平成26年度官民合同会議に50人近くが参加して開催

平成26年度官民合同会議は、2014年12月11日午前9時から正午過ぎまでトランスアメリカンホテルに50人近くが参加して開催、進行役は小林和昭 参事官が務め、初めに梅田邦夫 大使が日本とブラジルから多くの参加者が参加、今後一層の日伯関係の強化を図っていきたいと挨拶、高瀨 寧 中南米局長は外務本省からの報告として、安倍総理は2年間で世界50カ国を訪問、今年8月に訪伯、中南米との文化交流関係の強化、経済関係の強化、穀物輸送のためにインフラ改善、人材育成などを官民一体でサポートすると強調、またインフラ不整備のブラジルコストの削減やローカルコンテンツなどについても意見を聞いて対応していきたいと説明、また2015年は日伯外交関係樹立120周年を迎え、すでに実行委員会を立ち上げて両国の戦略的グローバルパートナーシップを強化、日本の魅力を伝えるジャパンハウスについても説明した。

在ブラジル大使館からの報告・質疑応答として木下 義貴 書記官は政治関係トピックスの大統領選挙後の状況について、国民は変革を強く求めつつもジウマ・ロウセフ大統領は僅か3%に相当する300万票の差で再選されたが、民政移管後では最も接戦となったが、ドラマ性に富んだ選挙キャンペーンの中で中傷合戦を通じた激しい応酬選挙となったが、PT政権の陰りが顕著な選挙となった。

4,000万人に達する新中間層の多様化で2018年の大統領選挙は貧困層補助政策頼みでは政権保持は難しく、今後の展望や課題としてペトロブラス石油公社をめぐる不正疑惑問題で同社関連の投資案件やプレソルト事業への影響、継続する低い経済成長率、財政再建など問題は山積みであるが、新経済関係の閣僚発表で財政再建への優先、歳出コントロールやインフレ抑制を優先すると予想されていると説明した。

小林和昭 参事官は経済関係トピックスの大使館からの報告として、主要経済閣僚候補のプロフィール、第2次ジウマ政権の経済の方向性、最近のブラジル経済の動向、貿易構造の脱工業化、最近の伯中経済関係、最近の日伯二国間関係のトピックスとして第2回日伯貿易投資促進・産業協力合同委員会、穀物インフラ対話、WTOにおけるINOVA-AUTOのパネル設置への動き、海外交通・都市開発事業支援構造などについて説明した。

藤井 晋介会頭は今年2月に会員数は1990年代のピークを20数年ぶりに更新、11月は373社に増加したが、アジアの上海やバンコックに比べたら非常に少なく、ブラジルコストで中小企業はブラジル進出を躊躇している現状であり、今年の会議所のハイライトは機能強化委員会の立上であり、全国工業連合(CNI)からも連携してビジネス環境の障害の削除と心強い誘いがあり、また官民一体となってビジネス障害と取り除ければ会員数の増加につながる。

ブラジルは経済の停滞、財政悪化、コモディティ価格の低迷で今後2年間ほどは経済低迷を余儀なくされるが、裏を返せば苦しいときはチャンスであり、日本からの投資や技術移転への期待が強まり、ジャポネス・ガランチードでしっかり事業を行えばシェア獲得につながり、また今月8日に開催された第1回日伯農業・食料対話はブラジル側から大臣が参加して日本とのウイン-ウインの考えが芽生えてきており、ブラジル政府の我々への期待が高まってきていると感じており、官民一体で当たってゆきたいと説明した。

岡省一郎 企画戦略委員長は企画戦略委員会は官民合同会議のフォローアップ、機能強化委員会のWGとの連携以外にもブラジル政府とのタイアップが必須、また日本のライフラインのブラジルはテロや宗教、人種問題がなく、広大な国土で恵まれた肥沃な土地や温暖な気候など非常に恵まれた国である一方でインフラやブラジルコストなど課題大国で経済も停滞しているために、この官民合同会議で活発な意見交換をして改善に一歩でも前進したいと説明した。

村田俊典 機能強化委員長は平成26年度「新興国市場開拓等事業費補助金(ロビイング活動支援事業)」に係る補助事業者の採択結果が公布された事を受け、日本商工会議所(東京商工会議所)から天谷氏が派遣されてアドバイザーをしており、投資環境にかかわる問題解決・規制緩和に向けた課税ワーキンググルー プ(WG)並びに通関WG、労働WG、産業競争力WG、インフラWGを設立して積極的に取り組んでいることを説明した。

天谷浩之アドバイザーは10月から開始された5つのワーキンググルー プ(WG)には総数70人が参加して重要問題の選定に取り組んでおり、現場で困っていることがあれば商工会議所に連絡して一緒にビジネス障害を取り除きましょうと説明した。

