2018年の対内直接投資は経常収支赤字の5倍以上を記録

2018年の海外投資家によるブラジル国内の株式や国債、投資ファンドなどの金融投資は76億8,200万ドルの赤字を計上、リーマンブラザース銀行破綻をきっかけとした世界金融危機が発生した2008年の108億5,000万ドルに次ぐ赤字を記録して、過去10年間では最高の資金を引き揚げとなっている。

しかし中銀の今年1月24日までの統計によると、海外投資家のブラジル国内の株式や投資ファンドへの金融投資残高は、昨年末の資金引上げから一転して30億8,800万ドルの黒字を計上している。

2009年~2017年までの9年間の海外投資家のブラジル国内の年間平均金融投資総額は、129億5,700万ドルの黒字を記録していたにも拘らず、昨年10月の不透明な大統領選挙を控えて、昨年下半期の海外投資家の資金引上げが顕著で、76億8,200万ドルの赤字に結び付いた。

海外投資家による確定金利付き投資残高は、43億4,800万ドルの赤字を計上したにも関わらず、2017年の50億6,600万ドルを下回り、ジウマ・ロウセフ大統領が罷免された2016年の266億ドルの赤字を大幅に下回っている。

昨年6月の海外投資家によるサンパウロ証券取引所の株価残高は、レアル通貨に対するドル高の為替や不透明な大統領選挙、低調な国内経済などの要因で2,560億レアルまで減少していたが、昨年12月末の海外投資家のサンパウロ証券取引所の株価残高は、ボルソナロ新政権への期待などの要因で3,010億レアルまで回復している。

2018年の海外投資家による対内直接投資は、前年比25.7%増加の883億1,400万ドルと年初のブラジル中央銀行の予想である800億ドルを上回る投資を記録している。

2018年の経常収支赤字はGDP比0.77%相当の145億1,100万ドル、昨年12月は8億1,500万ドルの赤字を計上した一方で、対内直接投資は883億1,400万ドルの黒字を計上、経常収支赤字の5倍以上の黒字計上でカバーしている。

2018年の対内直接投資の特徴として、海外本社からブラジル支店への投資金供与は、2017年の62億ドルから5倍以上の323億2,000万ドルに増加、一方製造業部門向け対内直接投資は、前年の640億800万ドルから559億9,400万ドルに減少している。

2018年の経常収支赤字が前年比で増加した要因として、国内経済回復による輸入品の需要増加による貿易収支は、前年比16.3%減少の535億8,700万ドルの黒字に留まっている。

また昨年の経常収支のうちサービス収支は、ドル高の為替の影響で前年並みの339億5,000万ドルの赤字、特にブラジル人による海外旅行収支は前年比3.9%減少、知的財産権等使用料や特許権、著作権等の使用料サービス収支は5.5%減少、装置・機械の賃貸料サービス収支は10.9%減少している。

中銀は2019年の経常収支赤字はGDP比1.8%相当の356億ドルを予想、今年の海外投資家による対内直接投資は900億ドルを予想、今年1月24日までの対内直接投資残高は33億ドルを記録している。(2019年1月29日付けヴァロール紙)

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