ブラジル国内のセメント需要は、2014年下半期から継続していた経済リセッションの影響を受けて過去4年間連続で前年割れを記録していたにも関わらず、ジャイール・ボルソナロ大統領の就任に伴って、経済活性化のための雇用創出が大きなインフラ整備部門への投資拡大を予想している。
2019年の国内のセメント消費は、民間部門の住宅並びに商業施設、製造業部門の新規・増産向け建設が牽引して、前年比3.3%増加の5,440万トンを全国セメント工業組合(SNIC)のパウロ・カミーロ・ペーナ会長は予想している。
2015年~2018年の過去4年間のブラジル国内のセメント需要は25.9%と大幅に減少、昨年末のセメントの国内需要の水準は2010年に留まっており、ラヴァ・ジャット汚職問題などで大手ゼネコンによるインフラ整備向けプロジェクト停止で、セメント業界は壊滅的な打撃を受けていた。
現在のブラジル国内のセメント業界の生産稼働率は、ブラジル国内の20カ所のセメント工場の生産中止や減産操業などを余儀なくされている影響で僅か47.2%に留まっている。
またサンパウロ州内には、セメント生産工場が13カ所存在するものの約半分に相当する6カ所のセメント工場では、生産中止を余儀なくされており、ボルソナロ新政権によるインフラ整備部門の再活性化や環境ライセンスなど早期の規制改正が必要となっている。
2018年当初のセメント業界の生産予想は前年比1.0%~2.0%増加を予想、しかし昨年5月末から11日間継続したトラック運転手の国道封鎖抗議デモによる物流問題発生の影響を受けて、前年比1.0%~1.5%減少に反転していた。
昨年12月のセメント販売は前年同月の397万トンをわずかに下回る396万4,000トン、しかし1日当たりの平均販売は7.0%増加。昨年のセメント業界は輸送費、燃料費、電力料金の上昇に伴って生産コストが上昇したために、収益を圧迫されていた。(2019年1月9日付けヴァロール紙)