上場している内資系の大手銀行が2019年第1四半期、経済活動が期待された水準よりも低迷しているにもかかわらず、堅調な業績を確保していることが明らかになった。バロール紙が複数のアナリストに対して見通しを問い合わせたところ、平均するとイタウ・ウニバンコ銀行とブラジル銀行、ブラデスコ銀行、サンタンデル銀行を合わせた1-3月期の経常純利益の予想は、平均すると総額201億6,900万レアルに達した。実際にこの規模でこれらの銀行が利益を計上していたとすれば、前年同期の業績を16%上回る。アナリストが提出したこの数字は、貸付がより過熱しパフォーマンスが向上していることに加え、スプレッド金利がより高い事業にこれらの銀行が事業を集中させているという事情を反映している。金融機関は、担保を持つケースを中心に個人と小企業に対する貸付事業に営業を集中している。
UBS銀行は顧客向けレポートの中で、「中道右派のジャイールボルソナロが大統領に選出されて以降、新しい年金制度改革の提案が行われ、マクロ経済指標は景気の回復を示すなど、ブラジルの銀行各行の貸付事業が新たなサイクルに入った確信している」とコメントした。
スイス系資本の同銀行は、個人向けと小企業向けに銀行各行が営業を強力に活発化させている状況は、ブラジル経済基本金利(Selic)の金利が低下してより低利な新規貸付のポートフォリオが加わることを、部分的に相殺するものだと受け止めている。
XPインベストメントのレポートは、これらの銀行の業績改善の大きな理由のひとつに個人向けの貸付があると指摘する。同社によると事業ポートフォリオの中で最も好ましいのがこの貸付であり、銀行の金融事業(本業)による営業利益に最もポジティブな影響を与えると位置付けている。
イレブン・ファイナンシャルの複数のアナリストは、個人と小企業への貸付に注力したことだけが銀行のこの営業利益の拡大に貢献した要素ではないと指摘する。アナリストによると、金融機関の経営姿勢も、業績拡大に貢献したという。「とりわけ民間の貸付では双方にとって、市場競争が引き続き激しい状況だった」と同社はレポートで指摘した。
イレブン・ファイナンシャルは、2018年3月末時点と比較した場合に、国内4大銀行の貸付のポートフォリオは、2019年3月末時点で下は3%(ブラジル銀行)から上は10%(ブラデスコ銀行とサンタンデル銀行)の拡大だったと推定している。
中銀は発表した最新のデータによると、貸付事業のストックは2月末までの12か月間で5.5%拡大して3兆2,410億レアルを記録した。個人への貸付事業は同じ期間に9%上拡大して1兆8,150億レアルを記録、法人への貸付事業は1.4%の増加で1兆4,270億レアルにとどまった。
銀行各行が発表する貸借対照表では、債務不履行が再び縮小しているか、微増にとどまったことが示される見込みだ。UBS銀行によると、国内4大銀行のデフォルト率は2.9%に収まる見込みで、2018年3月の3.58%を下回るだけでなく、前年12月時点の3.2%も下回った模様だ。
イレブン・ファイナンシャルの場合、第1四半期のデフォルト率は2018年末をやや上回ったとみるが、これは家計支出の季節的要因と若干の大企業の特定のケースによるものであり、貸付事業に対する影響は何もないと受け止めている。「これらのケースの大部分は想定内であり、資産のクオリティーは全体として引き続き健全で、貸付コストが大きく変化するものではない」と強調した。
注目すべき点として複数のアナリストが、カード端末の使用を店主に承認する事業活動、すなわち決済業界の市場競争が激化している影響を指摘する。UBS銀行によると、この分野の競争激化は経費に対する圧力を高める傾向がある。同様に、サービスに伴う収入に一定のネガティブな影響を与える可能性も否定できない。
ストーンとパゴセグーロのような決済認証の新規参入組みに市場を奪われたのち、大手銀行は収益性を減らして失われたシェアの回復と、小規模の事業主への浸透を進めようとしている。イタウ銀行は、レデを展開している。ブラジル銀行とブラデスコ銀行はシエロの経営権を分け合っている。サンタンデル銀行はゲットネットを保有しており、この3社で唯一、シェアを拡大している。
イタウ銀行の場合、銀行窓口業務と保険業務、レデを含めた手数料と利用料による収入は、第1四半期、前期比で3.2%縮小したとサフラ銀行のアナリストは分析する。サフラ銀行のアナリストは外にも、サンタンデル銀行の場合は同様の比較で4.2%の落ち込みと予想している。
金融機関による決算発表シーズンは、4月25日のブラデスコ銀行の発表で幕を開ける。複数のアナリストが、金融機関が積極的な貸付事業を展開したと予想する。XPによると、銀行は「ポートフォリオの平均的な利益が拡大していること、さらにポートフォリオの内容も、銀行の営業利益を後押しした」と予想する。。
アナリストの予測は平均で、ブラデスコ銀行が前年同期比19.36%像の60億9,000万レアル。また彼らの予想は、第1四半期の利益の伸びでブラジル銀行が最も大きかった可能性を示唆する。ブラジル銀行は、第1四半期に前年同期比28.78%増となる38億9,700万レアルの利益を計上したとアナリストは予想する。サフラ銀行のアナリストによると、同銀行の2019年3月時点のデフォルト率は、2018年3月と比較して1パーセントポイント低い2.7%である。個人の顧客とアグリビジネス分野の顧客の債務不履行の減少が後押しした模様だ。
イタウ銀行とサンタンデル銀行に関して、アナリストの予想の平均は、それぞれ、68億0,800万レアル(前年同期比+6.06%)と33億7,400万レアル(同+19.01%)である。
イタウ銀行の場合、サフラ銀行のアナリストは、サービス事業に伴う収入は前年同期と比較して緩やかな増加にとどまると予想している。一方、営業利益は、堅調な個人向けの貸付業務が市場でのオペレーションで低迷した利益率を補償する形で改善したと受け止める。
サンタンデル銀行の場合、営業利益の増加とサービス事業に伴う収入の増加が収益性の向上を支えており、サフラ銀行は「印象的な状況だ」と受け止めている。また同銀行のアナリストによると、第1四半期の期待収益は前年同期比+18.8%の20.6%だとしている。(2019年4月24日付けバロール紙)