6月の懇親昼食会は、2015年6月12日正午から午後2時までインターコンチネンタルホテルに180人が参加して開催、司会は平田藤義事務局長が務めた。
初めに村田俊典会頭より、現在行なわれている活動を広く知ってもらうことを目的に簡単に会議所活動内容を説明する時間を設け、4点のポイントを説明。一つ目に機能強化委員会より改名された政策対話委員会の活動について述べた。42項目にまとめられたAGIR提案書は優先順位をつけてからブラジル政府との政策対話に挑むことになり、5月18日に開催された賢人会議の場では、会頭自らAGIR活動について説明し、日本商工会議所の三村会頭からも励ましの声をもらったと語った。またWGの活動に興味があれば、今からの参加も可能だと会員に参加を呼びかけた。次に、日伯修好120周年記念行事への寄付に関して、目標金額達成までもう少しと会員に協力をお願いした。また、筑波大学との協定覚書を締結し、日伯の人材育成の活用に寄与することに関し、常任理事会でも議論されていることを説明、最後に、遠距離会員でも会議所の活動に参加できるように企画されたビデオコンファレンスについての説明が行なわれた。NTTの協力で金融部会が主催、これまでに4回約20社が参加してライブでのマーケット情報を届けるトライアルサービスが実施され、初めはテクニカルの課題も見られたが会合を重ねるたびに改善が見られ、来月の常任理事会で今後のプログラムの方向性が決まると語った。会頭挨拶を終え、本日の昼食会 兼 歓迎会の主役でもある次のスピーカー、中前隆博新総領事を紹介した。
中前隆博在サンパウロ日本国総領事/会議所名誉顧問は、メキシコ、アルゼンチンに滞在経験があり、一昨年9月からブラジル大使館で公使として務めてきたと述べた。ブラジリアでは現場に触れる機会が少なかったが、サンパウロでは日系企業や日系コロニアとの交流を深めるように努めていくと話した。日伯関係は、去年のワールドカップや安倍首相訪伯などで勢いがあり、今年は日伯修好120周年や在サンパウロ総領事館100周年など節目の年で、今年後半には、ジルマ大統領の訪日や皇族の訪伯等要人の往来も計画されていると説明。また、サンパウロにおけるジャパンハウスの設立にも力を注いでおり、日本を知らないブラジル人に向けに日本をきちんと知ってもらい、その精神や文化を知ってもらい信頼関係を築いていく場であると語った。このアイデアをいかに中身のある内容にするのかはチャレンジであるが、企業の皆様の知恵もかりながら、ジャパンハウスを一緒になって成功させたいと述べた。最後に、修好120周年記念行事の実行委員長である梅田大使より預かったメッセージを読み上げ、花火大会、JICAの展覧会、日本館改修事業の実現に向けた200万レアルの寄付までもう少しで、皆様の協力をお願いするとした。
そして食事に入る前に、平田事務局長は、この修好条約がなければ移民も始まらず我々もここにはいなかったと話した。修好120周年記念行事を是非成功させる為にも、また修好120周年の大切さと伝える為にも、是非従業員の皆さんに声をかけていただき、もう少しの寄付に協力してもらいたいと呼びかけた。
続いて定例行事移り、初めの連絡事項でメディカル分科会藤田誠委員長は、2013年10月に設立されたメディカル分科会の現在の取り組みについての説明を行なった。医療機器や医薬品企業が中心になり24社32名のメンバーで成り立ち、総領事館、JETRO、JICAにもオブザーバー参加をしてもらっており、医療関連企業が困っている点を取り上げ、カマラの組織として官民が一体となって問題解決に向けた活動を行なうことを目的としていると説明した。特にANVISAの審査登録に時間が掛かり日本医療の新しい技術が導入できないという問題等は、昨年8月の安倍首相の医療セミナーの参加や、ANVISA長官との会合などの活動を重ね、審査期間の短縮や法改正の進捗が見られると述べた。ブラジルは医師の技術は高いが、医療産業はまだまだ発展途上であり、ブラジル国民の健康への貢献していく活動していきたいと話した。
続いて3分間スピーチで、インターコンチネンタルホテルのレナト・オリべーラ氏は、同ホテルにおいて修好120周年記念の行事として、横浜の有名シェフに訪伯してもらい、日本食フェスティバルを企画していると発表した。
2つ目の3分間スピーチでは、レイコ・マツバラ・モレイラサンパウロ大学教授は、国際語としての「日本語」国際シンポジウムについての説明を行なった。シンポジウムは、中南米で開催される日本研究・日本語教育研究関連の国際会議では最大規模で、日本、アメリカ、メキシコ、ロシア等海外から発表者を奨励し、参加者は総勢200名を見込んでいると述べた。また、日本語を学ぶ日系人と非日系人の生徒数の推移をグラフにして、日系人が減り非日系人が増えてきている状況を説明、日本語が日本列島のみならず外国で話される国際語として認識してもらうためのシンポジウムだと語った。
最後にブラジル・ニッポン移住者協会小山昭郎会長は、「日伯・友情の森」・2015プロジェクトの説明を行なった。2008年に「100周年の森」プロジェクトで10万本の植樹事業同様、サンパウロ州政府やサンパウロ市と提携し、州立チエテ・エコロジー公園内に植樹をするプロジェクトで、今年は2万本の植樹を行う準備が開始されたと説明した。
