ジェツリオ・ヴァルガス財団ブラジル経済研究所(Ibre/FGV)の貿易指数(Icomex)調査によると、2018年10月の輸出は米朝貿易摩擦激化並びに石油などの国際コモディティ価格上昇に伴って前年同月比16.6%増加、また輸入も17.7%増加している。
今年10月の貿易収支は59億ドルの黒字を計上したものの昨年同月を下回っている。対中国の貿易黒字は190億ドルから230億ドルに増加した一方で、対米国の貿易収支は15億ドルから1億1,300万ドルの黒字に減少している。
米中貿易摩擦は中国の需要並びに国際コモディティ価格に悪影響を及ぼし、ひいては世界貿易全体が縮小する可能性があるとブラジル経済研究所(Ibre/FGV)コーディネーターのリア・ヴァルス女史は指摘している。
今年初め10カ月間のブラジルの輸入金額は前年同期比21.1%増加した一方で、輸出金額は8.5%増加に留まっている。今年10月の輸出は農産物並びに鉱業関連が牽引している。
今年10月のブラジルの国際コモディティ商品輸出量は前年同月比20.1%増加した一方で、国際コモディティ商品価格の減少に伴って、輸出金額は8.5%増加に留まっている。また非国際コモディティ商品輸出量は0.8%増加、非国際コモディティ商品価格は0.6%減少している。
今年10月の中国向け輸出は前年同月比84.0%増加、特に大豆輸出は124%、原油は134%それぞれ大幅に増加、中国向け輸出比率は全体の27%、米国は14%を占めている。
2010年~2012年のブラジルの中国向け大豆輸出は38%と米国の42%を下回っていたが、2015年~2017年は米国の35.8%を上回る49%に達している。今年10月のブラジルの農産物輸出は全体の35.8%、鉱業関連輸出の32.9%を上回っている。また製造業部門の完成品輸出は前年同月比僅か0.6%増加に留まっている。
アルゼンチンの為替危機の影響で、自動車輸出の70%を占めていたアルゼンチン向け自動車輸出が大幅に減少した影響で、今年10月の耐久消費財輸出は前年同月比17.9%減少、今年初め10カ月間では11.6%減少している。
今年初め10カ月間の資本財輸出は前年同期比15.3%減少しているが、プレソルト原油生産向けFPSO(洋上浮体式生産・貯蔵・積出施設)の石油採掘向けプラットフォーム輸出を除外すればマイナス5.1%を記録。唯一中間財輸出は1.0%増加している。(2018年11月27日付けヴァロール紙)