ブラジル国内20都市の広告に掲載された販売価格を基準にまとめられる1平方メートル当たりの不動産価格動向を取り扱う「FipeZap」によると、2013年9月から今年9月までのインフレ指数を差引いた実質商業テナント賃料は42.5%下落、商業店舗価格は3.16%下落している。
過去3年間継続した経済リセッションから回復途上にあるにも関わらず、不透明な大統領選挙や5月末から11日間継続したトラック運転手の国道封鎖抗議デモによる不確定要素拡大の影響で、2018年9月の過去12カ月間のインフレ指数を差引いた実質商業テナント賃料並びに商業店舗販売価格は7.0%減少している。
9月のサンパウロ市並びにリオ市、ベロ・オリゾンテ市、ポルト・アレグレ市の小規模商業店舗の平均実質販売価格は0.54%減少したが、唯一ポルト・アレグレ市は0.13%微増に留まった。
また今年9月の上記4市の小規模商業店舗のインフレ指数を差引かない平均名目テナント賃料は0.57%減少しており、2013年から商業テナント賃料はインフレ指数を下回り続けている。
不動産部門は経済回復では一番最後に活性化するために、来年は販売価格やテナント賃料は下げ止まる可能性はあるが、不動産部門の活性化は見込めないと経済調査院(Fipe)エコノミストのブルーノ・オリヴェイラ氏は指摘している。
今年9月の上記4市の1平方メートル当たりの小規模商業店舗の平均販売価格は9,486レアル、平均テナント賃料は39.31レアル、リオ市は1万272レアル、サンパウロ市のテナント賃料は42.45レアルであった。
2014年以降の不動産向け投資の収益率は、銀行間預金証(CDI)の収益を下回っており、9月の過去12カ月間のCDIの収益率は6.7%であったが、テナント賃料の収益は僅か1.8%に留まっている。(2018年10月23日付けエスタード紙)