2019年6月28日に外務省と経済省、農務省が共同で声明を発表
6月27日と28日にブリュッセルで行われたメルコスールと欧州連合(EU)の閣僚会議で、両ブロックの連携協定の通商分野の交渉がまとまった。ブラジルからは、エルネスト・アラウージョ外務大臣とテレーザ・クリスチーナ農務大臣、マルコス・トロイジョ経済省通商及び国際問題担当特命局長が出席した。
今回の合意は、世界のGDPのおよそ25%、7億8,000万人を要する市場として、メルコスールとEUの関係においても歴史的な節目と言えるものになる。国際貿易において緊張と不確実性が強まる現在の状況において、合意がまとまったことは両ブロックの経済開放及び競争条件の強化におけるコミットメントを強く示すものである。
EUとの貿易協定で、世界最大の自由貿易圏のひとつが生まれることになる。経済的規模と適用範囲の広さから、今回の合意はメルコスールの過去の交渉において、最も広範囲かつ最も複雑なものである。その範囲には、関税だけにとどまらず、サービスと政府調達、通商上の障壁、衛生対策及び植物検疫、知的財産のような規制にかかわるものまで包含する。
合意内容に基づくと、ブラジルが強い関心を持つオレンジジュースと各種フルーツ、インスタントコーヒーなどの農産物に対する関税が撤廃される。ブラジルの輸出会社は、食肉と砂糖、エタノール、その他の品目に対して、輸入割当枠を通じてEU市場へのアクセスを拡大できる。さらにブラジル企業は、工業製品に対する関税の完全撤廃の恩恵を受ける。これにより、EUが自由貿易協定(FTA)を締結済みの貿易相手国と競争条件が等しくなる。
今回の合意では、カシャッサ(サトウキビを原料とした蒸留酒)とチーズ、ワイン、コーヒーなど様々な製品でブラジル固有の製品として認定される。
また通信と建設、流通、観光、物流、専門サービス及び金融といった様々な分野で、実際的なアクセスを保証する。政府調達では、EU域内で1兆6,000億ドルと推算される入札市場に対してブラジル企業がアクセスできるようになる。合意で定められた取り組みに基づき、輸出入及び財の移転手続きに関するコストを削減し、またその取り組みを加速させる。
合意は国内の生産者に対してより高い技術水準かつ低価格な中間投入財に対するアクセスを保証するため、ブラジル経済の競争力を高めることになる。障壁を引き下げ、規定の法的安定性と透明性を高めることで、投資と雇用を創出して、所得を拡大させつつグローバルな・バリューチェーンにブラジルが参画するのを容易にする。今回の合意により消費者もまた、競争力のある価格でより多様な製品にアクセスできるという恩恵を受ける。
経済省の推算に基づくと、メルコスールとEUのFTA協定によりブラジルのGDPには15年間で875億ドルの経済効果があり、非関税障壁の削減及び生産要素の総生産性で期待される経済効果を加味すれば1,250億レアルの経済効果が得られる可能性がある。ブラジルに対する投資の増加は、同じ期間、1,130億ドル規模になる見込み。2ブロック間の貿易関係では、ブラジルの対EU輸出が、2035年までにおよそ1,000億ドルに拡大する。
EUは、メルコスールの貿易パートナーとして第2位の規模で、投資面では最大のパートナーである。逆にEUにとってメルコスールは、貿易パートナーとして8位である。2ブロック間の貿易高は、2018年に900億ドル超だった。2017年にEUがメルコスールに保有する資本ストックはおよそ4,330億ドル。ブラジルは2018年にEUとの貿易高が760億ドルで、70億ドルの貿易収支黒字を計上した。ブラジルの輸出は420億ドル以上で、ブラジルの輸出全体のおよそ18%を占めた。ラテンアメリカに対するEUの外国直接投資(FDI)においてブラジルは、そのおよそ半分を占める大きな存在感を示している。ブラジルはEUのFDIにおいても、戦略的価値の高い業種を中心として第4位の投資先国である。(2019年6月28日付け政府発表)