着任挨拶でAJINOMOTO DO BRASIL INDÚSTRIA E COMÉRCIO DE ALIMENTOS LTDA.の藤江太郎社長が、今回初めてのブラジル赴任で伝統のあるカマラの一員になり嬉しく思うと語り、日本では人事・労務部を20年経験し、また海外は中国に7年とフィリピンに4年の駐在経験があると話した。代表者交代挨拶ではKURASHIKI DO BRASIL TÊXTIL LTDA.の上野秀雄社長が、ブラジルには15年前に4年間、今回の6年間とトータル10年勤務し、会議所の活動には4年間の理事職、その内企業経営委員会を2年、また総務委員長を2年勤めたと述べた。ブラジルと日本では距離はあるが、友情は近い国であるとし、今後の日系企業や日系団体の発展を祈願した。後任の青山高明社長は、岡山県出身で、5年間のインドネシア駐在経験はあるが、ブラジル赴任は初めてであると説明し、会員活動や皆様との交流を楽しみにしていると語った。
帰国挨拶で在サンパウロ日本国佐野浩明首席領事は、ジャパンハウスは7月末までに企画書を仕上げ、他国に比べてサンパウロがトップで走り続けられるように努めると述べた。MIMAKI BRASIL COMÉRCIO E IMPORTAÇÃO LTDA.の鳴神正氏は、1990年からトータルで17年勤務してきたブラジルについて、92年のハイパーインフレ、94年のレアルプランの時代の思い出を語り、帰国後は定年を迎え和歌山に帰る予定であると話した。NHKの中島昇氏も帰国挨拶を行い、マスコミ関係では異例の2年間サンパウロの勤務したことになった。ワールドカップでは、ブラジル全土を回り、日系社会とも溶け込めたことが思い出になり、帰国後は、ブラジルの日系企業そして日系社会を日本国民に知ってもらうよう努めると語った。
続いて特別行事として法律用語集の出版発表の場が設けられ、坂間カロリーナ氏と二宮正人氏は、120周年を記念して作成された法律用語集の出版発表を行なった。これは国と社会のリーダーシップを目指すPWCと、二宮正人弁護事務所の翻訳チームによる協力により、約1年かけての作業で完成され、作業に携わった愛知県弁護士会の大嶽弁護士は、日本の弁護士の立場で、また日本もブラジルも法律は常に変わっていく中、どのように言葉を選ぶかも注意しながら用語集を仕上げていったと述べた。
続く講演を始める前に講師歓迎の辞で栗田秀一メディカル分科会副部会長は、日本ではがんが死亡原因で一番多く、ブラジルでは心筋梗塞であるとしたうえで、サンタクルース病院の心臓内科医/技術部長である山野正一ジュリオ医師を紹介し、「急性心筋梗塞について~予防と死亡率の低減~」の講演が開始された。一般的に知られる心臓発作又は急性心筋梗塞は、心臓の血流の低下または中断が原因と考えられ、酸素および栄養素の欠乏による心筋の死につながると説明した。日本での急性心筋梗塞の発生率は低い一方でブラジルでは死亡原因のトップが心臓疾患で毎年約10万人の死亡原因になっていると述べた。男性の場合は45歳以上で、女性の場合は55歳以上でリスクが増加し、家族のメンバーによる病歴にも関わるとした。
ライフスタイルや食生活の改善や定期検査(人間ドック)を受けることでリスクを軽減して症状の出る前の早期診断を行なうのがベストの予防で、最も重要な典型的な症状は痛み、又は胸骨不快感であって多くの場合には圧迫、重み、胸焼けを感じ、首、あご、上肢、背中にも感じる場合があり、だいたい20分以上の症状が(痛み)持続することがあると説明した。吐き気、嘔吐、発汗、顔面蒼白を伴うこともあり、糖尿病、高齢患者及び女性の場合は非定型の痛みや不快感(異なる特性と強度)の症状が出ることがあると語った。最も簡単な検査でその場でわかる心電図の変化による診断ができるとし、心電図の変化についての画像による詳しい解説が行なわれた。
心筋梗塞の約50から60%の死亡は殆どの場合、最初の1時間おき(主に心室細動が原因)に心肺停止状態になり、その為、できるだけ早く病院到着前の救急車或いは救急バイクでかけつけ治療し始めるのが重要(ブラジルでは SAMU)で、心室除細動の場合病院及び救急車にある自動電気除細動器又はポータブルAutomatic Electric Defibrillator (AED)での治療(電気ショック)の説明も行われた。医師を必要とせず、訓練を受けた熟練者による使用可能できる治療方法として、ポータブル(AED)の映像による簡単な使用方法などが行なわれ、心停止の生存率が停止および電気的除細動の間の遅延で毎分 7〜10% 減少するため、早急に対応することが重要であるとの説明が行われた。また、人が集まる場所、銀行、学校、会議所などに設置してあることが多いと話した。講演を終え最後に、村田俊典会頭から記念プレートが贈呈された。
挨拶を行う中前 隆博 在サンパウロ日本国総領事
講演を行うサンタクルース病院の心臓内科医/技術部長 山野正一ジュリオ医師
記念プレートを贈呈する村田会頭
ブルーツリーホテル 青木氏と佐野 浩明 在サンパウロ総領事館首席領事
ブルーツリーホテル 青木氏、中前総領事、法律用語集出版を発表したPWC坂間カロリーナ氏、平田事務局長( fotos:: Rubens Ito/ CCIJB)