【伯亜首脳会談 ボルソナロ大統領がメルコスールに効率化を求める一方でマクリ大統領がベネズエラのマドゥロ大統領を「独裁者」だと糾弾】

ジャイール・ボルソナロ大統領(PSL:社会自由党)とアルゼンチンのマウリシオ・マクリ大統領が1月16日(水)にブラジリアで会談し、一層の「効率化」という方向性と関連性の中でメルコスールの近代化を進めすべきだという認識で一致した。その上でボルソナロ大統領は、ベネズエラの政治危機を例として言及しつつ、両国が「立場を同じくして価値観を共有」していくことを強調した。一方、マクリ大統領は、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領を「独裁者」や「死刑執行人」と名指しして痛烈に批判するためにこの会談のスピーチを利用した。

ボルソナロ大統領と並んでスピーチに立ったマクリ大統領は、「民主主義に対する冒涜を、我々は断じて受け入れない」と発言。さらに、「架空の選挙で権力の座を永続させようと試み、また、野党を逮捕し、ベネズエラ国民を絶望と瀕死の状態に陥れようとしている」と付け加えた。

マクリ大統領によるとブラジルとアルゼンチンは、野党が過半数を占めながらマドゥロ大統領によって解散させられたベネズエラ国民議会を民主的に選出された唯一の機関と認めている。

これに対してボルソナロ大統領は、ベネズエラに関してわずかに言及するにとどまり、自身とマクリ大統領の関係で想定される共通項、メルコスールに関して焦点を当てるスピーチを行った。ボルソナロ大統領は、「アルゼンチン経済を再興し、世界に対してより統合されたものにする」というマクリ大統領の取り組みを称賛するとともに、持続的成長と両国間の通商関係の回復にとって両国が推進する経済改革が根本的な重要性を持つと訴えた。

アルゼンチンは2018年のインフレが47.6%という、南米大陸では唯一ベネズエラを下回る地域では2番目に高いインフレ率を記録した。同国の通貨ペソは、年間で50%以上もの通貨安となり、昨年の失業率はおよそ10%に達していたと推定されている。

マクリ大統領とボルソナロ大統領は、20年以上にわたって計画が実行に移されずにいるメルコスールと欧州連合(EU)の自由貿易協定(FTA)に向けた交渉に関して、この懸案が早急にまとまることへの期待感を改めて示した。両大統領は、「失われた時間を取り戻すため、柔軟性をもって」新たな交渉をスタートさせることを希望した。

ブラジルで発足した新政権とアルゼンチン政府は、協定の交渉についてメルコスールがあくまでも経済圏として交渉することを加盟国に義務付け、加盟国が個別に二国間貿易協定を締結するのを想定していないという基本規定のひとつに関して、改正を支持する考えを示した。この両国の主張は、まさに、加盟国が他の加盟国を蚊帳の外において貿易協定を交渉するのを認めるということである。

演説でボルソナロ大統領は、前に置かれたテレプロンプターで表示されたメッセージを読み上げた。このため時々、大統領の発言は次のメッセージが表示されるまでの間、わずかにつかえた形になった。大統領はマクリ大統領が発言する間、他の様々なプレゼンの時と同様、即時通訳のためにイヤフォンを使用した。

民主主義の尊重

大統領府での首脳会談と演説の後、両国大統領と随行団は、再び宣言を行うために外務省に移動した。

マクリ大統領は、ジャイール・ボルソナロ候補を大統領に選んだブラジル国民と同様にアルゼンチン国民も変革を求めていると発言、その上で、この変革は民主主義及び人権、自由を尊重しつつ推進しなければならないと付け加えた。

「今回のブラジル訪問は、真の変革、人権と自由、勤労、進歩の可能性を尊重する民主主義に生きることをコアバリューとして我々の社会を前進させるような変革を求めて声を上げた人たちが、あなた同様に私を選んだと確認するという実にエキサイティングなものになった」とアルゼンチンのマクリ大統領は発言した。

アルゼンチン側の随行員で、ホルヘ・マルセロ・フォリー外務大臣も同様に、民主主義を称賛し、大統領が言及したベネズエラの政治情勢について補足。同外務大臣は、国民議会が「主導権の確保に向けて努力しなければならない」とコメントした。

さらに、「マクリ大統領とボルソナロ大統領の間には、自由と民主主義への尊重を希望するという点で、見解が一致している。そしてベネズエラが再び、自由と、ベネズエラ国民が必要とする福祉を取り戻すよう、民主主義を回復することである」と訴えた。

国賓として訪問したマクリ大統領は、閲兵の後に大統領府のスロープを登ってボルソナロ大統領の出迎えを受けた。そこで、両国大統領は両国の国歌演奏に耳を傾けた。

マクリ大統領を待つ間、ボルソナロ大統領は、エルネスト・アラウージョ外務大臣と補佐官らと談笑、大統領府所属のカメラマンの1人ともふざける様子を見せた。また大統領の写真撮影でボルソナロ大統領は、その1枚を、身分証をズボンのポケットから取り出してカメラのレンズに向けた。

大統領府の他の職員の身分証と同様のもので、明るい緑に緑と黄色の2重の縞を背景に、3cm×4cmの写真と、名前、その他のデータが記入されている。ただしこれは、大統領府内部を自由に移動できるようにターンスタイルを自動で開放するものではない。

大統領府前に集まった観光客はわずかであったが、外部の人が見ることのできるレセプションでは、ミシェル・テーメル前大統領(MDB:ブラジル民主運動)時代よりも明らかに警備が強化された。連邦警察のそして国家安全保障対策室(GSI)のエージェントは、襲撃があった場合に関係者を守るための手提げ鞄や武器を手に、スロープの前やボルソナロ大統領の横に陣取った。(2019年1月16日付けUOL)。
 

 

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