パウロ・ゲーデス次期財務相は柔軟な歳出政策を採用か

ブラジル国会では世界でも最も詳細な次年度の基本予算基本法を決定して歳出変更が難しいために、ボルソナロ次期大統領が「経済のことはゲーデスに任せる」と言明して厚い信頼を得て次期財務相が濃厚なパウロ・ゲーデス氏が率いる経済班では、変更可能で柔軟な歳出政策を検討している。

またパウロ・ゲーデス次期財務相は、年金・恩給の最優先構造改革の推進に次いで、税体系を簡素化する税制改革の実施を予定しているが、並行して財政削減の一環として、年金・恩給や最低サラリーなどの年間調整に対する非インデックス化を検討している。

連邦政府予算では、公務員給与や年金・恩給など義務的支出が全体の91%を占めているが、早急な年金・恩給改革が実施されなければ2021年には義務的支出が全体の98%に達すると予想されており、義務的支出の教育分野や医療分野向け支出ができなくなる可能性が否定できない。

新政権経済班は、憲法補足法案(PEC)を通して義務的支出枠の柔軟な変更を検討しており、緊急な支出に対応できる柔軟性のある歳出政策の変更を検討している。

2016年~2018年の予算基本法による義務的支出枠は全体の91%まで許容されているにも関わらず、早急な構造改革が実施されなければ2019年には93%、2020年には95%、2021年には98%に達する可能が否定できない。

しかし予算基本法を変更するためには、上院並びに下院議会で2/3の承認を得なければならないために、予算企画省では、税歳入の30%まで自由に決済できるメカニズムの可能性を模索している。

またパウロ・ゲーデス次期財務相は、年金・恩給改革や税制改革実施による歳出削減以外にも連邦政府の民営化による資産売却による財政削減や省庁削減に伴う公務員削減などを検討している。

義務的歳出の内訳として、都市部向け社会保障院(INSS)のベネフィット支出は全体の34.2%でトップ、公務員給与並びに社会保障負担金22.2%、農村部向け社会保障院(INSS)のベネフィット支出9.4%と全体の2/3を占めている。

保健・医療向け支出は全体の7.5%、勤労不可能な高齢者および障害者に対して、最低賃金額を支給する継続扶助(Benefício de Prestação Continuada–BPC)は4.2%、経済成長加速プログラム(PAC)は2.3%、失業保険3.0%、教育関連2.7%、ボルサファミリアを含む社会補助金2.7%などとなっている。(2018年11月29日付けエスタード紙)

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