大統領選挙終了で330億ドルの金融取引拡大か

ジャイル・ボルソナロ次期大統領(PSL=社会自由党)誕生は金融市場関係者に安堵感を与えており、不透明な大統領選挙が主因となって、国内外の投資家は積極的なM&Aや資金調達のための社債発行などを控えていた。

しかしボルソナロ次期大統領誕生で、ブラジル金融市場関係者は、2019年のM&Aや資金調達のための社債発行や新規株式公開(IPO)などで330億ドルに相当する1220億レアルの金融取引を見込んでいる。

来年は新政権による構造改革実施、コントロールされるインフレ、大幅な雇用創出などが牽引して、2010年に相当する金融取引の活性化をクレジットスイス銀行のブルーノ・フォンターナ主任は予想している。

同銀行では2019年の新規株式公開(IPO)やフォローオン・オファリング(追加公募増資)は30企業を上回ると予想、総額250億レアル以上の資金調達が予想されている。

大統領選挙中の今年9月に積極的な構造改革や民営化を謳っているジャイル・ボルソナロ候補の勝利を予想して、Tivit社並びに BMG社は、新規株式公開(IPO)の準備を進めていたとBloomberg社アナリストのアドリアナ・ドゥピタ氏は説明している。

今年第3四半期のM&A成立総額は、不透明な大統領選挙の影響を受けて前四半期比62.0%減少の38億ドルに留まって2015年初め以降では最低を記録、前年同四半期比でも70%減少していた。

Bloomberg社では、公社民営化を中心に既に総額130億ドルに達するM&A案件が準備中と予想、ペトロブラス石油関連では、天然ガス輸送関連TAG社やLiquidas配送会社の民営化が予想されている。

次期財務相が予想されているパウロ・ゲーデス氏は、負債軽減のために積極的な連邦貯蓄金庫並びにエレトロブラス電力公社、ペトロブラス石油公社の民営化を示唆しているが、ボルソナロ次期大統領は、公社民営化には慎重を期すると予想されている。

連邦貯蓄金庫若しくは連邦貯蓄金庫の保険部門(Caixa Seguridade)の民営化も挙げられているが、連邦貯蓄金庫の民営化では、ブラジル銀行と同様に連邦政府が経営権を維持する株式公開形式が検討されている。

またオランダ資本LyondellBasell社によるペトロブラスが大株主となっている石油化学会社ブラスケンによる買収、ボーイング社によるエンブラエル社買収の承認は次期政権が決定する。(2018年10月30日付けヴァロール紙)

 

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