ブラジル機械・装置工業会(Abimaq)のブラジルコスト調査によると、ブラジル国内で生産される工業製品は、コストブラジルの影響で米国やドイツ製工業製品よりも30%も価格競争力が減殺されている。
Abimaq工業会による前回2010年並びに2013年の世界の工業製品製造コスト調査では、欧米の先進諸国よりもブラジルの工業製品の製造コストはブラジルコストがネックとなって37%も高かった。
しかし最近のレアル通貨に対するドル高の為替や2016年10月の政策誘導金利(Selic)14.25%から連続12回に亘って切り下げられて6.5%まで減少しているSelic金利にも関わらず、ブラジル製工業製品の価格競争力上昇に反映されていないとジョアン・カルロス・マルケザン会長は説明している。
ブラジル国内の工業製品生産に対するコストブラジルとして、運転資金向け銀行の高金利は全体の10.7%を占めてブラジルコストの最大の比重を占めており、消費財購入価格は7.6%、工業製品生産に対する還付されない課税は4.0%、ロジスティックコストは3.7%、社会関連並びに労働法関連課税は2.2%、ブロクラシー・投資コスト・電力エネルギーは1.8%を占めている。
南半球で唯一冷凍機並びにコンプレッサーを生産しているドイツ資本Bitzer社は、2000年初めに製品の35%を米国並びにヨーロッパ向けに輸出していたが、今では価格競争力の低下に伴ってアルゼンチンなど周辺国向けに15%の輸出比率まで減少している。
10年前の機械・装置部門が占める鉱工業部門のGDP比率は17.0%であったが、現在はGDP比12.0%まで減少、また前記同様に投資比率は18.0%から15.6%に減少、2008年の業界の雇用総数は35万人、今年5月には29万4600人まで減少、ピーク時の2013年は38万人に達していた。
ブラジル機械・装置工業会では、10月の大統領選挙を控えて22ページに及ぶブラジルの製造業再生のための構造改革や工業政策導入などの嘆願書作成を準備している。
1990年代のブラジルの鉱工業生産は世界の3.43%を占めていたが、過去2年間で0.34%減少して2017年には1.98%まで減少、10位のインドネシアの1.84%を辛うじて上回って世界9位まで減少している。
2015年のブラジルの工業製品輸出比率は世界の0.59%、2016年は0.61%と僅かに増加したにも関わらず、1980年代は1.0%以上を占めていた。メキシコは2.61%で大幅にブラジルを上回っている。
ブラジル工業製品の価格競争力強化には、早急な脆弱なインフラ整備部門への投資、税制改革、インダストリー4.0などの工業政策導入が不可欠であるとブラジル全国工業連盟(CNI)競争力調査担当のレナート・ダ・フォンセッカ マネージャーは説明している。(2018年7月31日付けエスタード紙)