ブラジル国内のセメントメーカー大手Votorantim Cimentos社(VC)では、5月下旬から11日間継続した全国規模のトラック運転手の国道封鎖抗議デモの影響で、5月のセメント生産が大幅に落ち込んでいた。
セメント輸送の96%がトラック輸送のために、5月下旬から11日間継続した全国規模のトラック運転手の国道封鎖抗議デモの影響は、5月のセメント販売の20%減少に繋がったとVC社のWalter Dissinger社長は説明している。
VC社はブラジル国内に27カ所のセメント生産工場を要しているにも関わらず、僅か3カ所のセメント生産工場がトラック運転手の国道封鎖抗議デモの影響を受けなかった。
またセメント生産コストとして電力エネルギーに次いでコストの高い石油コークスがトラック運転手の国道封鎖抗議デモの影響で入手困難となり、またドル高の影響で、コークスの国際コモディティ価格も過去1カ月間弱で10%値上がりしている。
現在の1トン当たりの石油コークスは80ドルまで上昇しており、2~3年前の平均価格45ドルの2倍近くに達し、セメントメーカーにとっては電力エネルギーコストと共に生産コストを圧迫、またトラック輸送費の改定はさらに収益を圧迫するために、セメント価格の価格転嫁を免れないと予想されている。
今年初めの今年のセメント生産は、前年比1.0%~2.0%増加の5,360万トンが予想されていたが、トラック輸送費値上げ並びにコークス価格上昇で前年比では、マイナスに落ち込む可能性を13セメントメーカーが加盟する全国セメント工業組合(SNIC)のパウロ・カミーロ・ペーナ会長は否定していない。
今年初め5か月間の国内のセメント販売は、前年同期比4.5%減少の2,040万トンに留まっていたが、5月からの販売増加を見込んでいた時にトラック運転手の国道封鎖抗議デモが発生した。
今年5月のセメント販売は前年同月比20.3%減少の360万トン、トラックによるセメント輸送コストは、輸送距離に比例して最終製品価格の20%~40%を占めていたが、今回のトラック輸送費の料金改正で輸送コストは30%~60%に上昇すると危惧されている。
ブラジル国内のセメントメーカーの生産能力は最大で年間1億トンに達するものの、現在の設備稼働率は48.0%と今年初めの予想である44.0%~45.0%をわずかに上回っている。(2018年6月12日付けヴァロール紙)