今年上半期のブラジルへの直接投資は不透明な大統領選挙で22%減少

国連貿易開発会議(UNCTAD)の発表によると、2018年上半期の世界の海外直接投資(FDI)は、前年同期比41%減の4,700億ドル、2005年以降では最低水準を記録。

今年上半期のブラジルへの対内直接投資は、有力な大統領候補が見当たらず、混戦が予想されていたため前年同期の324億ドルから22%減少の255億ドルまで減少している。

今年上半期のブラジルへの対内直接投資255億ドルは、昨年同期の世界ランク7位から9位に後退したものの、昨年1年間のブラジルへの直接投資は、2016年の7位から米国並びに中国、香港に次いで4位に上昇していた。

今年上半期の世界の直接投資総額は、前年同期の7,940億ドルから41%減少の4,700億ドルに縮小した要因として、ドナルド・トランプ米大統領の税制改革の影響で、米国企業が海外子会社から大量の資金を本国に送金したことが主因となっているとUNCTADの投資担当責任者のジェームズ・ザーン氏は指摘している。

また今年初め6カ月間のブラジルへの投資が69億ドル縮小した要因として不透明な大統領選挙に対して、海外投資家が慎重になって次期大統領が決まるまで投資を控えているとザーン氏は説明している。

今年上半期の国際コモディティ価格は高値で推移しているにも関わらず、大統領選挙を控えている国が多く、今年上半期のメキシコ向け直接投資は6.0%減少、中近東での軋轢を抱えているロシアは19.0%減少している。

一方今年上半期のインドへの直接投資は12%増加、中国は米国との貿易摩擦を抱えているにも関わらず、米国企業を中心に6.0%増加している。今年上半期は米企業が外国への投資を縮小したためにヨーロッパ向けは93%減少している。

トランプ米政権は9月30日、北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉でカナダと合意。カナダは乳製品市場の一部開放や自動車の対米輸出に事実上の制限を設けることで合意した。

カナダよりも先に妥結したメキシコを含む3カ国協定の枠組みは維持されるが、メキシコは自動車の競争力で優位性を失う可能性があり、海外投資家の直接投資減少の可能性が否定できない。

今年上半期の世界の対内直接投資ランクでは、中国向け直接投資総額は前年の2位から702億ドルでトップ、続いて英国は655億ドルで前年の16位から2位に急上昇した一方で、米国は465億ドルで前年の1位から3位にランクを下げている。

オランダは448億ドルで7位から4位、オーストラリアは361億ドルで9位から5位、シンガポールは347億ドルで8位から6位、スペインは298億ドルで30位から8位に急上昇、ブラジルは255億ドルで6位から9位、インドは216億ドルで10位を維持している。

また今年上半期の対内直接投資総額が大幅に減少したのは、ヨーロッパで93%減少に相当する2,060億ドル減少、北米は65%減少に相当する1,150億ドル減少、アジア・オセアニアの発展途上国は4.0%減少に相当する90億ドル減少、発展途上国は18%減少に相当する60億ドル減少、ラテンアメリカ・カリブ地域は6.0%減少に相当する50億ドル減少、アフリカ諸国向けは3.0%減少に相当する10億ドル減少している。(2018年10月16日付けヴァロール紙)

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