年内のSelic金利引下げが優勢

Valor Data社の63人にエコノミスト対象の政策誘導金利(Selic)調査によると、全体の60%に相当するエコノミストは年内のSelic金利の引下を予想している。

しかし5月8日の中銀のロベルト・カンポス・ネット総裁として2回目となる通貨政策委員会(Copom)では、全会一致で政策誘導金利(Selic)を9回連続で過去最低の6.5%の据置を決定直後は、僅か1/3のエコノミストが年内のSelic金利引き下げを予想していたに過ぎない。

予想を下回る今年第1四半期のGDP伸び率、4月の製造業部門並びに小売部門の低調、予想を下回るインフレ指数、米国の更なる金融緩和予想、新社会保障改革案の国会通過の可能性の上昇などの要因で、今年下半期のSelic金利引き下げをRio Bravo社チーフエコノミストのEvandro Buccini氏は予想している。

今年第1四半期のGDP伸び率は前四半期比ではマイナス0.2%、4月の自動車並びに建材を除く一般小売販売は前月比マイナス0.6%、また4月の製造業部門の生産も予想を下回った。

今年5月のインフレ指数の広範囲消費者物価指数(IPCA)は僅かに0.13%増加に留まって6月はデフレに陥る可能性もあり、今年のIPCA指数は予想の4.0%を下回る3.68%に下方修正されている。

また2020年のIPCA指数は3.14%、2021年は3.55%、2022年は3.71%とそれぞれ大幅な下方修正を余儀なくされており、金融緩和政策を促すSelic金利の引き下げ要因となっている。

今年末のSelic金利予想調査では、金融機関Novus社は唯一Sekic金利が5.00%まで下がると予想、 Fator社並びに Fibre社は、今年末のSelic金利を5.25%と予想している。

また2020年末Selic金利予想調査では、Ativa社が5.00%、Fator社並びにOrama社は5.25%を予想している一方で、MUFG社並びに4E社、Saint Paul社、Haitong社はそれぞれ8.00%を予想している。

米国連邦準備制度理事会(FRB)は経済活性化のための金融政策の変更の可能性、欧州中央銀行(ECB)は少なくとも来年半ばまで金利据置方針、またチリ並びにインド、オーストラリアはそれぞれ基本金利の引下プロセスに入っている。

昨日社会保障年金改革特別委員会のサムエル・モレイラ報告官は、初めて年金改革特別委員会でまとめた新社会保障改革案を発表、パウロ・ゲーデス経済相が謳っていた新社会保障案による10年間での1兆2,000億レアルの歳出削減による経済効果は、9,150億レアル前後に留まると予想されている。

しかし63人にエコノミスト対象にした新社会保障改革案の修正案では、44人のエコノミストは今後10年間の歳出削減幅を7,000億レアル~9,000億レアル、17人のエコノミストは5,000億レアル~6,990億レアルに留まると予想している。(2019年6月14日付けヴァロール紙)

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