米中貿易摩擦で中国向け輸出拡大

中国の知的財産権侵害に対抗して、『米国第一』を振りかざすトランプ大統領は、中国に対する制裁関税を発動、中国も直ちに報復を表明して、米中貿易戦争は一段と激化してきている。

米中貿易摩擦激化に伴って、ブラジルから中国向け輸出が拡大傾向を示しており、今年初め10カ月間の中国向け輸出比率は、26.8%と前年同期の22.5%を4.0%以上上回って、ブラジルにとっては漁夫の利を得ている。

米中貿易摩擦激化に伴って、今年初め10カ月間のブラジルから穀物並びに食肉、鉄鉱石などの第一次産品輸出比率は、全体の47.7%に相当する473億ドルに達して昨年同期よりも6.1%上昇している。

2001年のブラジルのコモディティ製品販売の50.6%に相当する132億ドルはヨーロッパ向けであったが、今年初め10カ月間の第一次産品輸出総額は992億ドルに達している。

今年初め10カ月間の中国向け輸出額は、前年同期比28.8%増加の532億ドルに達しているが、輸出総額は8.5%増加、中国を抜いた輸出総額は2.6%増加に留まっている。

国営英字紙チャイナ・デイリーは、ブラジルの基幹産業に積極的に投資を行っている中国企業に警戒発言を行っているブラジルの新大統領に就任するジャイール・ボルソナロ氏を「熱帯のトランプ」と呼んでいる。

今年初め10カ月間の中国向け穀物輸出金額は前年同期比27%増加の240億ドル、穀物の国際コモディティ価格上昇に反比例して、輸出量は20.4%増加に留まっている。

今年初め10カ月間のブラジルの中国向け穀物輸出比率は全体の66%に達しており、昨年同期の48%から約20%近く上昇、しかし米国のマーケットシェアは39%から29%に下落している。

また今年初め10カ月間のブラジルの中国向け原油輸出金額は前年同期比84%増加、輸出量は57%増加の115億ドルに達し、鉄鉱石輸出の86億ドルを大幅に上回って、過去20年間で初めて中国向け原油輸出が鉄鉱石輸出を上回った。

2017年のブラジルの中国向け原油輸出は、ヴェネズエラを上回って7位に上昇したものの、伝統的な原油輸出国である、ロシア並びにサウジアラビア、イランを下回っている。

2007年初め10カ月間のブラジルの中国向けコモディティ商品輸出比率は16.5%、2010年29.8%、2012年30.8%、2015年は34.5%、2016年は37.2%、2017年41.6%、今年は47.7%まで上昇してきている。

今年初め10カ月間のブラジルの中国向け大豆輸出は前年同期比27.2%増加の239億ドル、前記同様に原油は84.2%増加の115億ドル、鉄鉱石は0.6%増加の88億ドル、パルプは39.2%増加の29億ドル、牛肉輸出は67.1%増加の12億ドルを記録している。(2018年11月12日付けヴァロール紙)

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