今年1月25日のヴァーレ社ミナス州ブルマジーニョ鉱山のフェイジョン1鉱滓用ダムの決壊事故発生、更に2月初めのミナス州最大の鉄鉱石生産を誇るブルクツ鉱山のラランジェイラス鉱滓用ダムの操業許可停止などが相次いで、保全対策が等閑にされている鉱滓用ダムの不良が相次いで発覚して、ヴァーレ社では鉄鉱石の減産を余儀なくされている。
またオーストラリアの西オーストラリア(WA)州北部沖で発生したサイクロン「ベロニカ」などの影響で、BHP 社並びに英豪資源大手 Rio Tinto社は大幅な減産を余儀なくされている。
また米中貿易摩擦激化に伴って、今年の中国経済の冷え込みに伴う鉄鉱石需要の減少を上回る鉄鉱石生産の減少予想で、今年の鉄鉱石の国際コモディティ価格が不透明となっている。
昨日の「Fastmarkets MB」誌によると中国山東省の青島港での1トン当たりの含有量が62%の鉄鉱石の国際コモディティ価格は、既に昨年末よりも31.03%増加の95.30ドルを記録、過去4年半の最高価格を更新、4月だけで11.7%高騰している。
納期が今年5月~9月の鉄鉱石の先物取引価格は4.0%上昇、遼寧省大連の5月の先物取引価格は、712元と先週水曜日よりも254.50元上昇、9月の先物取引価格は26.50元上昇の653.50元を記録している。
楽観的な業界関係者は今後も鉄鉱石の国際コモディティ価格は上昇すると見込んでいる一方で、上海のトレーダーは現在の鉄鉱石価格は独自の相場観などに基づいた売買行為を通して、キャピタルゲインの取得を目的とした投機的なスペキュレーション取引と予想して意見が分かれている。
鉄鋼メーカーでは鉄鉱石価格上昇の一方で、中国の需要減少並びにコークスの国際コモディティ価格が減少しているために、鉄鋼製品価格は均衡を保っている。ヨーロッパ並びに日本は鉄鋼製品の在庫調整を開始した一方で、米国は酷な国内需要を補うために増産体制を敷いている。(2019年4月9日付けヴァロール紙)