労働WG主催のeSocial制度説明会開催

政策対話委員会(松永愛一郎委員長、ブラジル三菱商事)の労働WG(松澤グループ長、ブラジル味の素)は、2016年12月7日午後2時から4時30分までマクスードプラザにて、eSocial制度説明会を開催した。当日は、ブラジル労働省とブラジル全国工業連合(CNI)から講師を招き、120人以上が参加した盛大な説明会となった。

松澤グループ長は、労働WGでは企業が直面している労働の課題について議論し、その解決策を提言書としてまとめる作業を行なってきたと説明した。企業経営にインパクトを与えるeSocial制度については、何度も導入期限が延長されていたこともあり、AGIRの提言項目には入れていないが、WG内でも関心度が高く、議論を重ねてきたテーマであり、今回はeSocialをテーマに説明会を開催することで会員企業に必要情報が発信できれば幸いだとした。eSocialに関する政府関係者を直接招待することで、制度の現状と今後の計画について、身近な話が伺えるまたとない機会だとした。

最初にプレゼンを行なった労働省労働検査官であるジョゼ・マイア氏は、このプロジェクトは、政府の他機関、民間企業、そして労働者と多くの場所に、影響を与える大きなプロジェクトであるとし、eSocial制度を理解する上で重要なのは、この制度自体は、改めて新しい労働法が施行されたり、労働法改正を求める制度ではなく、既存の労働法に沿った企業経営をしているか管理するツールであると説明した。eSocialの最大の目的は、企業が、現在様々な政府機関に対し、同じ情報を違う書類で提出している作業を簡素化すること、タイムリーで統一されたデータ登録システムを導入することであるとした。企業として大切なことは、正しいデータを準備し、登録することで、コンプライアンスを守る企業の助けになるツールでもあると付け加えた。eSocialテスト期間は2017年7月に開始され、実際に導入義務となるのは、大企業で2018年1月からであり、その計画に向けブラジル政府は準備を進めていると説明した。

次にプレゼンを行なったCNIのマルセロ弁護士は、企業はeSocial導入に適応するよう、企業内の哲学やコンセプトを変えていく必要があるとした。CNIとしても簡素化、脱官僚制度は、常にブラジル政府に訴えてきていることであり、eSocialの導入を止めるべきではないが、政府の要求と実際の企業経営の現状とは、ギャップがあり、導入を進めていくのは慎重にしていく必要があるとした。不確定要素の多い労働法を守りながら企業経営を行なうことは容易でなく、企業内管理が厳しくなると考えていると説明した。ブラジルにおける労働コスト管理は、社会的義務、非稼働時間、恩典、付属的な義務など様々で、それらの全てのデータをタイムリーに登録する義務に対応するには、相当の企業努力が必要になるとしている。企業の経営に適合できるのかできないのか、やってみなければわからないが、ポジティブにもその反対にもなりうると述べた。

会場からは、間違えて登録した場合の対処方法、残業管理や残業支払い月の対応への対策、外国人労働者の登録や仕事を開始できるまでの他書類手続きへの対応状況、管理するのが難しいREP(労働時間管理システム)との適合性などの質問が出され、講師が一つ一つ丁寧に回答を行なっていった。質疑応答の中でも、ジョゼ・マイア講師は、労働省としては、税収を期待するより、労働者の権利や労働環境の監査の簡素化に繋がるシステムとして、コンプライアンスを守る企業に罰則する目的はなく、労働法に批准しているか等の監査するツールであると述べた。

東副グループ長は、閉会挨拶で、本日のような活発な議論になるセミナーは、大変嬉しく、ワーキンググループとして、今後もeSocialの進捗やセミナー開催などをして、会員の皆さんへの情報提供などを行なっていきたいと説明した。

Pdf「eSocial制度‐目的と課題、現状と今後の計画」

Pdf「労働関係における企業の課題とeSociaの果たす役割」

Takanori Azuma e Takumi Matsuzawa (subchefe e chefe do Grupo Trabalhista da Comissão de Relações Institucionais), José Maia (auditor-fiscal do Trabalho, da Secretaria de Inspeção do Trabalho, do Ministério do Trabalho e Emprego – MTE) e Marcello José Pinho Filho (advogado da Diretoria Jurídica da Confederação Nacional da Indústria – CNI) (Fotos: Rubens Ito / CCIJB)

José Maia (auditor-fiscal do Trabalho, da Secretaria de Inspeção do Trabalho, do Ministério do Trabalho e Emprego – MTE)

Marcello José Pinho Filho (advogado da Diretoria Jurídica da Confederação Nacional da Indústria – CNI)

RI / CCIJB 

 

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