3月の定例懇親昼食会は、2019年3月22日正午から午後2時過ぎまでブッフェ・コロニアに140人が参加して開催、司会は平田藤義事務局長が務め、初めに特別ゲストのルーベンス・バルボーザ元駐米大使、株式会社国際協力銀行(JBIC)リオデジャネイロ駐在員事務所の櫛引智雄首席駐在員が紹介された。
連絡事項として、大久保敦企画戦略委員長でジェトロサンパウロ事務所所長は、自動車部会の協力を得て今日午後3時から全国自動車工業会(Anfavea)の事業戦略プレゼンとして、日伯自動車裾野産業協力イベントを開催、日系有力自動車メーカーの競争力強化並びにコスト削減に繋がるIndustria4.0とイノベーション向けテクノロジーソルーションを紹介。また運輸サービス部会とのバックアップで開催する4月23日(火)~26日(金)にかけて実施される「南米南部(アルゼンチン・ウルグアイ)ビジネス環境視察ミッション」を案内では、29日締め切り、既に10社が申込み、30名にはまだ余裕がある。現地の自動車、ネットワーキング、監視システム見学会や政府高官との意見交換会ができるまたとない機会、また運輸サービス部会の吉田さんと宮川さんに協力を頂き感謝していると説明した。
写真は(アルゼンチン・ウルグアイ)ビジネス環境視察ミッションを案内する大久保敦企画戦略委員長でジェトロサンパウロ事務所所長/平田藤義事務局長/運輸サービス部会の吉田部会長/宮川氏
長野昌幸異業種交流委員長は、4月3日午後6時から商工会議所で開催される異業種交流委員会主催の日本テレビの「こんな所に日本人」でも紹介されたリンゴ農園やブドウ、ワイン生産を手広く行う成功する秘訣を話していただく平上博泰氏の講演会開催を案内した。
帰国する伯国三菱商事の松永愛一郎前会頭は、1月初旬に日本に戻ったが、帰国挨拶を行っていなかったので昨日戻った。ブラジル着任と共にラヴァ・ジャット汚職問題発覚、株価暴落。会議所活動では企業経営委員長、政策対話委員長、会頭を務めた。残念なのはブラジルに5年間駐在したが、ポルトガル語のマスターができず、メインテーブルの隣にはいつも特別ゲストが座ったが、Bom Dia、 Opaしか言えなかったと流暢なポルトガル語を話すにも拘らず、爪を隠して笑いを誘った。平田事務局長は、松永前会頭には本当にお世話になった。彼の馬力、元気があれば三菱商事は安泰です。昔の侍ですと商社マンの鏡と太鼓判を押していた。
4月1日から本社エネルギー本部長補佐に栄転する双日の粟屋聡社長は、2015年4月から4年、トータル15年ブラジルに駐在、商工会議所の専任理事、政策対話委員長としてブラジル政府への提言書作成の取り纏め、ADIR活動の一環としてブラジリアに出張して陳情。また相互啓発委員長としてカマラゴルフ大会や忘年会主催、また年2回ライブハウスのトントンに出演、忘年会ではドラマーとしてフォークソングバンドを率先、充実した4年間だったと説明した。
代表者交代では、MITSUBISHI INDÚSTRIAS PESADAS DO BRASIL LTDA.の植田 真五社長は、着任して2年、2017年4月から経済リセッションから脱出、11月には労働法改正,ボルソナロ新政権誕生、カニバルが終わってブラジルを去るのはさみしいが、業績か回復してきて後輩にバトンタッチして帰国すると説明、後任の山田佳宏社長は、1年前に赴任、4月1日から着任、既に会議所活動には参加、2012年にインド、ブラジルは2か国目の海外勤務で日系社会に興味があると説明。平田事務局長は、山田社長は既にポルト・アスー港湾やパラグアイも視察していると説明した。
AZBIL DO BRASIL AUTOMAÇÃO LTDAの根岸誠社長は、ジウマ政権誕生時の2010年10月に着任、2014年以降ブラジル経済はリセッションに突入、8年半のサバイバル期間を乗り越えてきた。平田事務局長はいつも「敗戦の将は兵を語らず」と云うが、松永元会頭には「経験を語ってください」と笑いを誘い、またブラジル滞在中は勉強することが数多くあり、家族愛、助け合いの精神など今後の人生に於いて、道標となることを学んだと語った。後任の力石哲也社長は、私はカリオカの女房を持った日本人、根岸とブラジルに来て9年、自動制御アプリを担当すると説明した。
MMC METAL DO BRASIL LTDAの永田慎太郎社長は、1年前に着任、永田町の石原慎太郎と覚えてくださいと説明。坊ちゃんで有名な愛媛県の松山中学出身で50歳、米国、ドイツに次いで3回目の海外駐在、業務は切削工具の輸入販売と語った。
SHIMADZU DO BRASIL COMÉRCIO LTDAの的場俊英社長は、ブラジルには4年勤務、2015年に来たら経済リセッション、2016年に代理店買収、2017年に従業員を47人解雇、景気がようやく上向いてきたら帰国辞令。会議所活動として、貿易部会副部会長、メディカル副分科会長、日・メルコスールEPAメンバー。帰国後は東京の営業室長。バンド歌手として7回ステージに立った。山口百恵の引退時の「サヨナラの向こう側」の一節をアカペラで熱唱した。後任の有村俊一社長は、2000年から2005年にブラジル駐在、入社25年で的場の後任はやりずらいが、サポートを依頼した。
