Liqugas買収でコンソーシアム構成

ペトロブラス石油公社は、コア事業の石油・天然ガス開発事業に資金を集中させるために、ポートフォーリオ事業の資産売却を積極的に進めており、今月初めにペトロブラスは、傘下のTransportadora Associada de Gas(TAG)の株式の90%をフランス資本Engie社並びにカナダの年金ファンドCaisse de Depot e Placement du Quebec(CDPQ)で構成されるコンソーシアムに86億ドル(330億レアル相当)で売却している。

イタウー銀行の投資部門のItausa社並びにUltraグループは、ペトロブラスグループ傘下の一般家庭用プロパンガス配給会社Liquigas社の買収のために、コンソーシアム構成を模索している。

Itausa社は有名なサンダルHavaianasを擁するAlpargatas社や2016年に天然ガスパイプライン事業(NTS)をカナダ資本のBrookfield社とコンソーシアムを組んで42億ドルで買収している。

しかしペトロブラス傘下のガスパイプライン事業のTAG社の買収には、Engie社のコンソーシアム以外にMubadalaファンド並びにイタウーザ社とカナダ年金ファンドCPPIB社がコンソーシアムを組んで買収合戦を展開していたが、Engie社をリーダーとするコンソーシアムが落札していた。

またUltraグループ傘下のUltragaz社は、2016年末に28億レアルでLiquigas社の100%の株式買収を試みたにも関わらず、経済防衛行政審議会(Cade)から独占禁止法に触れると阻止されていた。

Ultragaz社がLiquigas社を買収した場合にバイア州で61%、サンタ・カタリーナ州で51%、サンパウロ州並びにリオ州でそれぞれ57%とプロパンガス事業で過半数を占めるために、買収承認が阻止された経緯があった。

イタウーザ社並びにUltragaz社以外にもLiquigas社買収を検討しているのは、オランダ資本SHV社傘下のSupergasbras社、National Gas社、セアラー州のEdson Queiroz社、プライベート・エクイティのAdvent社となっている。

全国LPG仲介配給業者組合(Sindigas)では、ブラジル全土の一般家庭用プロパンガス配給の90%は6社だけで独占しているために、カルテル形成が容易でブラジルのプロパンガス価格が先進諸国よりも高額になる要因となっている。

ブラジルの天然ガスの熱量単位BTU当たりの価格は12ドルと石油・天然ガスの産油大国の米国の3ドルの4倍に相当、また天然ガス生産が殆どない日本やヨーロッパ諸国の平均価格7ドルを大幅に上回っているために、パウロ・ゲーデス経済相は、ペトロブラス石油公社の独占的な石油製油所事業撤廃並びに石油配給事業分散で、一般消費者向けプロパンガス価格の引き下げを示唆している。(2019年4月12日付けエスタード紙)

 

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