EU側が助成を受けていると主張して合意に抵抗する国内ワイン業界を支援するため、連邦政府が対策を交渉している。
合意の例外に含まれたワイン生産者に対して、連邦政府が支援をする可能性が浮上してきた。この対策には、業界の近代化と輸入と減税に向けた基金の設立が含まれる見込みだ。
欧州連合(EU)と締結した自由貿易協定(FTA)の例外に含まれたことで、ブラジルのワイン生産者らは今後数年、連邦政府の支援を受ける。交渉中の対策は、業界の近代化を目的とした基金の設立から減税まで含む包括的なものになると、エスタード紙に対して3人の関係者がコメントした。
EU側は、今回の合意にメルコスールがワイン市場を開放することを含めるよう強く主張した。ブラジルの生産者は、欧州の生産者が助成を受けており、市場競争に際して有利になるような融資にアクセスできると主張してこれに抵抗した。
この業界を含めることが協定の合意に不可欠と想定していた連邦政府は、数週間前から、生産者側の抵抗を緩和するために業界の代表者らと協議を進めてきた。一連の 交渉はオニックス・ロレンツォーニ官房長官が中心となり進めたが、パウロ・ゲデス経済大臣が率いる連邦政府経済スタッフから了承を受けたものだった。大統領府関係者によると連邦政府は、業界に対して「不可逆的な生産性に関する包括政策」を提示した。この狙いは当たり、ワイン工業の近代化に資金を調達するための基金の設立を想定した、業界との技術提携協約合意に署名する運びとなった。その財源は、原則として、業界の企業が拠出する。
ただし経済省の関係者の1人によるとこの計画は、農業保険、さらに国家家族営農強化計画(Pronaf)の資金を業界に振り向けるといった、既存の枠組みの活用も視野に入れている。
さらに連邦政府は、業界向けに現在提供されている融資条件の改善方法を検討するのに加えて、コルク栓とビン、ブドウ果汁のような投入財と機械・設備に対して発生する税金をどのように削減できるか分析すると確約した。
ブラジルワイン協会(Ibravin)のオスカル・ロー会長は、「業界は、ブラジル政府に対して減税を要求してきた歴史的な経緯がある。EUとのFTA合意で、業界が置かれる状況は悪化するだろう。業界は、競争状態を恐れはしない。ただ我々が競争するのは、ヨーロッパの助成金と国内の高い税負担なのだ。1本のワインに対して、55%が税金である。我々はそこに不当な競争があると受け止めている」と話す。
ブリュッセルで締結された合意に基づくとメルコスールは、最大12年でヨーロッパ産のワインに対する輸入税率をゼロに下げる。
ブドウ栽培業界との会話が進む一方、乳業部門も同様に補償金を確保する可能性がある。連邦政府関係者によると、今回の合意では、チーズなどでEUの生産者に対して輸入税率を8年でゼロに引き下げる。
これらの問題に関して、経済省も連邦政府官房室もコメントを避けた。(2019年6月29日付けエスタード紙)