課税ワーキンググループの篠原一宇グループ長は移転価格問題のOECDガイドラインの準拠、複雑な税制の簡素化、技術援助契約の見直し、コンサルタントのプロが参加しているCNIと提携して訴えていきたいと説明、通関WGの石嶋勇グループ長は煩雑な通関手続きの簡素化、税関検査の迅速化、中古品輸入手続きの簡素化、ICMSのフレキシブルな納税制度の導入、商船団維持費性の存在理由の明確化などについて説明、労働WGの松澤巧グループ長は労働法と憲法を変えるのは非常に困難であるが、インフレをベースにした賃上げ率が及ぼす企業経営への影響、能力給制度の導入、残業時間制限の弾力化、職業訓練制度の構築などを説明、産業競争力強化・中小企業育成WGの井上直副グループ長は産業競争力強化に向けた各種許認可の迅速化、ロイヤリティの緩和、国内調達義務を果たし得るサプライヤ―の育成、部品メーカー進行のための投資優遇措置の導入などについて説明、インフラWGの室澤智史グループ長は3小グループに分かれて輸送インフラのキャパシティの拡大、サントス港周辺の交通停滞の緩和、長期・安定的な電力供給の実現、PPP制度の改善、インフラ整備の促進に向けた長期金融市場の構築などについて説明した。

メディカル分科会の藤田誠分科会長はANVISAの査察に3年、商品登録に1年かかっており、非常に大きなビジネス障害となっていることからメディカル分科会を立ち上げた経緯を説明、またアベノミクス「三本の矢」の成長戦略として日本の医療関連分野の国際展開があり、日本政府は日本の優れた医療機器の海外への売り込みに力を入れる予定であり、日本の優れた医療機器の宣伝方法の模索中であり、今後のメディカル分科会はANVISAと定期的な実務会合の実現 、また企業の困っている点についての話し合いの場の実現 、ANVISA長官の訪日では日本並びに日本の品質の熟知や許認可審査期間の改善窓口となることなどを説明した。

アマゾナス日系商工会議所の山岸照明元会頭はマナウスフリーゾーン工業部門の日本進出企業の状況、日系企業の貢献度、マナウスフリーゾーンにおける日本の投資、マナウスフリーゾーンの次の50年への課題などを説明、南伯日本商工会議所の和田専務理事は南伯日本商工会議所の歴史、進出企業数は9社、現地日系企業は18社、ホンダはスマレー工場向けの風力発電の建設、毎月会合を行って日本企業の見学や情報を提供、また8月の日本祭りに参加することなどを説明、パラー日系商工会議所のフェルナンド・ヤマダ会頭はパラー州の面積、人口、気候、日系人は3万人、会員数は55社、パラー州の貿易統計、輸出品目、日本向け輸出産品、加盟企業リスト、トメアス法案などについて説明、パラナ日伯商工会議所の大城義明会頭は毎年、日本に企業ミッション団を派遣、日本から中小企業を誘致するために日本の地方都市を訪問、スマートシティプロジェクトを進展させる目的で日本の大学と交流して技術の導入を図り、また日本の病院と提携して医師の研修を予定、ロンドリーナでのメディカルセンター建設の構想などについて説明、リオ商工会議所の小林直樹会頭は会議所の沿革、日本人学校は1971年に設立され、生徒数は53人、ピーク時の1980年は406人まで増加したが、今では僅かに13人、現在の会員数は23社、課題として会員数の減少による財政の悪化、派遣教員の確保、文化の継承などを説明した。

福嶌教輝 総領事は今後3年間は飛躍のチャンスであり、2015年は日伯外交関係樹立120周年を迎えてねぶた祭りや花火大会があり、機能強化委員会設立はブラジルのためにメリットがあり、またジャパンハウスはサンパウロ、ロス、ロンドンで立ち上げられることなどを説明した。

昼食懇談会ではジャイカブラジル事務所の室澤智史所長は、ブラジルにおける実施中(予定)の主要なプロジェクトとして技術協力プロジェクト「統合自然災害地すく管理国家戦略強化プロジェクト」並びに技術協力プロジェクト「造船業及びオフショア開発人材育成プロジェクト」、技術協力プロジェクト「E-wasteリバースロジスティック改善プロジェクト」、技術協力プロジェクト「地域警察活動普及プロジェクト、円借款「ベレン都市圏観戦バスシステム事業」について説明、国際協力銀行JBICの安井豊首席駐在員は、地球環境保全業務の下でのブラジル国立経済社会開発銀行に対するクレジットラインの設定ブラジルのカリオカ油田向けプレソルト対応FPSO傭船事業に対するプロジェクトファイナンス、ブラジル国立経済社会開発銀行との間で業務協力のための覚書を締結、ヴァーレ社との業務協力のための覚書を締結について説明、ジェトロサンパウロ事務所の石田靖博所長は2015年1月13日に名古屋、1月14日から16日迄開催されるブラジル自動車部品バイヤー商談会について説明した。

