課税、通関、労働各ワーキングループ長が大使館担当官らと意見交換

政策対話委員会傘下の課税、通関、労働ワーキンググループ(WG)の各グループ長は2015年10月28日、ブラジリアの日本大使館を訪ね、各WGが策定したAGIRの内容を基に、進出日系企業が直面する投資環境上の問題を説明するとともに、官民合同でのブラジル政府との政策対話への取り組み方法につき意見交換を行った。会議所からは課税WGの篠原一宇グループ長(ブラジルパナソニック・副社長)、通関WGの石嶋勇グループ長(ブラジルヤクルト商工・総務取締役)、労働WGの松澤巧グループ長(ブラジル味の素・常務取締役)、事務局からは、天谷浩之アドバイザー、吉田章則調査員が出席、日本大使館からは星野芳隆公使(外務省)、小林和昭参事官(経済産業省)、廣瀬照隆一等書記官(総務省)、伊藤哲郎一等書記官(財務省)、伊藤諭二等書記官(財務省)、下司剛生二等書記官(経済産業省)に出席いただいた。

冒頭、天谷アドバイザーから本意見交換会の意義について、課税、通関、労働分野におけるAGIR項目は、進出日系企業のみならずブラジル産業界にも共通する大きな問題であるとして、それらの問題が経営に及ぼす影響を企業人自ら説明することで各担当官の理解が一層深まり、両機関の協力体制のさらなる強化に繋がるものと考え、本会合を設けていただいた旨の説明がなされた。

小林参事官からは、ワーキンググループ長自ら大使館まで足を運び、各分野におけるビジネス環境上の問題点について説明いただける本会合は非常に貴重な場であるとして、伺った内容を踏まえ大使館として今後、AGIR活動の一層の進捗に向けどのようなサポートが可能かを各担当官と共に引き続き考えていきたいと述べた。

篠原課税WG長からは、ブラジルで事業を行なう上で必ず直面する困難が課税問題であるとして、多岐に渡る税目やローカルコンテンツに係わる税制などが度々変更され、その対応に多くの時間と費用が掛けられている現状について実例をもとに説明が行なわれた。特に企業活動に大きなインパクトを与えている税制としてICMSを挙げ、企業誘致や貧困対策等の結果として生じている州間税率の違いを原因とするクレジットの累積、メーカー出荷時に流通の末端段階までのICMSをメーカーが一括納付する代行納税制度がキャッシュフローに及ぼす影響について説明を行なった。

松澤労働WG長は、会員企業の多くが相当件数の労働訴訟を抱えているとして、裁判によらない紛争解決手段として事前調停制度の機能強化を求めたいと説明、また、有期雇用制度や従業員の休暇取得制度が労働法創設以来変わらぬ硬直的なものになっているとして、現在の労働環境にそぐう、より柔軟な解釈と運用の必要性を要望していきたいと述べた。

石嶋通関WG長は、輸出入業者が通関のリードタイムが読めず、その対策として必要以上の在庫を抱え、これが保管コストの増加を招いていることを説明、検査官の増員や一日あたりの検査件数の設定を求めると共に、伯政府が昨年導入したAEO制度の実効性を高めるなどして通関の迅速化を図る必要性を強調した。

この後、こうした問題点の改善を伯政府へ働きかける方法について議論が行なわれ、今後半年以内に予定される諸会合(大統領の訪日、貿投委、APEC貿易大臣会合等)の機会を活用しながら、AGIR活動の重要性を繰り返し訴え、その実現に向けた政策対話への取り組みを求めていくこととし、そのためにも既に伯政府に提出したAGIR優先5項目についての進捗を図ることが重要である旨、意見が一致した。

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