2018年の中国企業のブラジルへの投資は、不透明な大統領選挙並びにブラジル国内の経済停滞などの要因で28億ドルに留まって、2017年の113億ドルの1/4以下まで落ち込んでいた。
貿易協議所(Camex)の統計によると、今年第1四半期の中国企業のブラジルへの投資計画が確認されているのは、7億8,560万ドルと昨年同期の7億4,170万ドルを僅かに上回っている。
英国資本のコンサルタント会社Dealogic社の調査によると、今年第1四半期の中国企業によるブラジル企業のM&A総額は7億7,900万ドルに達しているものの、昨年同期は皆無であった。
今年はボルソナロ新政権による年金・恩給改革や税制改革などの構造改革やブロクラシー軽減、規制緩和、インフラ整備部門を中心とした民営化が目白押しで、中国企業以外にも先進諸国がブラジルへの投資を虎視眈々と狙っている。
中国企業は、2010年から電力エネルギー部門を中心にブラジル国内の基幹産業部門に対して、ハイリスク・ハイリターンにも関わらず、積極的に企業買収などで投資していたが、昨年は経済リセッション直前の2014年の20億7,880万ドルに接近する投資減少となっていた。
2010年の中国企業によるブラジル国内への投資は161億5,800万ドルと記録的な投資を記録、外国に投資をする際に、自社で初めから設備投資や従業員の確保するのではなく、現地の企業を買収することで被買収企業の既存の設備や従業員、チャネルや顧客を利用するというブラウンフィールド向け投資総額は153億9,800万ドルを記録、一方投資をする際に法人を新しく設立して、設備や従業員の確保、チャネルの構築や顧客の確保を一から行うグリーンフィールド投資は7億6,000万ドルであった。
また前記同様に2011年のブラウンフィールド向け投資総額は57億1,000万ドルに対して、グリーンフィールド投資は皆無であった。2012年は90億1,300万ドル、11億2,000万ドル、2014年は7億4,800万ドル、10億8,100万ドルと逆転しており、グリーンフィールド投資の比率が上昇してきている。
中国企業によるブラジルへの中長期投資では、電力エネルギー部門や鉱物資源向け投資傾向となっている一方で、短期投資では商業部門への投資や企業買収となっている。
ブラジル国内が経済リセッションに突入した2015年は株価下落に伴って、ブラジル国内企業の時価総額の下落で、中国企業はブラウンフィールド向け投資の視に集中して74億5,750万ドル、2016年は65億9,590万ドル、2017年は112億9,690万ドルの直接投資を行っていた。
中国企業による電力エネルギー部門への投資は、ミッシェル・テーメル政権時に顕著に増加、中国企業は不況に直面しているブラジルに大きな商機があると受け止め、主にブラジル国内の基幹産業部門の事業拡大、2017年のブラジル国内のインフラ整備部門向け投資の28.2%は中国企業が占めていたにも関わらず、昨年は僅か4.34%まで減少していた。(2019年5月2日付けヴァロール紙)