過去数年間に亘って世界の航空機業界再編に伴って大型M&Aが相次いでいるが、昨年末から9カ月間にわたって交渉していたブラジル資本エンブラエル社と米国資本ボーイング社は、ジョイントベンチャー企業設立で合意した。
昨日エンブラエル社とボーイング社は、戦略的パートナーシップ構築を念頭にブラジル国内に商用機製造を目的とした資本金が48億ドルのジョイントベンチャー企業設立を発表、出資比率はボーイング社が80%、エンブラエル社は僅か20%となっている。
両社は今後数カ月間にわたって、ジョイントベンチャー企業の戦略的パートナーシップの財務とオペレーション部門での詳細を詰め、正式契約にむけて交渉を進める。
この契約を履行するためには、取引に関して株主とブラジル政府を含む規制当局からの承認を得る必要があり、順調に承認を獲得できた場合でも2019年末までかかると予想されている。
昨年末に航空業界でエンブラエル社とボーイング社の共同開発企業設立発覚から先週までのエンブラエル社の株価は64%上昇していたが、ボーイング社による実質的なエンブラエル社の商用機部門吸収で、エンブラエル社の株価は、14%下落して30億レアルの時価総額減少となっている。
当初ボーイング社では、エンブラエル社の商用機部門並びに軍用機部門、エグゼクティブジェット機を含む100%の完全買収で、連邦政府が所有する経営議決権のゴールデンシェア獲得を目論んでいた。
2017年のエンブラエル社の軍用機並びにシュエ規律の低いエグゼクティブジェット機部門の決算は、3億5,000万レアルの赤字を計上していた。またエンブラエル社は、今後10年間に資本参加する20%の株式売買の可能となっている。
今回のエンブラエル社とボーイング社の共同開発企業設立は、座席数が150席までの商用機分野のマーケットシェア争いで、昨年10月のフランス資本エアバス社によるカナダ資本ボンバルデア社への50%以上の出資に対抗する。
また設立されるジョイントベンチャー企業のボーイング社の持ち株比率は80%、残りの20%がエンブラエルとなり、ボーイングと合弁会社は、70席から450席以上までの民間旅客機と貨物機を世界の商用機市場に供給可能となる。
2017年のボーイング社の航空機販売は763機、売上は934億ドル、前記同様にエアバスは718機、822億ドル、ボンバルデア社213機、162億ドル、エンブラエル社は210機、54億ドルとなっている。(2018年7月6日付けエスタード紙)