米中貿易摩擦で今年の輸出総額は2,300億ドル予想

中国の知的財産権侵害に対抗して、『米国第一』を振りかざすトランプ大統領は、中国に対する制裁関税を発動、中国も直ちに報復を表明、米中貿易戦争の激化に伴ってブラジルの漁夫の利は拡大傾向を示している。

今年初め10カ月間のブラジルの輸出総額は1991億ドルに達しており、今年1年間では2300億ドルと2013年以降では最高の輸出総額が予想されているが、2011年に記録した2560億ドルには達しないとブラジル商工サービス省(MDIC)では予想している。

米中貿易摩擦激化に伴って、ブラジルから中国向けのコモディティ製品輸出が拡大傾向を示しており、今年初め10カ月間の中国向け輸出比率は、全体の26.8%と前年同期の22.5%を4.0%以上上回って、ブラジルにとっては漁夫の利に繋がっている。
数カ月前の今年の輸出総額予想は2180億ドルであったが、米中貿易摩擦の激化に伴って、中国向け輸出が増加傾向を示しているとブラジル貿易会(AEB)のジョゼ・アウグスト・デ・カストロ会長は指摘している。

米国の中国向け大豆輸出は4000万トン、ブラジルは5000万トンであったが、今年初め8か月間のブラジルから中国向け大豆輸出は前年同期比20%増加、また石油の国際コモディティ価格の上昇に伴って、中国向け原油輸出も増加傾向となっている。

ブラジル食肉協会(Abrifrigo)の発表によると、今年10月の中国並びに香港向け食肉輸出は、全体の44.1%と昨年同月の37.1%から大幅増加の58万5263トンを記録している。

今年初め9カ月間の中国向け食肉輸出量は前年同期比56.0%増加、輸出金額は68.0%増加しているとブラジル食肉輸出工業会(Abiec)は発表している。

また今年10月の大豆輸出は前年同月比132%増加の504万トン、輸出金額は141%増加の19億8000万ドルを記録。今年上半期にボルソナロ大統領候補は、中国に経済的依存を強める左派政権を批判し、台湾との関係を重視すると発表していた。

過激な発言で「ブラジルのトランプ」と呼ばれているジャイール・ボウソナロ次期ブラジル大統領(自由社会党・PSL)に対し、中国が米国のトランプ大統領のように保護貿易主義をとり、中国との合意を破棄すれば、ブラジル経済は痛手を被ると牽制していると中国で発行されている英字紙チャイナデイリー紙(CD紙)は報じていた経緯があった。

しかし11月初めにボウソナロ次期ブラジル大統領は、在ブラジル中国大使のLi Jinzhang氏と面会して、積極的に友好ムードつくりを演出している。(2018年11月18日付けエスタード紙)

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