米国は履物輸入税緩和でブラジル製履物輸出に追い風

10月13日から「Miscellaneous Tariff Bill (MTB) Act of 2018」による米国向けの貿易関税法案施行を前に、2週間前にホワイトハウスでは、米国向けブラジル製履物を含む1,600品目の免税・関税引き下げを発表していた。

一方トランプ米政権は、今月17日に米通商法301条に沿って、中国による知的財産権侵害に対抗した制裁関税の第3弾を今月24日に発動すると発表。中国からの輸入品5745品目、2,000億ドル相当に10%の追加関税を課すが、中国政府の強い反発は避けられず、米中貿易戦争の激化が予想されている。

10月13日から施行予定の「Miscellaneous Tariff Bill (MTB) Act of 2018」法令の有効期限は、2020年12月31日迄。輸入関税の引き下げ対象は40品目の履物で人工革、皮革、布製、安全靴も対象。現在の輸入履物の関税率は6.0%~37.5%となっている。

米国向け履物の60%が免税対象、残りの40%は減税対象になり、現在のドル高の為替も追い風となって価格競争力が上昇するとブラジル履物工業会(ABICALÇADOS)市場調査担当のPriscila Linckコーディネーターは歓迎している。

2008年から米国市場に参入しているRadames Soulmade Shoes社では、ブラジル製履物の輸入関税引下で、今年の米国向け履物輸出は前年比15.0%増加の2万5,000足に達すると同社輸出担当のマウリシオ・アヴィラ部長は楽観的な予想している。

KIDY CALÇADOS INFANTIS社では1日当たり2万足の履物を生産、サウジアラビアや米国向けに15%を輸出しているが、米国向け輸入関税引下で価格競争力の上昇に伴って米国向け輸出拡大を見込んでいる。

過去2年間にブラジルの履物製品は、米国市場で中国の台頭とともにマーケットシェアを落としている。2017年の米国の履物輸入は23億8,000万足、中国のマーケットシェアは71%、輸入金額は251億4,000万ドル、そのうち中国は59%を占めている。

昨年ブラジルの米国向け履物輸出は1,200万足、輸出金額は2億400万ドルであったが、米中貿易戦争の激化に伴って、ブラジルは米国向け履物輸出で漁夫の利を得ると予想されている。

今年初め8か月間の米国向けブラジル製履物輸出は、前年同期比11.6%減少の600万足、輸出金額は19.5%減少の1億30万ドルに留まっており、特に皮革製履物輸出の減少が顕著となっている。

また今年初め8か月間のブラジル製履物輸出は、レアル通貨に対するドル高にも関わらず、前年同期比10.2%減少の6,900万足、輸出金額は10.3%減少の6億2,830万ドルに留まっている。(2018年9月26日付けヴァロール紙)

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