JICA主催の第3回中南米民間連携調査団との意見交換会が2014年5月20日午後1時30分から2時30分まで商工会議所の大会議室で開催、平田藤義事務局長が商工会議所の活動について講演、会議所の沿革では1970年半ばからおよそ10年間は国家の財政危機、民主主義への変換期、再度の石油ショック危機、慢性インフレや輸入制限など日本進出企業を初めとして海外からの投資が大幅に減少、80年代は失われた10年間、90年代はコロール大統領が貿易の自由化、レアルプラン、2003年から労働者党が政権を担当、ジウマ政権は経済政策の見直しを余儀なくされていると説明した。
また商工会議所の組織、委員会や部会活動、事務局の役割や全世界に向けた情報発信、様々なセクターとの意見交換、両国政府への提言や他国会議所との連携について説明。日伯経済合同委員会(CNI/経団連)や日伯貿易投資促進委員会(MDIC /METI)などの場を通し2012年初めから商用マルチビザ発行、2012年3月から日伯社会保障協定発効等の具体的な成果が挙がった事などを説明、 EU諸国並びに周辺7カ国、韓国はすでにビザフリー、中国にもマルチビザで先行されており、日本からの中小企業進出を促進する上でビザフリーは避けて通れ ないと強調、日本からの中小企業進出の最大のボトルネックとなっているビザのフリー化に向けて、来伯の関係閣僚や政治家に鋭意働きかけていることを強調、 また中小企業進出への支援構想、機械金属部会の中に造船分科会並びに貿易部会の中にメディカル分科会の設置などについて説明した。
当会議所の会員数は現在370社(うち進出企業227社)であるが、3年後の 2016年には500社(進出日本企業 350社)を目指していると説明、現在のドイツからのブラジル進出企業数が1,600社であるのに対し、日本は僅か400社に過ぎず、両国の進出企業会員数の比較で見てもドイツの1,400社に対し日本の約7倍の差が生じたのは何故なのか特性要因分析の手法を用い、その根本的な要因として本国からの資金的援助やフリービザの有無が大きく影響していると推測、地政学的な関係強度(両国の関係は距離の二乗に反比例)、ダイレクト便の有無、移民の歴史、本国の文化/言語教育普及の違い等が根本的な要因として挙げられるが他方、戦略的要素と考えられる職員数の 規模の圧倒的な違い、会議所内の進出支援ビジネスセンター設置の有無、会員企業の現地化の差なども可なり影響していると強調、また煩雑で負担の大きい税制 や多い労働訴訟/高い人件費、ブロクラシー大国、インフラ未整備、保護主義並びに治安の悪いブラジルを日本勢は概ね悲観的にみているが、欧米諸国とりわけドイツは将来のビジネスチャンスと肯定的に捉えているのではと参加者に対し自問・疑問を投げかけた。
質疑応答では日本とドイツ商工会議所との比較で日本が地場企業が多い要因として、進出企業とのビジネスチャンスを求めて弁護士事務所や会計事務所、地場銀行が会員になると平田事務局長は説明、またアジアからの投資では統計上には表れないが、中国がトップ、日本の2011年の直接投資は75億ドルと大幅に上昇、最近の日本からの投資分野として食品やサービス業、小売、ソフトウエア関連企業の進出が増加していると説明した。
第3回中南米民間連携調査団の参加者リスト
No. | 社名 | 役職 | 氏名 |
1 | 株式会社THK | 主務 | 林 麻里子 |
2 | 株式会社エクセルシア | 経営企画室長 | 足立 英子 |
3 | 白山工業株式会社 | 防災システム事業部営業部社会連携防災教育推進担当 | 黒田 真吾 |
4 | 横浜植木株式会社 | 菊川研究農場農場長 | 渥美 治久 |
5 | 株式会社アース・コーポレーション | 代表取締役 | 野崎 裕功 |
6 | 小松電子株式会社 | 専務取締役 | 滝川 洋 |
7 | 株式会社松本不動産企画 | 営業部長 | 松本 康裕 |
8 | ブラステル株式会社 | アカウントマネージャー | 鈴木 光雄 |
9 | 有限会社東海バイオ | 技術営業部長 | 柘植 清成 |
10 | 有限会社パッケージ高知 | 代表取締役社長 | 野村 裕 |
11 | 株式会社WATER | 顧問 | 西田 浩一 |
12 | 大北耕商事 | 代表取締役 | 大北 耕三 |
13 | 明星金属製鉄所 | 代表取締役 | 八木 徹 |
14 | 具志堅建築設計事務所 | 執行役員 | 金城 孝雄 |
15 | 株式会社トリム | 総務管理室室長兼海外支援室室長 | 田中 あけみ |
16 | 公益財団法人海外日系人協会 | 業務部長 | 水上 貴雄 |
17 | JICA 本部 | 中南米部 計画・移住課 | 小原 学 |
18 | JICA 本部 | 中南米部 計画・移住課 | 寺薗 佑介 |
19 | JICA ブラジル事務所 | 次長 | 遠藤 浩昭 |
平田事務局長は5月21日夜の同ミッションとの「ざっくばらんな交流会」に参加、昨日の質疑応答を延長した形でテーブルを回り懇談した。
ブラジル側からの参加者は、サンパウロ発信フリーペーパー「SAMPO」の金城カズアキ編集長/東京ソフトブラジルの上野陽子代表/クラシキ ド ブラジル テキスタイル社の田渕智生氏/スターツコーポレーションの関戸博高代表取締役 副会長/同森口信義取締役社長/デロイトの中村敏幸氏/同池谷ユウイチ氏/フジアルテ社の森山良二営業マネージャー/戸田建設ブラジルの三上悟社長/同営業部の藤井勇人氏/積水化学社の伊藤由美ステラマリー氏/イタウー・ウニバンコ銀行国際部の横路史生氏/Nelson Wiliams弁護士法律協会の安達研三顧問/大吉旅行者の吉原正浩代表/月間ピンドラーマ社の川原崎隆一郎代表/RGT社のローザテンサクラダ氏/同ジョージ・トミタ氏/同ヴァネッサ・ミヤハラ氏/平田藤義事務局長(商工会議所)
左から遠藤浩昭JICAブラジル事務所兼サンパウロ出張所次長/講演中の平田藤義事務局長