在リオデジャネイロ総領事館の山元 毅 総領事はペトロブラス汚職事件のスキーム、概要、経緯、事件による影響などについて説明、在ベレン領事事務所の小林雅彦 所長はパラー州は豊富な鉱物資源、大型水力発電所の稼働、建設中のベロ・モンテ水力発電所、インフラ並びに人材不足、資金不足でポテンシャルが生かせていなく、サンタレンではカーギルが穀物ターミナルを建設中であり中西部地域の農産物輸出はマラニョン州イタキ港や北部の港湾からの輸出が期待されており、鉄道建設では日本に期待しており、アグロフォーレストではアサイ、カカオ、クプアスーを栽培、観光ではマラジョー島やサンタレンの開発が期待されていると説明、在レシーフェ領事事務所の関口ひとみ領事はペルナンブーコ州の人口、気候、在留邦人数、政治、経済、治安、世界中を驚かせたワールドカップの日本人応援団の清掃などについて説明、在ポルトアレグレ領事事務所の後藤猛事務所長は南大河州の人口は1,100万人、南大河州政府投資促進・開発局の活動、クラシキ並びにフジクラ、日本たばこ、大塚化学が生産工場を擁しており、三菱など5社が造船所に資本参加、三菱電機はエレベータを生産、ホンダは風力発電所を建設していることなどを説明した。

質疑応答では平田藤義事務局長は日本からの中小企業誘致にはビザフリーにしなければならないが、ビザ取得では中国・韓国に後塵を浴びており、鈴木英敬三重県知事のおかげで日伯のビザ要件緩和措置が実現、経済産業省のサポートで機能強化委員会を設立できたことにお礼を述べ、また11月25日に開催されたサンパウロ投資局(INVESTE SP)での意見交換会で、平田事務局長はブラジルには地域開発を目的に80年代央から輸出加工区を設け今日に至るが、あまり成功例を見た事が無く、これは同区がインフラが未整備でロジコストの掛かる地域に散在、ブラジルコストが改善されない限り、進出のメリットが無いために便利な国際空港周辺や港の近辺に電力、上下水道、通信などハード、ソフト全ての基本インフラを整備、企業設立に関する全ての許認可もワンストップサービスを提供、実験的な工業団地の整備を提案したことを説明した。

アマゾナス日系商工会議所の山岸照明 前会頭は地方にいると井の中の蛙になるために今後も官民合同会議に参加させてほしいと要請、パラナ日伯商工会議所)の大城義明会頭はパラナ州への日本企業への誘致、ビザの緩和、メディカルセンターの建設、草の根による医療機器の無償供与などについて説明、最後に梅田邦夫大使は官の力だけでは何もできないが、民間と力を合わせてオールジャパンでやっていきましょうと結んだ。

●外務省(2名)
高瀨 寧 中南米局長
服部大輔 南米課事務官
●大使館及び総領事館(14名)
(在ブラジル日本国大使館)
梅田邦夫 大使
小林和昭 参事官
木下義貴 書記官
伊藤 諭 書記官
(在クリチバ総領事館)
池田敏雄 総領事
(在サンパウロ総領事館)
福嶌教輝 総領事
坪井俊宣 領事
遠藤 諭 副領事
(在マナウス総領事館)
山﨑和夫総領事
(在リオデジャネイロ総領事館)
山元 毅 総領事
(在ベレン領事事務所)
小林雅彦 所長
(在レシフェ領事事務所)
関口ひとみ 所長
(在ポルトアレグレ領事事務所)
後藤 猛 所長
●政府系機関(5名)
(JICAブラジル事務所)
室澤智史 所長
遠藤浩昭 次長
(JETROサンパウロ)
石田靖博 所長
中野岳史 次長
(JBICリオデジャネイロ)
安井 豊 首席駐在員    
●アマゾナス日系商工会議所(1名)
山岸照明 前会頭(山岸コンサルタント)
●南伯日本商工会議所(1名)
和田好司 専務理事(さわやか商会)
●パラ-日系商工会議所(1名)
フェルナンド・テルオ・ヤマダ会頭(ヤマダ)
●パラナ日伯商工会議所)(2名)
オオシロ・ヨシアキ会頭
ヨシイ・アツシ副会頭
●ブラジル日本商工会議所(15名)
藤井晋介 会頭(ブラジル三井物産)
村田俊典 機能強化委員長(MUFG)
岡省一郎 企画戦略委員長(ブラジル住友商事)
篠原一宇 課税WG長(パナソニック)
石嶋勇 通関WG長(ヤクルト)
松澤巧 労働WG長(味の素)
井上直 競争力WG長(MUFG)
藤田誠 メディカル分科会長(テルモ)
村上廣高 副会頭(パナソニック)
近藤剛史 専任理事(トヨタ)
松永愛一郎 専任理事(三菱商事)
西井孝明 食品部会長(味の素)(参加せず)
平田藤義 会議所事務局長
大角総丙 会議所編集長
天谷浩之 会議所アドバイザー
吉田章則 会議所調査員
●リオデジャネイロ日本商工会議所(1名)
小林直樹 会頭(伯国三菱商事)
●日本商工会議所(2名)
赤木 剛 国際部長
橋爪孝徳 国際部副主査

 

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