各州知事はジャイール・ボルソナロ新政権発足後の今年初めから州内のインフラ整備や天然資源向け開発プロジェクトを中心に、中国企業の膨大な資金力を目当てに、中国企業の投資誘致で中国詣を活性化させている。
昨年の大統領選挙キャンペーン中のボルソナロ候補は、「中国はブラジル国内の企業買収ではなく、中国はブラジルを買っている」と中国企業による基幹産業部門買収を警戒していた経緯があった。
しかしボルソナロ大統領は、大統領就任後に一転して中国企業に対して投資歓迎を謳っており、今年8月に中国を公式訪問するが、各州知事は既に先を争って中国企業の誘致合戦を展開している。
今年4月末にパラナ州政府のRatinho Jr州知事は、パラナ州とチリのアントファガスタ港を結ぶ鉄道建設プロジェクトに関して、上海を訪問してプロジェクト検討を開始している。
またバイア州政府のRui Costa州知事は、今日から中国企業との間で東西統合鉄道(Fiol)によるバイア州イリェウス港湾をつなぐプロジェクトに関する交渉開始を予定している。
今年2月にコスタ州知事は、投資総額が15億レアルに達するインフレ整備プロジェクト向け官民合同プロジェクト(PPPs)形式で、中国資本BYD社とバイア州サルヴァドール市に史上初の跨座式モノレール「BYDモノレール」建設で調印している。
アマパ州政府のWaldez Goes州知事は、中国政府のインフラプロジェクト向け金利は非常に低金利であるが、社会経済開発銀行(BNDES)やブラジル銀行、連邦貯蓄金庫の金利は非常に高いと指摘している。
連邦政府の財政悪化で公的投資が百々凝っている現在、中国のファイナンシャルソルーションは非常に魅力的であり、今年7月に太陽光発電並びに上下水道、水力発電向け投資誘致を北京と上海でイベントを開催するとアラゴアス州政府経済開発担当のラファエル・ブリット局長は説明している。
ブラジル元総領事のマルコス カラムル氏を所長に迎えて、今年8月の上海にサンパウロ州政府の投資誘致事務所を開設するとサンパウロ州政府のジョアン・ドリア州知事は説明している。
各州知事は、廃棄物を利用したバイオマス発電並びに大都市向け夜間照明プロジェクト、都市治安システム、顔認証システムなどのプロジェクトに対する中国企業の投資誘致を予定しているとブラジル中国商工会議所(CCIBC)のCharles Tang会頭は説明している。
ブラジル中国商工会議所(CCIBC)では、今年下半期のパラー州政府のHelder Barbalho州知事一行の北京訪問を調整中であり、投資総額が3億ドルに達するヴァーレ社との共同プロジェクトのカラジャス鉱山の鉄鉱石を利用したマラバ市での圧延鋼生産プロジェクトを進める。
また今日マット・グロッソ州政府のCesar Miranda州知事は、先週からアジアを訪問している州農務局一行と合流して、中国政府関係者と食肉関連投資で会合を持つ。
今年4月のペルナンブーコ州政府は、スペイン資本Solatio Energia社が総額35億レアルの太陽光発電所建設を発表したが、ソーラーパネルは中国からの輸入に依存しており、ペルナンブーコ州政府は、来月に中国向けに経済ミッション団の派遣を発表している。
今年3月に中国資本BYD社代表団は、ゴイアス州ゴイアニア市を訪問して次世代型路面電車システム(LRT)導入で会合開催した。また今年4月のパライーバ州政府は、中国資本IMC Y Y社並びに米国資本McQuilling社と共同で州内ルセーナ市に投資総額が35億レアルに達する造船所建設で調印している。(2019年5月13日付けヴァロール紙)