日伯法律委員会( 藏掛忠明委員長)並びにコンサルタント部会( 西口阿弥部会長)共催による初めての日本語による2017年上期税制変更セミナーは、2017年7月4日午後1時50分から5時30分までマクソウドホテルに80人以上が参加して開催、西口阿弥部会長が進行役を務めた。
初めにEY社の林 裕孝 シニアマネージャーは、テーマ BEPS (税源浸食と利益移転) とは何か、在伯企業に与える実務影響について、グローバル企業によるクロス・ボーダー取引増加に伴う脱税による税収減や財政赤字防御に対して、OECD主導によるBEPS報告書の15アクションで特にブラジルの日本進出に影響あるアクションの説明、移転価格税制に関する新規情報提供、日本本社と連携した税務情報の収集と税務コスト/リスク管理、ブラジルにおけるBEPS影響、国別報告書開示事項などについて説明した。
DELOITTE TOUCHE TOHMATSUの池谷 裕一 シニアマネジャーは、ビジネス税務の主要ポイントについて、ビジネスマンが最低限知っておいてほしい情報提供として、61種類に及ぶ連邦税や州税、市税、OECD加盟国平均の12倍に相当する税務コスト、税収の10%に相当する政治汚職、税制改革の背景として徴税効率化以外にも税制のシンプル化による経済活性化による雇用創出、国民の生活向上を図る好循環化。税制改革や労働規制改革、年金改革の国会での主な討議内容などについて説明した。
KPMG日系企業総合窓口、GJP南米地域統括責任者の吉田 幸司 駐在パートナーは、“eSocial”について、連邦政府は“eSocial”及び“EFD-REINF”導入によるクロスチェックによる整合性、情報提供が年次から月次に変更 、SPEDプロジェクトの進捗状況、“eSocial”及び“EFD-REINF”の統合効果、DCTF WEBの目的や効果、“eSocial”及び“EFD-REINF”の適用時期や導入による影響、検討事項、導入事例、準拠できない場合のリスクなどについて説明した。
FATOR ASSESSORIA E CONSULTORIAのダグラス・マイア弁護士がポルトガル語で説明後に佐藤ジルセウ弁護士が日本語に翻訳、課税対象:消費から所得へと題して、経済的観点から見る税金および法律的観点から見る税金の相違、2015年7月開始の税制改革の推移、消費と所得対象課税の比較、課税対象別税収、国会で審議中の税制改革法案では、消費を対象とする税金(PIS, COFINS, ICMS e ISSQN)を減らし、代わりに2つの税金「IVA (付加価値税)とImposto Seletivo(選択税)」を設ける上、所得をベースとする税金(所得税)を増やすことなどの改革案について説明した。
PWCの矢萩信行 ディレクターは、送金時に関る税務事項について、サービス、ロイヤリティ及びソフトウエアの概念、ブラジル国内の各サービスに関する税金および納税者、税率、銀行への書類提出の有無、厳選税率の非課税/減税、関連会社間のコストシェア契約、配当や利子の送金の留意点などについて説明した。
質疑応答ではBEPS国別報告書提出、移転価格税制、OECDへの加盟、税制改革の遅れ、ビットコイン、ロイヤリティ送金などが話題となったが、大半の参加者からの日本語による税制セミナー開催継続の要望が強く、非常にわかりやすい税制変更、労働法改正、年金改革の解説や現状の説明に満足していた。
EY社の林 裕孝 シニアマネージャー テーマ BEPS (税源浸食と利益移転) とは何か、在伯企業に与える実務影響
DELOITTE TOUCHE TOHMATSUの池谷 裕一 シニアマネジャー ビジネス税務の主要ポイント
FATOR ASSESSORIA E CONSULTORIAのダグラス・マイア弁護士 佐藤ジルセウ弁護士 課税対象:消費から所得へ
Cláudio Yukio Yano (PwC), Aya Nishiguchi (EY), Koji Yoshida (KPMG), Hirotaka Hayashi (EY) e Yuichi Ikegaya (Deloitte Touche Tohmatsu) (Fotos: Rubens Ito / CCIJB)
Dirceu Sato e Douglas Leonardo Costa Maia (Fator Assessoria e Consultoria), Aya Nishiguchi (EY), Cláudio Yukio Yano e Nobuyuki Yahagi (PwC)