NYK DO BRASIL (TRANSPORTE MARÍTIMO) LTDAの吉田信吾社長は、2015年3月に赴任、運輸サービス部会長を1年半務め、色々なセミナーを通して勉強できた。後任の湯原社長のサポートを依頼した。後任の湯原慶社長は本日ブラジルに着任、労働ビザ取得に2回渡航を余儀なくされて、ブラジルのビジネスの煩雑さをすでに感じている。着任早々の湯原慶社長は既に南米ビジネスミッションに参加する。
国際協力銀行リオデジャネイロ在員事務所の櫛引智雄首席駐在員は、「日本の製造業企業の海外事業展開に関する調査報告(2018年度)」として、初めにJBICの事業内容を紹介、ブラジルでは60年間に亘って資源やインフラ分野に融資。日本企業はアジアに注目しているが、中南米にも目を向けさせたい。 調査報告では海外現地法人数の推移、海外生産比率、海外売上高比率、海外収益比率の推移、業種別、トレンド、パーフォーマンス評価、国内外の事業強化姿勢、投資有望国・地域の推移などについて説明した。
IRICE(国際外交・通商政策研究所:非営利団体)代表のルーベンス・バルボーザ元駐米大使は、「ボルソナーロ政権における国内及び外交のチャレンジ」と題して、ブラジルの現状の国内外の課題として、昨年10月の大統領選挙でのボルソナロ大統領の当選はびっくるするほど画期的な選挙であった。ブラジルの選挙制度は健全であり、行政、立法、司法が三権分立、報道の自由、右翼の台頭、右翼を強調した候補が当選したのは初めて、治安改善や汚職撲滅、経済の開放と新しいアジェンダを打ち出した。
憲法改正を擁する画期的な構造改革に着手。ジウマ政権では2年連続でマイナス成長を記録したが、国内問題の優先課題として、1400万人に達する失業者を削減するための経済成長、財政赤字解消、低インフレ、安定した為替、外貨準備高の維持、シカゴ学派のエコノミストのパウロ・ゲーデス経済相は、新政権の経済政策は、支出を抑え、財政健全化を目指す『社会保障制度改革』、公社の民営化を行い『利子を生み出す国家債務の解消』、『無駄の多い国家機構の改革』で海外投資家の信頼回復、競争力強化、堅調なマクロ経済成長、小さな政府、自由貿易を推進する。
ブラジル経済は世界8位にも拘らず、過去20年間で自由貿易協定を結んだのはエジプト、イスラエル、パレスティナの僅か3カ国。保護貿易主義から自由貿易主義に舵を切ってインフラ整備への投資、脱官僚化、規制緩和、義務教育の強化、イノベーション技術導入による製造業の競争力強化、経済の安定化、ブラジルの経済協力開発機構(OECD)への加盟並びに世界貿易機関(WTO)の協定違反に相当するブラジル製の自動車や電子機器を優遇するブラジルの優遇税制撤廃。労働党政権による外交交渉の低下による国際信用力の低下。競争力を失ったブラジルの製造業はグローバル化の進展による世界のヴァリューチェーンの不参加。
ボルソナロ新政権は相次いで米国、チリ、イスラエルを訪問して積極的な外交を展開して国際貿易協定を模索、米国並びにカナダ、シンガポール、韓国、日本とのFTAも黎明期ながら動いているが、テーメル政権までは社会主義国だけであった。今年上半期中に年金改革が国会を通過すれば今年のGDP伸び率は2.0%以上、来年は3.0%を突破、数年後には大きな設備投資が期待できる。年金改革や税制改革など一連の構造改革が進展すれば安定した経済成長が望める。また11カ国が加盟している環太平洋経済連携協定(TPP)に参加すれば太平洋同盟国やメキシコとも自由貿易協定が一挙に結べてブラジルにとっては大きなチャンスになると述べた。日本企業はブラジルの大いに貢献しているにも拘らず、社会的なアピールが弱い。またイノヴェーションテクノロジーを擁している日本のスタートアップ企業のブラジル進出に期待していると結んだ。
最後にIRICE(国際外交・通商政策研究所:非営利団体)代表として、バルボーザ元大使は年内に当会議所とIRICE共催のコンファレンスを開催したいと述べ、日本の代表的な企業によるスポンサーシップ協力を求めた。日伯両国間、特に在ブラジル日本企業の最も関心の高いテーマを選定、ネットワーキングも兼ねての会議が予定されている。
特別ゲストのルーベンス・バルボーザ元駐米大使
株式会社国際協力銀行(JBIC)リオデジャネイロ駐在員事務所の櫛引智雄首席駐在員
土屋会頭/ルーベンス・バルボーザ元駐米大使/村田元会頭/平田事務局長
左から記念プレートを受け取るルーベンス・バルボーザ元駐米大使/土屋会頭
帰国挨拶を行う伯国三菱商事の松永愛一郎前会頭
帰国挨拶を行う双日の粟屋副会頭
帰国挨拶を行うMITSUBISHI INDÚSTRIAS PESADAS DO BRASIL LTDA.の植田 真五社長
MITSUBISHI INDÚSTRIAS PESADAS DO BRASIL LTDA.後任の山田佳宏社長
左からAZBIL DO BRASIL AUTOMAÇÃO LTDA後任の力石哲也社長/帰国する根岸誠社長
MMC METAL DO BRASIL LTDAの永田慎太郎社長
SHIMADZU DO BRASIL COMÉRCIO LTDA後任の有村俊一社長/帰国する的場俊英社長
左からNYK DO BRASIL (TRANSPORTE MARÍTIMO) LTDAの湯原慶社長/帰国する吉田信吾社長
Fotos: Rubens Ito / CCIJB