ブラジル・金融マーケット業者協会(Anbima)によると、2018年上半期のブラジル国内のM&Aオペレーション総額は、840億レアルに達し2010年以降では最高記録となっている。
しかし今年上半期のM&A件数は、前年同期比38.5%と大幅に減少しているにも関わらず、M&Aオペレーション総額は、前年同期の543億レアルを約300億レアル上回っている。
今年上半期のM&A 案件の中には、2008年以降でM&A 案件として最高金額となるFeffer一族が所有するブラジル製紙業界2位のSuzano Papel社が、業界トップのFibria社を477億レアルで買収した案件が含まれている。
今年上半期のM&A件数が前年同期比38.5%と大幅に減少した要因として、不透明な大統領選挙並びにレアル通貨に対するドル高の為替の影響で、国内外の投資家の投資意欲削減で投資決定を先送りしているとMattos Filho弁護士事務所のジョアン・リカルド・デ・アゼヴェード氏は説明している。
昨年上半期のプライベート・エクイティによるM&Aによる新規投資は45億レアルに対して、投資解約は僅か2億レアルであったが、今年上半期のプライベート・エクイティによるM&A投資は17億レアル、投資解約は5件で63億レアルに達しているとブラジル・金融マーケット業者協会(Anbima)は発表している。
今年上半期のプライベート・エクイティによるM&A投資解約には、民間大学教育リーダー企業のKroton社は、55億レアルでプライベート・エクイティTarpon Gestora de Recursosグループ傘下Somos Educaçãoを買収した案件が含まれている。
BTG Pactual銀行のダニエル・アンジェル氏は、今年下半期のM&Aは10月の大統領選挙後に活発になると予想、特にインフラ整備部門並びに電力エネルギー部門でのM&A案件増加を予想している。
Mattos Filho弁護士事務所のアゼヴェード氏は、インフラ整備部門並びに電力エネルギー部門以外にも医療保健部門並びに保険部門、教育部門、不動産部門でのM&Aの増加を予想している。
今年上半期のM&A案件の69.7%はブラジル企業による企業買収で、オペレーション総額は586億レアル、一方外資系企業によるオペレーション総額は、22.8%に相当する192億レアルと前年同期の47%から50%以上減少している。
今後のM&A案件はレアル通貨に対するドル為替変動で、為替リスクの低いブラジル企業による小規模のM&A案件増加をBTG Pactual銀行のダニエル・アンジェル氏は予想している。
今年上半期のM&A案件のうち1億レアル~4億9,900万レアルは全体の25.6%を占めたが、10億レアル~49億レアルまでのM&A案件は、昨年同期の17.1%から20.9%に増加している。
前記同様に50億レアル~99億レアルまでのM&A案件は、昨年同期の2.9%から4.7%に増加、100億レアル以上のM&A案件は、昨年同期の0%から2.3%に増加した一方で、2,000万レアル~9,900万レアルまでの小型M&A案件は、昨年同期の20%から23.3%に増加している。
2014年上半期のM&A案件は62件、M&Aオペレーション総額は700億レアル、前記同様に2015年は50件、250億レアル、2016年59件、615億レアル、2017年70件、543億レアル、2018年上半期は43件、840億レアルとなっている。(2018年9月13日付けヴァロール紙)