで最も重要な団体であるFIESP連盟のスカフェ会長によるジウマ・ロウセフ大統領への強力な進言による連邦政府との交渉で金利の低下、多くのセクターへの減税政策の適用、電力料金の値下げなどで、今後のビジネス環境の整備に足掛かりを築いていただいたことに感謝の意を述べた。
続いて福嶌教輝総領事はスカフェ会長が意見交換会並びに懇親昼食会の開催を快く承諾していただいたことにお礼を述べ、ブラジルの製造業の生産の40%を占めてブラジル工業界を牽引するFIESP連盟のスカフェ会長の尽力による電力エネルギーの値下げや各種の減税による製造業部門への力強いバックアップに感謝の意を述べ、また2011年の日本からの投資は75億ドルに達し、商工会議所の会員企業も大幅に増加してきており、更なる海外からの投資促進のためにFIESP連盟とタイアップして投資環境整備に力を合わせていきましょうと強調した。
また意見交換会ではスカフェ会長は、ブラジルは豊富な天然資源、広大な土地、優秀な人材、ノウハウなどを擁しているにも関わらず、レアル高の為替や重税、他国よりも飛びぬけて高い電力エネルギー料金、インフラ整備の遅れなどブラジルコストと呼ばれるコスト高で価格競争力が削がれている。
現在はR$2.00前後で推移している為替は20%近いレアル高であり、レアル高になると輸出競争力がそがれ、レアル安になると輸入製品が上昇してインフレ要因となり、昨年はR$2.00からR$2.10で推移していたが、理想はR$2.30であり、またSelic金利7.25%は1年前と比較して5.0%減少、ジウマ大統領は政治的な抵抗にも関わらず、我々の進言に対して、電力コンセッションの再契約や電力料金の値下げに踏み切った経緯を説明した。
今年はコンフェデレーションカップ、来年はワールドカップ、2016年はリオのオリンピック、2020年は万博開催の可能性があり、インフラ整備プロジェクトを先伸ばすことが不可能となっており、今後は公共投資や民間企業のインフラ部門への投資が待ったなしとなると説明した。
また港湾戦争と呼ばれていたICMS税もエスピリット・サント州やサンタ・カタリーナ州の州知事が抵抗して紆余曲折があったが、とりあえず輸入品に対するICMS税の一律4.0%に漕ぎ着けたが、今後は国産品などに対しても連邦政府に統一税率を訴えてゆき、税制改革を進めると強調、移転価格税制は非常に遅れたが改善させ、今後も連邦政府に改善の要請をすると説明、また密輸や治安などについても問題が山積みしているが、連邦政府と連携してFIESP連盟から要請してゆくと説明、その後活発の質疑応答が行われて意見交換会は成功裏に終わり、その後でFIESP連盟が立派な食事を提供して、食事をしながら色々な意見交換が行われた。
左から福嶌教輝総領事/近藤正樹会頭/FIESP連盟のスカフェ会長
FIESP連盟の参加者
手前は平田藤義事務局長