ブラジル地理統計院(IBGE)の月間小売調査(PMC)によると、2018年5月の自動車や建材を含まない一般小売販売は、5月下旬から11日間継続したトラック運転手の国道封鎖抗議デモの影響で前月比マイナス0.6%を記録している。
また5月の自動車や建材を含む広範囲小売販売は、トラック運転手抗議デモの影響で、自動車部品サプライヤーからの部品供給が滞ったために前月比マイナス4.9%と大幅な減少を記録、予想のマイナス3.1%を下回った。
今年6月の一般小売販売は、トラック運転手抗議デモによる物流問題に加えて、サッカーのワールドカップ開催、インフレ指数の上昇、電力エネルギー値上げなどの要因で、5月よりもマイナス1.3%の販売不振に陥る可能性がある一方で、広範囲小売販売は、自動車販売の回復で1.1%~3.0%改善すると金融市場アナリストは予想している。
IBGEの発表によると、5月の一般小売販売の調査対象の10部門のうち8部門の小売販売は前月比でマイナスを記録、特に自動車部門はマイナス14.6%を記録した一方で、スーパーマーケットの小売販売は0.6%増加している。
5月のスーパーマーケットの小売販売が0.6%増加した要因として、トラック運転手抗議デモによる物流問題発生による生鮮食料品の売上減少の一方で、一般消費者にとって買い置きができる加工食品の販売がカバーしている。
トラック運転手抗議デモによる物流問題発生の影響で、6月のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は、前月の0.4%から1.26%と急上昇、特に食料品価格は2.03%高騰してIPCA指数を押し上げている。
今年5月のセクター別小売販売では、スーパーマーケットセクターは前月比0.6%増加、日用雑貨・装身具類セクターは同率、医薬品・香水・医療機器セクターはマイナス2.4%、家具・家電セクターはマイナス2.7%、繊維・衣料・履物セクターはマイナス3.2%、情報機器・事務機器・通信機器セクターはマイナス4.2%、建材セクターはマイナス4.3%、燃料・潤滑油セクターはマイナス6.1%、書籍類・印刷物・製本セクターはマイナス6.7%、自動車・部品セクターはマイナス14.6%を記録している。
コンサルタント会社Pezco社では、今年第2四半期の一般小売販売は、前四半期比マイナス1.2%、広範囲小売販売は同率をそれぞれ予想。前記同様にイタウー銀行ではマイナス0.8%、1.1%増加。A MCM社はマイナス0.2%、2.7%増加を予想している。
今年初め5か月間の広範囲小売販売は前年同期比6.3%増加したが、5月下旬から11日間継続したトラック運転手の国道封鎖抗議デモによる小売販売は、74億レアルの売上減少に繋がったと全国商業財・サービス・観光・商業連合(CNC)エコノミストのファビオ・ベンテス氏は指摘している。
また今年の一般小売販売は、回復が大幅に遅れている失業率、ドル高の為替、トラック運転手の国道封鎖抗議デモ並びに不透明な10月の大統領選挙による一般消費者や企業経営者の景況感悪化などの要因で4.8%増加、今年の広範囲小売販売を5.0%増加にCNCでは下方修正している。
コンサルタント会社Tendencias社では、トラック運転手抗議デモ並びに失業率の回復の遅れで、今年の一般小売販売を前回予想の3.2%から2.5%増加に下方修正。Pezco社では、今年の一般小売販売を前回予想の4.0%から2.5%増加、広範囲小売販売は8.2%から6.7%増加に下方修正している。(2018年7月13日付けヴァロール紙)