石田直裕 特命全権大使が参加してパラグアイセミナー開催

パラグアイ商工省並びに在パラグアイ日本国大使館、ブラジル日本商工会議所、ジェトロサンパウロ事務所共催によるパラグアイセミナーは、2018年10月16日午後4時から6時過ぎまで商工会議所第大会議室に会場一杯の50人以上が参加して開催、初めにジェトロサンパウロ事務所の大久保敦所長が開催挨拶で、パラグアイはメルコスースール加盟国で、ブラジルやアルゼンチンを中心としたメルコスール域内向けの生産・輸出基地として注目を集め、安価な人件費や電力に加えて、保税制度「マキラ制度」、優遇されたメルコスール原産地比率、低い税率などのメリットを活用し、パラグアイに進出する企業が増加。今年8月15日に与党コロラド党のマリオ・アブド・ベニテス氏が大統領に就任、新政権が誕生。オラシオ・カルテス前大統領の開放的な政策を引き継ぎ、官民連携による公共インフラの改善、更なる製造業の企業誘致による雇用拡大などを公約に掲げている。セミナーではペドロ・マンクエーリョ商工副大臣が講演、さらには今年度より新たにパラグアイに設置した、ジェトロ中小企業海外展開現地支援プラットフォーム現地コーディネーターの石田弁護士が同国の投資優遇制度等を紹介。セミナー後には、パラグアイ政府関係者との面談を希望する企業様向けのラウンドテーブルを予定していると説明した。

また平田藤義事務局長は開催挨拶で、2015年に大久保所長とパラグアイを訪問。その時の印象はパラグアイのイメージ刷新を痛感。当時のパラグアイ投資回収率(ROI)が22%であり、またその際、レイテ大臣よりパラグアイでは会社を設立するにも、環境ライセンスを所得するにも30日で完了、どんな外貨でも15分で口座が開けられると説明。ブラジル企業のマキナ進出は全体の80%を占め、今では102社が進出しており、11月のパラグアイミッションへの参加を是非検討してほしいと説明した。

初めにペドロ・マンクエーリョ商工副大臣は、「パラグアイの魅力と新政権が目指す投資誘致の取り組み」と題して、パラグアイ政府の主なスローガンとして、司法改革並びにマフィアや麻薬対策強化、社会保護システム強化、為替安定政策、教育改革、情勢の社会進出を挙げた。また商工省のスローガンとして、ビジネス環境整備による進出企業の競争力強化、大企業の投資誘致、中小企業の競争力強化、知識創出型、クリエーティブ産業の育成、アップダウン方式による行政横断による近代化。パラグアイとブラジルの過去5年間の貿易収支の推移、ブラジルからの輸入産品として農業国パラグアイ向け化学肥料、自動車、燃料、トラック、ブラジル向け輸出では、日系進出企業の貢献による自動車関連ケーブルが輸出のトップでずば抜けた貢献度、米、牛肉、大豆、トウモロコシを挙げた。

パラグアイのブラジル進出企業として衣類、履物、自動車パーツ、家電。競争力比較では熟練工の賃金はマイナス53.2%、製造オペレーターの賃金はマイナス29.3%、平均サラリーはマイナス20.7%、電力料金はマイナス63.6%、所得税もマイナス60%。ビジネス環境指数はラテンアメリカではコロンビアに次いで2位。また安定したパラグアイ通貨グアラニー、過去10年間の平均GDP伸び率は4.4%、今年は4.4%、来年は4.0%以上が予想されている。

パラグアイの成長ポテンシャルとして、3倍近い引上げが可能な農畜産生産、コストの安い水上輸送、世界4位の大豆派生品輸出、比類ない格安の電力エネルギー料金、世界8位の牛肉輸出、若年層の多い人口ピラミッド型、輸出を前提とした製造において、部品などの輸出を無関税とするマキラ制度と10%の付加価値税支払いで国内販売可能、マキラ制度適用企業は過去5年間で約200%増加の173企業、内訳として自動車パーツ企業は50%、繊維・衣類23.5%、プラスティック派生品10.9%、皮製品4.1%、医薬品3.8%などについて説明した。

