連邦政府は長年にわたって鉄道網のインフラ整備投資を怠って、穀物並びに鉱物以外はトラック輸送に依存してきてために、トラック運転手が一旦ストライキを起こせば製造業部門や小売部門で原材料や製品の供給問題が発生するとドン・カブラル財団のパウロ・レゼンデ教授は指摘している。
昨年5月下旬から11日間継続したディーゼル燃料価格値下げ要請を発端とした、全国規模のトラック運転手の国道封鎖の抗議デモに続いて、今年初めの国際石油価格上昇に伴って石油精製所の15.6%値上げ、ガソリンポストの3.6%の値上げに対するディーゼル燃料価格値上げ反対デモに繋がった。
プラナルト宮では、ディーゼル燃料価格調整問題でトラック運転手による抗議デモ発生を避けるため、早急にトラック運転手向け優遇政策や国道インフラ改善政策発表を余儀なくされている。
ドン・カブラル財団の調査によると、スーパーマーケットの平均在庫は営業日換算で10日間、ガソリンポストは5日間、食肉生産部門は7日間、機械・装置部門は5日間となっているために、それ以上のトラック運転手のストライキが発生すれば甚大な影響を蒙る。
都市部のガソリンポストの平均備蓄能力は、1万リットル~1万5,000リットルで数日間のストライキですぐに影響を受けるとサンパウロ州石油派生品小売販売組合(Sincopetro)のジョゼ・アルベルト・ゴウヴェイア会長は説明している。
ブラジル・インフラ基幹産業協会(Abdib)の調査によると、過去15年間の輸送関連の平均投資はGDP比0.5%に留まっており、国内輸送改善をするには今後10年間に年間平均の投資額はGDP比2.26%に引上げなければならない。
現在のブラジル国内の道路で舗装されているのは、総延長距離170万キロメートルの12.0%に相当する21万3,400キロメートル、過去14年間では僅か1.0%増加に留まっている。
総延長距離が12万500キロメートルの国道のうち舗装されているのは6,560キロメートル、未舗装は1万800キロメートル、4万4,100キロメートルが舗装計画を擁している。
総延長距離が16億キロメートルの州道並びに市道のうち舗装されているのは1億4,780キロメートル、未舗装は13億3,910万キロメートル、1億1,340万キロメートルが舗装計画を擁している。
全国輸送連合(CNT)の調査によると、米国の1,000キロ平方メートル当たりの道路網の総延長距離は431キロメートル、中国は359キロメートル、ロシア54.3キロメートル、ブラジルは僅か24.8キロメートルとなっている。
ブラジルのトラック輸送の依存を減らすためには、河川の水上輸送や鉄道輸送、海岸沿いの海上輸送などポートフォーリオ油症への投資拡大で短期的な効果が得られるが、中長期的には鉄道輸送への投資が不可欠であると全国輸送連合(CNT)のヴァンデール・コスタ会長は指摘している。
1キロメートル当たりの輸送量比較では、道路輸送が61.1%を占めてトップ、鉄道輸送は20.7%、水上輸送は13.6%、パイプライン輸送は4.2%、航空輸送は僅か0.4%を占めているに過ぎない。(2019年5月22日付けエスタード紙)