メルコスールとEUの担当者らがモンテビデオで2018年内に合意する「最後のチャンス」として交渉を進めている中、ドイツのメルケル首相がコメントした。
メルコスールと欧州連合(EU)がモンテビデオで自由貿易協定(FTA)を取りまとめるための決定的な交渉に挑む一方で、ドイツのアンゲラ・メルケル首相が、早急に合意を取りまとめるよう求めるとともに、2経済圏が貿易協定を取りまとめるために残された時間はわずかしかないと警鐘を鳴らした。ドイツの国会議員に対してメルケル首相は今回、ブラジルの大統領選でジャイール・ボルソナロ候補が次期大統領に選出されたことを受け、新政権の発足後は合意に対するハードルが高くなるとコメントした。
両経済圏は、2週間前にメルコスールの交渉担当者が10日にわたってブリュッセルに滞在、対立している条件の重要部分の幾つかを克服できるとの期待がもたれたものの、基本合意に踏み込めずにいる。メルケル首相は今回、「EUとメルコスールが貿易協定で合意に至るために残された時間は、いよいよわずかになった。極めて迅速に合意にこぎつける必要がある。さもなければ、ブラジルで新政権が誕生することによりこの目標の達成は容易なものではなくなる」とコメントした。
外交官らは去る月曜日、12月10日から、今度はウルグアイで協議を再開しており、これが2018年年内に合意できる「最後のチャンス」と受け止めている。EUだけでなくメルコスールの間にも、これまで交渉で積み上げてきた成果がボルソナロ政権の発足によってちゃぶ台返しにされる可能性があると懸念する声がある。
次期政権の経済スタッフは既に、アメリカとのより緊密な関係の構築を優先すべきで、部分的にはメルコスールを無視することも厭わないという考えを示唆している。EUの懸念は、エルネスト・アラウージョ氏が次期外務大臣に指名されたことで決定的なものになった。同氏は様々な著述の中で欧州を、「文化的に空虚な」大陸と評し、アメリカを自身がより好んでいるということを明確に示している。
EUにとって基本合意に至らないことは、中期的に、ブラジルがアメリカ企業に対して譲歩し欧州が活動の足場を奪われることを意味しかねないと受け止める。
ただしメルコスール側も、EUが主に農業分野で柔軟性を欠き譲歩を避けていると警鐘を鳴らしている。
14日(金)までに進捗がない場合、アルゼンチンは、既に19年にわたって交渉してきたこの問題で、メルコスールとEUが基本合意を交わすべく閣僚級会議を開催する予定だ。この「政治的」交渉が、ブラジル産のエタノールと食肉に対する割当量の拡大といった幾つかの問題で、互いに譲歩するための最後のステップとなる。
従ってメルケル首相の発言について外交官は、依然としてドイツが2018年内の合意を希望しており、それだけに譲歩を厭わないという明確なサインと解釈している。
ただし、合意に対する最大の障害は、政府が強い圧力にさらされ譲歩の意思を見せていないフランスだ。12月初旬に行われたG20でフランスのエマニュエル・マクロン大統領は、メルコスールとの合意は、ボルソナロ政権が気候変動に関するパリ協定で加盟国としての立場を維持する場合に限られると警告している。
EU内では、マクロン大統領が持ち出したこの条件はフランスが、基本合意を締結しないための圧力と、農業分野を中心に市場の開放はどのようなものであれ遅らせるための方便だと受け止められている。
ブラジルは既に決断していると財務大臣がコメント
エドゥアルド・グアルジア財務大臣によるとブラジルは、基本合意を締結すると決断しているが、そのためには双方が関心を寄せる必要があるという。
グアルジア財務大臣はマスコミに対し、「我々は、(EUとメルコスールの貿易協定に向けて)非常な努力を払ってきた。アロイージオ・ヌーネス外務大臣は交渉において、決断を迫られている。私は、関係する様々な問題に関して、極めて密接に見守ってきたし、合意締結をブラジルが心から希望してその心づもりがあることを、あらゆる手を尽くして示してきた。だが、双方がいずれもこれを希望する必要がある」とコメントした。
ブライロ・マジ農務大臣は、メルコスール側はEUとの貿易協定締結の心づもりはできているとした上で、依然として基本合意に至らないのはEU側が合意したがらないからだとコメントした。「メルコスールとEUが合意に至らないのは、メルコスールがそれを希望しないからではなく、EUが希望しないからだ」と農務大臣は言う。
この農務大臣のコメントは、ドイツ首相の発言を受けたものだ。さらにマジ農務大臣は、メルケル首相の立ち位置を批判。「ブラジルは、可能な限り条件を柔軟にして対応した。国内の幾つかの業界が損害を被るような形でも主張を後退させたのだ」と同大臣はマスコミにコメントした。
なお、ボルソナロ次期大統領は既に、メルコスールのように多国間のグループとして条件をすり合わせるよりは、二国間で交渉することが好ましいという考えを示している。(2018年12月13日付けエスタード紙)