駐パラグアイ日本国大使館の石田直裕 特命全権大使は、「パラグアイの最近の経済情勢-経済成長を続けるパラグアイにおける投資優位性」について、初めにパラグアイ人は、日本人以上に真面目で謙虚な人が多いと説明、パラグアイは南米対立の中心に位置してブラジル、アルゼンチン、ボリビアと国境を接しており、総人口2.9億人を抱えるメルコスールの加盟国。農業国パラグアイの第一次産業はGDPの20.7%、製造業や建築関連の第2次産業は19.4%でパラグアイ政府はこの産業の拡大のためにマキラ制度をとした製造業の誘致を行っている。

輸出品目トップで全体の33%を占める大豆生産は日本人移民に生産開始して同国への貢献度が高く、また日本人の農業移民に対する評価が高い。2019年は両国の外交樹立100周年で農業分野や商業・金融業界における日系人の活躍は特筆される。パラグアイ国内に日本語学校は10校で高レベルの日本語教育を実施、生徒数は800人を上回る。 2015年までの日本の有償資金協力は1500億円、無償資金協力は360億円、技術協力は880億円、青年海外協力隊員は1800人で南米1位。DAC諸国2国間援助で日本は常に米国とトップ争いを演じている。

2013年のカルテス政権以降、安定した政治状況、と開放経済推進、労働争議が皆無、サンパウロと二ケタ違う体感治安の良さは、先進国内であると説明。 また安定したマクロ経済として4.5%以下で推移しているインフレ指数、低い変動率で安定している対ドル為替相場、南米では優れた国債格付け、禁止されているGDP1.5%以上の財政支出による健全な財政状況、安くて豊富な電力コスト、安い人件費、豊富な若年層人口、マキラ制度や税優遇制度について説明、パラグアイ進出はパラグアイ並びにブラジル、日本にとって三方一両得と説明した。          

最後にジェトロ中小企業海外展開現地支援プラットフォームの石田ミゲル コーディネーター は、「パラグアイの優遇制度活用法」と題して、パラグアイ政府は海外からの投資を促進するために、投資優遇制度を導入、インセンチブは税金の免税・削減に限定されており、電気料金補助や設備などには適用されない。一番利用されているのはマキラ法と投資法であり、マキラ制度は輸出強化目的であり、生産の90%以上が輸出であれば妥当であるが、もしパラグアイ国内販売が目的であれば投資制度採用が適していると説明。

また輸出先がメルコスール加盟国であればメルコスール条約・規定を視野に入れて検討する必要性を説明。特にメルコスール原産地証明書に関する規定は重要である。自動車産業向け法令4838号/2012、フリーゾーン向け法令523号/1995、ハイテク製品製造向け法令4427号/2012、マキラ制度の法令1064号/1997について説明した。

質疑応答では、マキナ制度利用による国内販売向け課税、パラグアイとブラジルの二国間自動車産業協定、メルコスール域内の自動車協定の現状、パラグアイの中古車輸出の現状と展望、パラグアイとブラジルの治安の現状比較などが話題となった。この後午後5時から7時過ぎまで希望者対象にラウンドテーブルや相談会が設けられた。

Pdfペドロ・マンクエーリョ商工副大臣 「パラグアイの魅力と新政権が目指す投資誘致の取り組み」

Pdf駐パラグアイ日本国大使館の石田直裕 特命全権大使 「パラグアイの最近の経済情勢-経済成長を続けるパラグアイにおける投資優位性」

Pdfジェトロ中小企業海外展開現地支援プラットフォームの石田ミゲル コーディネーター  「パラグアイの年優遇制度活用法」

左からペドロ・マンクエーリョ商工副大臣/駐パラグアイ日本国大使館の石田直裕 特命全権大使/在サンパウロパラグアイ総領事館のエンリケ・インスフラン総領事/ジェトロ中小企業海外展開現地支援プラットフォームの石田ミゲル コーディネーター

左から大久保敦所長/平田事務局長

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