9月14日、ブラジル商工開発省のイゴール・カルべット産業開発競争力局長他、ブラジル産業開発庁(ABDI)の関係者、ネイ・フトゥロ・ビテンクール在名古屋ブラジル総領事、平田事務局長が今ブラジルにおいて次世代車種の一つとして注目を集めているプリウスの組立現場を見学した。
午前10時に名古屋駅前を出発、11時からトヨタ会館を見学。会館には水素を燃料に走行中CO2を排出しない燃料電池を使ったミライ車、プラグイン・ハイブリッド車(PHV)やハイブリッド車(HV)等々、環境負荷がゼロに近い究極の次世代車が展示されている。同会館のフロア・マップは「環境と感動」、「安全と自由」、「生産と創造」、「企業と社会」、「クルマ教室」等々で構成され、小学生から一般市民に至るまで広く開放され、多くの見学客で賑わっている。
一行は会館見学後、昼食を挟みブラジル・トヨタが既に輸入販売、現時点では特にタクシーとして又中・高所得者層に普及途上にあるプリウス車に関する燃費性能や技術的な特徴等について懇談を行った。その後、車で約1時間の距離にある敷地面積11万4千平方メートルの堤工場を訪問、HVプリウスの組み立てラインを見学した。従業員数6000名下で年間37万台が生産され、海外で同機種を生産するマザー工場としての役割を担っている。
トヨタ生産方式(TPS)の神髄とも云うべきか『亻』が付く「自働化」が徹底されている事に驚いた。人間と機械が調和を保ちながら淀むことなく車が形を変えて流れて行く。工程の随所には『あんどん』や『カラクリ』が巧妙に組み込まれているからだ。昨年12月、平田事務局長はMDICによる自動車政策ROTA2030が発表される前に、ブラジル農牧調査研究公社(EMBRAPA)と同公社が持つ世界最先端のバイオ・テクノロジーを活用、エタノールから水素を廉価に製造、燃料電池自動車(FCV)化政策について話した事がある。また過渡期として今のHVに使われているガソリンを、ただ単にエタノールに代替するだけでも環境負荷がゼロにならないか、と云う素朴な問題意識が今回の工場見学の背景にあった。
(foto: Washington Costa/MDIC)