2018年のブラジル国内のベンチャー企業やスタートアップ企業など高い成長が予想される未上場企業に対して、出資を行う投資会社ベンチャーキャピタルの投資総額は50億レアルに達している。
ベンチャーキャピタルは、創業間もないベンチャー企業やスタートアップ企業の将来の成長を見込んで資金を「融資」ではなく「出資」する形を取るため、資金を返済する必要はないが、企業が成長や上場したときに株式を売却することで資金を回収する。
しかし投資したスタートアップ企業が成長せずに上場しなかったり、事業に失敗したりすれば投資資金を回収できなくなるが、それを避けるために、ベンチャーキャピタルは投資先企業の成長支援を継続、自社の社員を投資先企業のメンバーとして参加や外部コンサルティングを使う場合もあり、時にはベンチャーキャピタルの投資担当者が投資先企業の社外取締役に就任して経営に参画している場合もある。
スタートアップ企業への投資は一攫千金的な要素が強いにも関わらず、評価額10億ドル以上の非上場で設立10年以内のベンチャー企業のユニコーン企業の化ける可能性が非常に高い一方で、大半のスタートアップ企業は日の目を見ないで消えている。
ブラジルのスタートアップ企業でユニコーン企業に化けたのは、Nubank社並びに Movile社、 Stone社、 99社、 Pag-Seguro社、 Gympass社でそれぞれ市場価格が10億ドルを突破している。
2018年のブラジルのスタートアップ企業向け投資総額は前年比51%増加の51億レアル(13億ドル相当)、ラテンアメリカ地域の65%を占めていると非営利団体で中南米の投資状況をまとめているラテンアメリカ・プライベートエクイティ&ベンチャーキャピタル協会(Latin American Private Equity and Venture Capital Association、LAVCA)では発表している。
今月初めにソフトバンクは、コロンビアのボゴタに本社を置くスタートアップ企業ラピ社(Rappi)に10億ドルの投資を発表、ソフトバンク社は、今年3月上旬に総額50億ドルに達するラテンアメリカ地域攻略する最先端テクノロジー向け投資ファンドを設立している。
またApple社やQualcomn社が出資しているイノヴェーション企業向けに最大1,000億ドルに達するVision Fund社もソフトバンク社と共同でラピ社に出資する。
過去数年間のベンチャーキャピタルの投資では、ブラジル国内で最も早くベンチャーキャピタル企業で創業2005年のモナシーズ(Monashees)は、投資先としてライドシェアのノビノビ社、クーポンサイトのペイシェ・ウルバノ社、オンラインマーケティングのブーボックス社などに投資している。
また創業2011年のカゼッキ・ベンチャーズ(KaszekVentures)社は、南米のECサイト最大手メルカド・リブレ社(MercadoLibre)の創業者であるニコラス・セカシ氏(Nicolás Szekasy)とエルナン・カザ氏(Hernán Kazah)が出資、採用サイトのラヴ・マンデイ(Love Monday)社、眼鏡のオンラインショップのエオチカ社(eOtica)などに投資している。
創業が2012年のヘッジポイント・イーベンチャーズ社(Redpointeventures)代表は、南アフリカのIT大手ナスパーズでラテンアメリカのM&A担当でもあったアンダーソン・シーズ(Anderson Thees)氏であり、 オンラインの不動産担保ローンを完結するクレジタス社、コロンビア発の物流プラットフォームのハッピ社(Rappi)、オンライン契約締結プラットフォームのクリックサイン社(CLICKSIGN)などに投資している。
中国の e タクシー大手 Didi Chuxing社(滴滴出行)は、2013年に設立されたサンパウロ拠点のブラジルの配車サービス大手 99 社を約10億ドルで買収、奏者に出資していた投資家にとっては投資額の60倍に相当する投資利益を上げている。
ヘッジポイント・イーベンチャーズ社(Redpointeventures)に投資したアンダーソン・シーズ氏は、スタートアップ企業のViajanet社並びにGympass社、Resultados Digitais社などにも幅広く投資をしている。
世界トップのベンチャー投資ファンド500 Startups社のBedy Yang氏は、毎年世界中で5000社のスタートアップ企業を投資対象として精査するにも関わらず、投資対象となる企業は調査対象の1.0%にも満たない。
投資ファンド500 Startups社はポートフォーリオ関連2000社に投資しているにも拘らず、ユニコーン企業まで成長したのは僅か10社に留まっている。ブラジル国内では40社のスタートアップ企業に投資しているにも拘らず、ユニコーン企業まで成長したのは皆無と説明している。(2019年5月12日付けエスタード紙