「中南米日系社会との連携調査団」一行は、2017年7月24日午前に商工会議所を訪問、ブラジル市場の概要ブリーフなどについて意見交換会を行った。
初めに開会挨拶では、国際協力機構(JICA)サンパウロ事務所の佐藤洋史次長は、今回の「中南米日系社会との連携調査団」は、ブラジルへはすでに4回派遣されており、今回はポルト・アレグレ市並びにロンドリーナ市、クリチーバ市、レシーフェ市などを視察してブラジル経済の実情をブリーフィングすると説明した。
在サンパウロ日本国総領事館経済班の藍原 健副領事は、昨日、連携調査団は移民資料館をすでに視察、2014年8月の安倍総理訪伯の際、両国首脳間において共同声明を発表、両首脳は両国が戦略的グローバルパートナーであることを再認識して更なる両国の関係強化を確認。日伯経済合同委員会や日伯貿易投資促進・産業協力合同委員会(貿投委)、「日伯農業・食料対話」開催、今年3月にブラジルと日本は特許審査ハイウェイ(Patent Prosecution Highway)の合意書署名などで進展しており、更なるビジネス環境整備に努めたいと述べた。
また国際協力機構(JICA)中南米部計画・移住課の松本仁氏は、「JICAの取組紹介」と題して、「中南米日系社会との連携調査団」のブラジルへの派遣は今回5回目であるが、中南米へはすでに7回派遣。JICAは無償・有償の資金協力支援、日系社会に対するボランティア協力、人材育成、日系社会のネットワークを活用した民間連携、ブラジル日系病院との連携による医療の取組などについて説明した。
平田藤義事務局長は、「商工会議所の活動、機能」について、商工会議所の沿革や役割、部会・委員会の役割、会員の推移及びドイツ会議所との比較、日伯両政府への提言事例として、社会統合基金/社会保険融資納付金(PIS/COFINS)の税率低減、移転価格税制の税率低減、社会保険料二重負担の是正、3年有効マルチビザ発給実現、医療機器販売に関わる審査の迅速化、輸出加工特区の改善提言について説明した。
ジェトロサンパウロ事務所の二宮次長は、ブラジルの基本情報として日系企業進出状況、ブラジルの地域別特徴、ブラジルのGDP構成要素、ブラジルの人口動態、ブラジルへの対内直接投資や貿易収支の推移、ブラジルコストで進出企業は苦労が絶えないが、長期視点に立って投資するとビジネスチャンスでの勝機はあり、またJICAやジェトロ、商工会議所が一体となって支援するので遠慮なく相談してくださいと説明した。
ジェトロサンパウロ事務所の大久保所長は、「ジェトロの取組、対ブラジル事業概要」と題して、中堅企業のブラジル進出をサポート、ジェトロの国内外の事務所ネットワークの活用、海外展開支援として「輸出大国コンシェルジュの活用」や「海外展開支援メニュー」では基本的な情報収集や実務知識習得のお手伝いなどについて説明した。
ブラジルダイソー社の大野恵介社長は、「ブラジル進出の体験談」と題して、2012年にサンパウロ市セントロ地区に1号店を開店、インターネットによる口コミ宣伝だけにも関わらず、開店時には300人以上の行列ができていて驚かされた。ダイソーの業態では輸入関連業務並びにテナント物件、人材確保が大きく業績を左右するが、治安問題や税務問題も避けて通れない頭痛の種と説明した。
輸入ライセンスのRadar取得には平均1年から2年を要するにも拘らず、1か月で取得できた経緯を説明。2300品目を取扱い、直営店16店舗、Hirota代理店舗として9店舗あるが、今年下半期には急テンポでの店舗拡大を予定しているが、人材が順調に育っているので拡大可能と見込んでいる。またダイソーの挑戦として店舗内装の変換。ダイソーの進化として徹底的な品質管理、ECビジネス開始、オリジナル商品の開発、従業員教育におけるスローガン「反省」や「挑戦」の普及など事業を軌道に乗せのための貴重な体験談を語って、参加者はその苦労に頷いていた。
質疑応答では、人材確保の重要性、煩雑な税務関係業務、システムの構築、人材募集や定着率、社員の引抜などが話題に挙がった。