5月下旬から開始した全国規模のトラック運転手の国道封鎖抗議デモは、10日間以上継続して穀物輸送は言うに及ばずあらゆる産業にダメージを与えており、過去20年近く放棄されている鉄道輸送網整備や投資見直しが急務となっている。
運輸省直轄の国家陸路輸送庁(ANTT)の統計では、ブラジル国内鉄道網の総延長距離は、2万8,218キロメートルに達しているにも関わらず、過去20年間近くに亘って鉄道網向けインフラ投資が等閑にされていた。
ブラジル国内鉄道網の総延長距離2万8,218キロメートルの31%に相当する8,600キロメートルは、保守がされずに放棄されており、また放棄されている8,600キロメートルのうち6,000キロメートルは、再生不可能となっている。
ブラジル国内鉄道網で利用されている2万キロメートルのうち半分の1万キロメートルは、穀倉地帯の中西部地域からの輸出向け穀物輸送並びに北部地域の鉄鉱石輸送が大半を占めている。
2001年までのブラジル国内の鉄道輸送の60%は鉄鉱石運搬用輸送であったが、現在は鉄鉱石輸出最大手ヴァーレ社が運営する北部地域のパラー州カラジャス鉄道並びに南東部地域のヴィトリア‐ミナス鉄道を中心に77%を占めている。
短距離輸送にはトラック輸送が優れている一方で、建設工事期間が長く膨大な投資を要する鉄道網整備向けのインフラ投資は、等閑にされてきた経緯があり、現在のブラジル国内の輸送の63%はトラック輸送が占め、鉄道輸送は21%、水上輸送は13%、航空機・パイプライン輸送は3.0%を占めている。
ヨーロッパ連合は、2011年に2050年までに輸送距離が300キロメートルを超える場合の輸送手段の50%は鉄道輸送にするために280億ユーロの投資を決定している。(2018年6月7日付けエスタード紙)