トランプ大統領が中国に対し知的財産侵害により制裁関税を課す方針を発表。それに対して中国も報復関税を課す方針を示して、両国の全面的な貿易戦争に突入するリスクが高まっている。特に米国からの主要輸出品のひとつである大豆が中国側の報復関税のリストに加えられている。
中国が米国に対して輸入関税をかける商品の中で、対米輸入品の中で年間130億ドルに達する大豆が含まれている。中国向け大豆輸出は、ブラジルと米国の二国で世界大豆輸出の85%以上を占め、中国の輸入は世界貿易全体の60%以上を占めている。
ブラジルの大豆生産者にとって、米中貿易戦争は米国に替わって年間3,500万トンの中国向け輸出増加に繋がる漁夫の利を得るまたとないチャンスとなっている。
しかし5月下旬から11日間継続したトラック運転手の国道封鎖抗議デモ終息のために、テメル大統領は暫定令でトラック運賃値上げを余儀なくされたために、大豆輸送に対する輸送コストは25%~40%上昇すると予想されている。
トラック運転手の国道封鎖抗議デモの影響で大豆の在庫は2,000万トンに達しているが、ストがなければすでに中国向けに1,200万トンを輸出していたと大豆・トウモロコシ生産者協会(Aprasoja)のBrartolomeu Braz Pereira会長はコメントしている。
また米中貿易戦争で中国が25%の輸入関税をかけたため米国産大豆の在庫が増加して、シカゴの穀物取引所では、大豆価格が下落してきているとPereira会長は説明している。
米国から中国向けの大豆輸出3,500万トンをブラジルが担うためには、大豆栽培面積拡大に2年間を要するとPereira会長は説明している。今年のブラジルの大豆生産は1億1,800万トン、そのうち中国向け輸出は5,900万トンを見込んでいる。(2018年7月13日付けエスタード紙)